書き下し文)
象に曰く、
大いなるかを乾元、万物資りて始む。すなわち天を統ぶ。
雲行き雨施し、品物形を流く。
大いに終始を明らかにし、六位時に成る。
時に六竜に乗り、もって天を御す。
乾道変化して、おのおの性命を正しくし、大和を保合するは、すなわち利貞なり。
庶物に首出して、万国ことごとく寧し。
意訳)
象伝(卦辞の注釈)にいう、
「元亭利貞」、つまり乾の元・亭・利・貞の徳とはなんと偉大なことであろうか。
世の中のあらゆる物は、乾の元としての営みをもって始まる。
つまり、天の道の全てを統べるのが、乾の元である。
この乾の元の気は、雲となり、流れ通り、雨となって世界に降りそそぎ、あらゆる物の形を備える。
これが乾の享徳、すなわち、あらゆる物に流れ通るはたらきのことである。
こうして乾卦において、天道の始終が明らかに示され、それぞれの時に応じた六爻の位が定められた。
故に聖人は時節に適うと、六竜すなわち六爻の陽気に乗り、天道を駆け抜ける。
また天道とは刻々に変化するが、その変化に応じて、草、木、人、等、あらゆる物は天から与えられた性の命を正しく現し、大自然の調和を有しつつ、和合する。
これを乾の利貞の徳とする。
故に、聖人がこの天道の理に忠実に沿い、民を良く導くならば、あらゆる国はことごとく安寧を得る。
所感)
■命がけの易
占いに興味はないが、当時の易経による占いは、意思決定に於いて重要な、例えば戦争での進軍等の判断材料となり、占う者は文字通り命がけであったという。
今日では易用のサイコロ3つで行える簡単なものもあるらしいが、占い関係の知識、経験は皆無なのでなにか述べることは慎む。
■今後の予定
古本屋のサイトで、公田連太郎先生の易学関連の書のサンプルが掲示されており、辛うじて1ページほど読むことが出来た。
初心の者は、六十四卦のどの卦でも良いので、一つの卦を徹底的に学ぶことが大切だ、とのような内容であった。
ということで、今回、「乾為天 本卦」を最後まで意訳を行う。
講談社学術文庫、貝塚茂樹博士の「中国古代」も現在通読中。かなり面白い。儒学の内容と時代が重なることもあり、睡眠時間を削って夢中で読んでいる。
今日、一日の読書を学問として、努め励みたい。