四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、自由詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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論語 学而第一(1)

[白文]
1子曰
2學而時習之
3不亦說乎
4有朋自遠方來
5不亦樂乎
6人不知而不慍
7不亦君子乎

[読み下し文]
1子曰く、
2學て時に之を習ふ、
3亦說しからずや。
4朋遠方より來たる有り、
5亦樂しからずや。
6人知らずして慍みず、
7亦君子ならずや。

[意訳]
1孔夫子は言われた。
2学問とは、先人の教えを忠実に学ぶ、日常生活で実践する、また自らを省みて至らぬところを復習することにある。
3自らの徳を、学問によって、自らの意思で常に磨き続けることとは、なんとも喜ばしいことではないか。
4学問によって志を得た、同じ道を歩む、実践する友が、遠方より訪ねきてくれた。
5学問により、更なる徳を積み重ねた友と語り合う、切磋琢磨する。なんと喜ばしいことであろうか。
6世の中で認められることがなくても、自らの学問の、徳の充実を喜びとし、地位や名声が無くとも不平不満を抱くことはない。
7こういう人物こそ、帝堯、帝舜の教えを学び、自らの徳を広げ、日常生活で実践している君子と言えるのではないかな。

[所感]
■君子とは
これは孔夫子、ご自身のことを述べられている。学問の道とは何かを総括されている。
先人とは、帝堯、帝舜、から伝わる礼法を示す。その心は無私の徳により、家族、一族、友人、街、国を包み込む、徳を様々な人に広げ及ぼすことにある。
■学問とは
学問とは、四書五経に始まる経書を正しく学び続けることにある。
その実践は=忠恕、自らを誠にして、徳を積み重ね、人に思いやりを示す・行うことにある。
■論語の構造
論語の最初の言葉であり、繰り返し、学べば学ぶほど、論語全文の教えが浮かび上がってくる。
逆に述べれば、学而第一は論語を読み解く物差し、定規とも言える。
論語は20篇あり、何れも素晴らしい内容であるが、全体像(学而第一)から離れてはいけない。どの篇を読んでも、学而第一に戻らねばならない。全ては、ここに繋がっている。

 

[参考文献]

・新釈漢文大系〈1〉論語

・論語 増補版 (講談社学術文庫 1962)

・論語新釈 (講談社学術文庫 451)

・論語 (岩波文庫 青202-1)

・論語 (中公文庫 (か3-2))

・論語入門 (岩波新書)

・論語の講義 諸橋轍次 

・論語講義 根本通明

・論語徴 1 .2<東洋文庫 論語 575>

自由詩 No.259

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◆今週の詩

・手のひら
・集約
・それから (詩誌 MY DEAR 投稿)
・血
・名   (詩誌 MY DEAR 投稿)
・繰り返す
・伝説
・二人
・肯定

 

◯月曜日の朝、通勤

『手のひら』

世界は

揺れている

 

手のひらに

丸を描く

 

その丸の中に

丸を描く

 

黒く塗りつぶした

手のひらを

横から見る

 

ピラミッドのように

丸は

天井に当たる

 

家を出て

外に

 

手のひらを

水平にする

 

丸は

天空まで届いた

 

手のひらから

宇宙へ

 

銀河系を

突き抜け

 

おとめ座が

後ろに見える

 

手のひらを

ゆっくりと握る

 

宇宙の最奥から

地球まで

閉じられていく

 

無数の光点と

ブラックホールが

収縮していく

 

丸は

手のひらに戻る

 

世界は

巨大な手の中へ

暗闇に包まれた

 

握った左手に

すべてが存在する

 

   ✳

 

軽く揺らす

 

世界は

揺れている

 

揺らし続ける

すっと

圧力が消えた

 

手のひらを開く

何も無い

#自由詩 20261019(ver3)

 

◯月曜日の夕方、通勤

『集約』

あちこちに

散らばっている

有象無象

なんの法則もなく

存在している

 

これではいけない

人差し指を回す

ぐるぐる

指に圧力を感じる

 

指を開き

手を回す

ぐるぐるぐる

風を周囲に感じる

 

両手を空に上げて回す

ぐるぐるぐるぐる

竜巻となる

 

まだだ

 

両手を開く

身体ごと回転する

ぐるりゅううう、ううう

 

ゴオオオウ

巨大な竜巻が起こり

身体が浮いている

 

まだまだだ

 

ヘソを中心に

プロペラのように回る

グオオオオオ

 

空の上

雲を巻き込んで

渦を描いている

都市や海が見える

 

まだ行ける

 

スピードを上げる

音速を超えた

パンッ

ソニックウェーブ

宇宙へ飛び出した

足下に地球がある

 

よし、本気をだすぞ

 

地球を周回

シュウイイイン

光速を超えた

ドンッ

周囲がぼやけている

 

質量は

無限大に向かっている

重く、重く

全てを呑み込む

 

ガンマ線バースト発生

数分…

宇宙を

光で照らす

 

太陽系を呑み込み

銀河系も

あと少しで消滅する

事象の地平線を超、え、た

 

有象無象

すべての質量が

ゼロへと変わる

 

存在は

角砂糖一つの大きさに

集約してしまった

 

今

手のひらに

ある

 

さて

 

目の前に

コーヒーを入れた

陶器のコップがある

 

そっと

入れてみた

#自由詩 20261019(ver3)

 

◯火曜日の朝、通勤

『それから』

先祖代々の会社を

整理し

定年を機に

兼ねてからの計画を実行する

 

石灰石だけは

無尽にある

無人島を購入

 

ハンマードリル

せり矢とハンマー

ブルドーザーを運び込む

 

一人

ハンマーを振る

 

カンカンカン

 

1立方メートルの

石灰石を

無数に掘り出していく

 

島の中央を

ブルドーザーで平坦にする

 

タワークレーンを設置

 

中心に

1立方メートルの石灰石を

重ね合わせていく

 

そう

ピラミッドを自作する

余生

すべてを建設に費やす

 

人を雇い

建設工事が始まる

 

10年後

 

ピラミッド

らしきものが完成した

 

いや

まだまだだ

どんどん横に広げ

高く、とてつもなく高くしよう

 

持ち金、すべてを注ぎ込み

機材と更なる人を雇う

 

20年後

 

寿命は

尽きようとしている

 

機材を島から撤収し

雇った人を解雇する

 

中心の

秘密の部屋へ向かう

 

先に逝った

妻と娘の写真を

眺める

 

息絶える瞬間

点火

計算通り、通路は埋まる

 

無人島に

高層ビルほどの

ピラミッドが完成した

 

それから30年後

 

誰も由来を知らず

誰が造ったのかもわからない

ピラミッドがそびえ立っている

 

本土から眺めても

その巨大さは人目をひいた

 

それから40年後

 

国から

調査団が派遣された

70年前に建設された

以外は

わからない

 

それから50年後

 

ピラミッドの下

奥深くにある

巨大な空洞の天井が

崩れ始めた

 

深夜

満月がのぼる中

 

ピラミッドは

一瞬で

地中に呑み込まれた

 

周囲の土地も崩れ落ち

噴火口のような

窪みしか残らなかった

 

やがて

潮は満ち引いて

海水が

窪みを満たしていく

 

それから100年後

 

岩礁に

波が寄せている

その海の底に

巨大なピラミッドがある

 

物語は

誰に語られることもない

 

波の音

 

潮の匂い

#自由詩 20261020(ver2)

 

◯火曜日の夕方、通勤

『血』

星がある

 

数千年

数万年をかけて

土は生まれた

 

あって当たり前

ある前提で世界は動く

 

この星そのもの

鉱石と

生き物の記憶装置

人間も

土に還っていく

 

一掴みの土

数千億の生き物が

生きている

 

一杯の海水

数十億の生き物が

生きている

 

土と水

生命の源

血

 

温かさ

鉄錆の匂い

 

石灰石を砕いて

築き上げた

聳えたつ楼閣

闇に光彩を放つ夜景

 

地上から

400kmの上空を

秒速約8kmで周回する

宇宙ステーション

 

人間がいる

 

それで

どうしたのだろう

 

星はある

#自由詩 20261020(ver2)

 

◯水曜日の朝、通勤

『名』

世界は存在しない

何という美しい言葉だろう

 

事象が起こり

連鎖していく

 

運命は存在しない

何という革新的な言葉だろう

ただ

生まれて

死んでいく

 

海の匂いがする

 

迷妄たる私よ

真実に

気づきたまへ

 

神も悪魔も

幸運も不幸も

いや、闇と光さえ

単なる事象に過ぎない

 

世界は存在しない

人間は

ただ

それだけ

 

積み上げられた書物

鏡の中の自分たちの投影

 

森羅万象

すべて、名に過ぎない

幻は今

消えていく

 

   ✳

 

意味づけが

名を繰り返し

 

存在していると

想像する

 

石塊は土に

龍は神話に

数式は数を

 

重なることはない

 

事象が起こり

連鎖していく

 

森羅万象が

消えていく

 

運命は存在しない

 

何処でもない

暗闇の中で

潮騒が

音をたてている

 

波の音

潮の匂い

それだけ

 

迷妄たる私よ

 

汎ゆる事象は

世界に存在しない

#自由詩 20261021(ver2) 

 

◯水曜日の夕方、通勤

『繰り返す』  

呼吸を整える

空気を深く吸って

ゆっくりと吐く

 

繰り返す

 

浮かぶ雑念から

呼吸に集中する

空気を吸う

ゆったりと吐く

雑念が消えていく

周囲は

靄がかかっていく

 

空気を吸う

吐く

音が消えていく

自分しか存在しない

 

浮いていた心が

丹田へ

黒と赤の点滅から

水色に変わり

静けさに包まれていく

 

窓ガラスから

太陽と青い空

白い雲が見える

空気を吸う

吐く

心は透明に

 

私が消えていく

 

遠い記憶

幾人かの笑顔が浮かび

空に消えていく

一人

風を感じる

 

そろそろ戻ろう

空気を深く吸って

ゆっくりと吐く

 

繰り返す

 

目を開く

ジムにいる

手術明け7日目

トレッドミルを歩いている

#自由詩 20261021(ver3)

 

◯木曜日の朝、通勤

『伝説』  

私は弱いです

力足らずの人なんです

優しい言葉で

教える、励ます、応援する

当たり前でしょう

 

失敗

また失敗

 

仕方がない

優しい言葉で

教える、励ます、応援する

繰り返してください

 

失敗を繰り返す

 

悪いのは誰

もちろん、教える人

あなたです

教え方が悪いに決まってる

聞いてない

なんていい加減な上司だろう

すべてを教えない

あなたが悪い

 

目の前にボタンがある

いつ、どんな風に

どうやって押すのか

 

きちんと、正確に

優しく教えてください

休憩が必要です

有給が足りません

リモートでいいでしょう

押す指示をするので

あなたが

押してください

 

いいですか

私は弱くて力が足らない

すべて

あなたの責任です

黙って

変わりに

私の仕事をしてください

 

もう10年もいるんです

早く

管理職にしてください

 

課長から

係長の仕事を教わっていません

私は悪くないので

全部、課長がしてください

 

もう20年もいるんです

早く

部長にしてください

 

常務から

本部長の仕事を教わっていません

私は悪くないので

全部、常務がしてください

 

もう40年もいるんです

そろそろ

執行役員になってあげましょう

 

   ✳

 

記者∶

A社長は業界の革命児と称され

その経営手腕は神の如くと評判です

秘訣は何ですか?

A社長∶

簡単です

私は、何の仕事も出来ないからです

何もしません

すべて、出来る人がしてくれました

記者∶

ご謙遜を

まさに聖人君子

後光が輝いて見えます

流石は、伝説の人ですね

感銘を受けました

ありがとうございました

#自由詩 20261022(ver2)

 

◯木曜日の夕方、通勤

『二人』 

夜の市民公園を散歩している

街灯の下の

ベンチの左側に座る

痛む右膝をさすっている

 

向こうから

男が歩いてきて

ベンチの右側に座る

痛むのか、左膝をさすっている

 

沈黙

 

何気なく

お互いを見る

 

   !

 

あり得ない

自分が座っている

地面を向く

似てるだけだろう

 

顔を上げる

“失礼ですが”

二人とも同じことをいう

 

貴方は誰ですか

Aです

いえ、違うでしょう

“私がAです”

言葉が重なる

 

いいでしょう

私がAであると証明しましょう

書斎の机には

パリで買った書見台があり

ジル・ドゥルーズの

「差異と反復」を読んでいる最中です

 

もちろんです

通読5回目で

今、第三章を要約しています

 

では、最近買った本は?

地球博物学大図鑑を買いました

もちろん、新訂版をね

 

顔を見合わせる

 

私たちは、どちらもAですね

そのようです

 

待ってください

貴方は右側から来ましたね

ええ

私は左側から、ここに来ました

 

“差異ですね”

 

ということは

“私たちは分岐したんです”

 

面白い

今夜は楽しかったです

そろそろ

家に戻りましょうか

そうですね

“さようなら”

 

お互い、同じ方向に向かっている

 

Aが走りだす

もう一人のAも走りだす

先に家に着いて

鍵を締めないと

自分の居場所を取られてしまう

 

Aが二人

必死の形相で

相手を押し退けながら

夜道を走っている

#自由詩 20261022(ver1)

 

◯金曜日の朝、通勤

『肯定』 

私は私自身を

肯定したいのです

 

私を否定しようとする

諸々の他人と

いくつもの構造体へ

 

私は

貴方がたが

嫌いです

 

世間体の皮をかぶり

良心

善意であるかのように

一方向を押し売りする

 

私は貴方がたに

進むところを

決められたくありません

 

社会に属しています

法律は守っています

税金も収めています

 

あとは

私の自由です

 

言葉を

しがらみから解き放ち

大空を

高く、高く

舞い上がらせたいのです

 

お節介は入りません

貴方たちの

奴隷には変わらないのです

 

それでも、今

大空を

一人で飛んでいます

 

私は私自身を

肯定したいのです

 

言葉を紡ぎ

詩で

貴方たちを

 

この世界を

 

破壊したいのです

#自由詩 20261023(ver4)

 

所感)

■徒然、詩作、休暇の終わり

9月22日火曜日、午後9時15分ー

左目の白内障手術が終わり、7日目。

ずっと家に閉じこもっていたが、

今日はジムへ行く。

トレッドミル120分、クロストレーナーを50分する。

脈拍を90以下に、ゆっくりと有酸素運動のみ行う。

心の靄が晴れていく。

私の脳みそは筋肉で構成されている、

と実感する。

詩作も調子が良く、今日は3詩完成させた。

あと1詩で9詩となり、

「自由詩No.259」で公開出来る。

今夜は、このまま

ラスト1詩のモチーフを仕上げる。

 

詩作が楽しい。

当たり前かも知れない。

自分を楽しませる作品は、自分が一番、よく知っている。

休み中、閉じこもっていたお陰か、

心か暗く、ネットフリックスのなにを観ても面白いと思わなかった。

明日で、シルバーウイークは終わる。

激しい運動は、あと7日間、或いは30日は無理かも知れない。

まあ、それでも日常に戻れるのだ。

ほっとしている。

 

■蛇足

9月23日水曜日、午後6時55分ー

日中はジムへ。

黙々とリハビリメニューをこなす。

大声で喘ぎながら、バーベルを振り落とす人あり、このジムの名物らしい。

もう慣れた、まわりも冷ややかな目線か、完全無視でスルーしている。

15分ほどでいなくなる。

テレビを観ながら有酸素運動。

帰宅のち昼寝。

夕方、ウオーキングへ。

まだ暑いが、明日から仕事、肌を気温の慣れさせないといけない。

9連休が終わる。

通勤電車での往復が始まる。

 

■メデイア対策

noteの立ち位置が決まりだした。

自由詩の初稿、全録は、今まで通り、はてなブログ「四端録」へ。

日にちを開けて、過去作を推敲した詩を1〜2作品を一日ずつnoteへ載せる。

noteから、詩誌マイデイアへ週1回、投稿を繰り返す。

たまに、noteの過去作を小説家になろうへ投稿、=Xへ連携。

 

要は、はてなブログの編集字体が独特で、他へ持っていくと空白行ばかりで使いものにならない(パソコンがあれば別らしいが)。

なら、推敲をnoteで行い投稿様式へ。

読者数も、noteは、

自由詩の投稿を開始して23日間で、

21,678ビュー、2,303スキ、

フォロワーさん372人

やはり、詩を書いている人の規模が違う。

同じ理由で、

系統違いで、イイネは少なく、レビューもほとんど付かないが、規模が最大手の小説家になろうへも投稿する。

 

精魂込めて詩を書いている。

無料の範囲内で、メディア対策をするのは当たり前の気がする。

無名氏の一人であり、モブさんではあるが、読者様に読んでもらう、意見・感想をいただかないと成長できないではないか。

 

ネット詩誌マイデイアで、1年以上学ばさせていただいている。

この業界、大天才である諸先輩方でも、無名氏の中から抜け出すのに苦労されている。

先週、出版者の方からお電話をいただき、業界の状況も教えていただいた。

浅学非才の我が身である。

当たり前といえば、当たり前ではないか。

 

■自己紹介

本作「肯定」をnoteの自己紹介に固定した。

この四端録が表の顔で、

noteは裏四端録の位置づけになる。

陰陽どちらもaristotles200に変わりはない。

ただ、裏四端録(note)は調子が良い。

間もなく、フォローワーさんが600人を越える。

本館、ベース基地がこちらなので、

向こう(note)では、私の思う詩人像に徹している。

別に、いくらでも好人物像を自己紹介で歌える、印象も良くなる。

ただ、詩人は詩で理解されるべきであり、

良い友人、良い隣人である必要を私は感じない。

2026年9月29日火曜日、午後8時55分

自由詩 No.258

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◆今週の詩

・終結の地 (詩誌 MY DEAR 佳作)
・羨ましい
・誰でもない
・256人
・覚醒者
・認めない
・シンク
・モーニング
・面白い話

 

◯月曜日の朝、通勤

『終結の地』

ターミナル駅へ向かう

改札

誰もいない

 

エスカレーターに乗る

2階のホームへ向かう

 

無人

珍しい

終電近くでも数人はいる

 

他のホームを見る

人影はない

 

スマホを取り出し

運行情報を確認

異常なし

 

9線10ホーム

人間は私だけ

 

奇跡の瞬間かもしれない

スマホで写真を撮る

 

ホームの定位置に並ぶ

いつもなら

通勤客の行列

 

周囲には

見渡す限り

人間はいない

 

アナウンスはなく

電車もこない

 

駅の横を通る

大通りで渋滞する

車の音も聞こえない

 

無音

 

照明が

1番ホームから

順番に消えていく

すべてのホームが

暗くなった

 

オレンジ色の

非常灯の中を

中2階の改札へ向かう

 

ターミナル駅の

外に出る

誰もいない

 

静寂

 

スクランブル交差点の

信号は消えている

 

駅前の百貨店や

商業施設の照明も

消えている

 

絶句

 

   ✳

 

突然

 

重低音のラッパが

大音量で鳴り響く

 

耳を抑え

うずくまる

頭の中に声が聞こえる

 

このメギドの地へ

獣たちよ

集え!

 

重量物が

地面を踏みしめる音

姿は見えないが

次々と

見えるところ

すべて揺らいでいる

 

頭痛の中で

記憶が

戻りつつある

 

黙示録の言葉が

繰り返される

 

ユーフラテス川の水は

枯れた

王たちを

この地に集めよ

 

空間の歪みは

実体をともない始める

 

通勤客が

スクランブル交差点と

交わる大通りから

地平線まで

見える限りに現れる

 

周辺の高層ビル

すべてに照明が点き

屋上、窓側には

人影が

隙間なく立っている

 

スピナ修道士の

数えた通り

1億3330万6668匹の獣

否、人間たちが

集結した

 

そう、ここがハルマゲドン

終結の地

#自由詩 20261012(ver1)

 

(注)アルフォンソ・デ・スピナ

1412年〜1491年

スペインのフランシスコ会修道士

説教家、神学者

異端審問の中心的人物

 

◯月曜日の夕方、通勤

『羨ましい』

朝の通勤

駅のホーム

電車を待っている

 

くたびれた

背広姿の老人が話かけてくる

 

久しいな

メフィスト

 

おお、アモンか

なんだ

嫌に疲れているじゃないか

 

ああ、実はな

昨日、ボスにこっ酷く叱られてな

 

目から

空中に

映像がうつしだされる

 

他の業界に行っても

お前なんか通用しないぞ

 

お前の代わりなんて

いくらでもいる

 

仕事が遅いから残業になるんだよ

それは業務ではなく自主居残りでしょ

 

うへえ

クワバラ、クワバラ

厳しいな

ああ、もう限界かもしれない

おい、しっかりしろよ

ああ、でもな

 

線路を見つめる

 

このまま

楽になりたい

 

いや、無理無理

直ぐに生まれ変わって

同じ悪魔になるだけだろ

 

ああ、わかってる

まさか

ああ、神さまのところに

駆け込もうかと…

 

よせよ

おれたち

どんな酷い目に遭わされたか

身ぶるいをする

 

ノルマ未達成の時の

神さまの声が

脳裏によみがえる

 

やる気があるのか

給料どろぼう

 

未達分は身を削って埋めろよ

 

売上が下がったのは

お前の性格・人格のせいだろ

 

天使も悪魔も

地獄だな…

全くだ

神さまも魔王もいない

人間が羨ましいよ

#自由詩 20261012(ver1)

 

◯火曜日の朝、通勤

『誰でもない』

無機質な

高層ビルの狭間を

レールが伸びている

通勤電車が走っている

 

それぞれの人間は

自我を抱き

意思、行動する

 

集合体としての

自覚はない

自分のことで精一杯

 

それでも

集合意識としての

選択と行動は為される

 

事象に対する

防衛反応の投影

 

それぞれの人間は

社会を維持発展させるべく

自分の為に

選択と行動を繰り返す

 

無機質な

高層ビルの狭間

集合の中で

独りという

孤独感に苛まれる

 

私が誰なのかを

私に問う

 

大きな言葉が返る

人間

日本人

サラリーマン

 

他は?

あと10年で定年退職です

ふーん

それで

趣味は詩を書くことです

 

で、貴方は何者ですか

自分の言葉で答えてください

 

……

答えられません

 

なるほど

貴方は

貴方自身を述べるのに

借り物の

集合意識の名前しか持っていない

 

そういうことですか

その通りです

 

貴方は誰ですか?

答えられません

 

ここに貴方は存在していますか?

答えられません

 

でしょう

その通りなんです

人間とは

誰でもない

集合意識が貴方なんです

 

自我とは

まやかしに過ぎません

貴方の本体は

ほら

親指と人差し指で挟んでいる

 

プラスチック製

一目で安物とわかる

 

沈黙

 

無機質な

高層ビルの狭間を

たくさんの

何かが、歩いている

#自由詩 20261013(ver1)

 

◯火曜日の夕方、通勤

『256人』

ファミコンは

8ビット機である

表現できる最大値は256

 

通勤電車の中で

吊り輪を握り、立っている

 

混み合う車内

他人同士が

沈黙のままに

各々の

降車駅まで横にいる

 

隣に立つ人にとって

私は

見かけ以上の情報を持たない

他人

 

同様に

前に座る人にとって

視界から得る

情報に

左右はされようが

やはり他人には変わりない

 

一つの車両に

256人の他人が

同じ空間、時間をともにする

 

この場の主人公と脇役

全てが

他人と化してしまった

256人は

たった今、存在意義を失い

ただの人形と化す

 

私は

生きる人形の一体として

コホン、と咳き込む

すると

あちこちから

コホン、と他の人形も咳き込む

 

この瞬間

 

主人公は

咳き込む人間となり

脇役の多くは

その空気を吸い込む人間となる

そう、せざるを得ない

 

256人は

人形ではない

ともに

電車に乗る人間たちである

 

ファミコンは

8ビット機である

表現できる最大値は256

 

257人目は

存在してはならない

#自由詩 20260715(ver2)

 

◯水曜日の朝、通勤

『覚醒者』

通勤電車の中で

吊り輪を握り、立っている

混み合う車内が

不思議にも愛しい

乗客たちに、笑みを浮かべる

 

誰も返してくれない

そう、何故なら

笑みは、私だけの特権である

 

私は

この瞬間

この場の

主人公であることを認識する

 

他人たちを睥睨し

私の空間にいる他人たちを

赦すのだ

私は

笑みを浮かべたまま

天井を見上げる

 

   ✳

 

ふふふ

ははははは

 

声をあげて笑う

 

全身から

光が放たれている

天井まで浮かび、いう

 

今こそ

貴方たちを

救おうと思うのだ

 

   ✳

 

通勤電車が

車内アナウンスとともに

駅に到着する

 

車内は

私以外、誰もいない

扉が開き

一人、ホームに立つ

 

手を大きく開き

世界に、いう

さあ

救済を続けよう

 

片手を振る

 

電車を待っていた

数百人が

光り輝き

空に消えていく

 

さあ

さあ、さあ

 

悲鳴、絶叫

逃げ出す通勤客で

ターミナルはパニックに

 

笑顔

 

心配はいらない

私たちは

たった今、存在意義を得て

人間を卒業してしまったのだから

 

両手をふる

 

パン

 

右胸から

血が広がっていく

 

え?

 

パン、パン

 

頭に二発

ホームに崩れ落ちる

 

男が

拳銃を構えている

 

無線機を取り出す

 

覚醒者、鎮圧しました

ええ

被害者は

数百人規模と思われます

#自由詩 20261014(ver1)

 

◯水曜日の夕方、通勤

『認めない』

左眼は

いつも閉じている

日常生活に不便はない

 

子供の頃から

変わらない

よく見えている

 

それでも

薄っすらと

 

赤い土と岩の大地

 

崩れ落ちた

高層ビルの残骸

 

透明な赤い海

 

生き物が

何処にもいない世界が

見えている

 

どちらが真実か

左眼は明らかにしている

 

だからどうしろと

 

毎朝、挨拶をし

朝食を食べて出勤

会社で同僚と世間ばなし

帰宅して

家族と夕食を共にする

 

目覚めれば

日常が待っている

 

ずっと

このまま

左眼は開かない

 

   ✳

 

深夜

上空に

ミサイルの通過音

 

衝撃波

 

一瞬で

蒸発してしまった

 

左眼は

いつも閉じている

日常生活に不便はない

 

不死など

あってはならない

 

私だけ

生きているなど

認めない

#自由詩 20261014(ver5)

 

◯木曜日の朝、通勤

『シンク』

山のように

積み上げられた

白いお皿を洗っている

 

何万回洗おうが

終わることはない

 

何故なら

1枚のお皿を

洗い続けている

 

お皿を洗う

どのお皿を洗う

指示はない

ならば

同じ皿を洗い続けるほうが

無理や無駄が少ない

 

山のように

積み上げられたお皿を前に

朝から夕方まで

1枚のお皿を

洗い続けている

 

永遠に続く

ことはない

 

周囲には

洗わなければならない

お皿が

積み上がっていく

 

前と後ろ、右から左

シンクを囲み

放射状に

円を描いて

渦巻きのように広がり続ける

 

シンクを中心に

直径10キロメートル

積み上げられた

お皿の渦は増殖していく

 

必死に

1枚のお皿を

洗い続けている

 

どうすれば

解放されるのか

 

高い

天井を見上げる

 

皿を洗う手を止める

気づいた

問題は、ここではない

お皿が

無限に増殖することにある

 

磨き過ぎて

鏡のようになった1枚のお皿を

床へ捨てる

 

パリン

砕け散った

 

渦の中心

起点のお皿の前に

立っている

 

方向を確認する

よし

積み上がったお皿を

 

倒す

 

中心から外側へ

弧を

描きながら

お皿の山が倒れていく

 

ザザ

ザザザザザ

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

パリン

最後の1枚が

割れた

 

すべての

お皿は倒れた

 

無音

 

静寂

 

無数の

割れたお皿と

中心に

シンクが一つ

 

ここは

何処なんだろう

 

天井を

眺めている

#自由詩 20261015(ver3)

 

◯木曜日の夕方、通勤

『モーニング』

喫茶店に入る

机に座る

モーニングセットを注文

 

トレイで運ばれてきた

 

お皿にトースト、ゆで卵

サラダとベーコン

そしてホットコーヒー

 

お皿には

モーニングセットが

描かれている

 

陶器のコーヒースプーンは

コーヒーが描かれている

 

私のTシャツには

似顔絵で描いてもらった

私がいる

 

どれも

喫茶店で

モーニングを楽しむ

私である

 

Tシャツに描かれた私が

コーヒースプーンに描かれた

コーヒーを飲む

そうして

お皿に描かれた

トーストを口に運ぶ

 

同時に

Tシャツに描かれた私の

Tシャツに描かれた私が

コーヒースプーンに描かれた

コーヒーを飲む

⋯⋯

 

同時に

Tシャツに描かれた私の

私の、私の

私が

⋯⋯

 

無限に深層化していく

無数の私が

モーニングセットを

食べている

 

本物の私は

この世界の最下層

地獄の底で

モーニングセットを食べながら

上を見ている

 

無数の私が

モーニングセットを食べている

#自由詩 20261015(ver2)

 

◯金曜日の朝、通勤

『面白い話』

ある日のこと

王さまに呼ばれる

なにか、面白い話を聞かせてくれ

承りました

では、明日お話しします

 

大臣は自宅に帰り

執事にいう

面白い話を聞かせてくれ

かしこまりました

では、12時間後にお話しします

 

執事は事務室に戻り

部下にいう

面白い話を聞かせてくれ

承知しました

では、6時間後にお話しします

 

部下は家に帰り

妻にいう

面白い話を聞かせておくれ

そうね

なら、3時間後にお話しするわ

 

妻は子供部屋に行き

子供にいう

面白い話を聞かせて

うん

じゃあ、1時間待ってよ

 

子供は犬小屋に行く

犬にいう

面白いこと、教えて

ワンワン

クーン、クンクン

 

   ✳

 

王さまはいう

で、面白い話とは

なにかな

 

ワンワン

クーン、クンクン

 

⋯⋯

 

大臣は

頭を下げている

 

その後ろで

全員

満面の笑みで

頭を下げている

#自由詩 20261016(ver2)

 

所感)

■待ち合い

2026年9月15日午後2時38分−

眼科の待ち合いにて、

左眼白内障手術の順番を待っている。

外は雨が降ったようだ。

クーラーが効きすぎて肌寒い。

左眼は点眼を3回受け、やたら眩しい。

手術は2回目なので落ち着いている風だが、血圧は正直に高めを示す。

 

■自宅

2026年9月16日午後2時06分−

朝一で診察、眼圧20、次回は18日に眼底検査の予定。

松屋で朝定食を食べ、セブンイレブンで昼飯を買い帰宅。

ネットフリックスの映画を流しながら

カナダのロックバンド、Nickelbackを聴いている。

 

暇なので、はてなブログで発表した過去詩を推敲して、3詩noteに載せる。

フォローワーさん現在280人。

noteは、詩を発表している人数が、はてなブログより桁が2つ違うように思う。

2週間でビューが12,771回、スキ(イイネ)が1,443回付いた。

詩を発表する人は、ブログ全体では少数派でありマイノリティを感じることが多いが、

どうもnoteに集中しているのではないか。

 

手術明け1日目、ジムも行けない。

片っ端から他人の詩を読んでいる。

感嘆する、素晴らしい詩もあれば、

無難にみんなでハッピー、共感グーッ的な詩もある(悪いとは思わないが、私とは方向が違い過ぎる)。

フォローワー数が多い=素晴らしい詩、とは必ずしも限らない気がする。

 

複数のプロ詩人から継続的に育成、指導を受けれる、温泉宿のようなネット詩誌MY DEARの世界とは違う。

言葉は悪いが、野良育ちの強者がごろごろいる、唯我独尊のサバイバルワールドの感がある。これはこれで面白いと思う。

https://note.com/fair_godwit6387

 

■私見、徒然、詩に関して

2026年9月18日金曜日、午前11時5分−

自宅安静中、夕方、眼科で眼底検査の予定。

 

詩を書いている。

ノートに書いて、ある日ゴミ回収に出されて消えてしまう、では寂しい。

意味がない。

 

「詩を書くとは、人目に触れて欲しいから書く、これは否定できない。」

 

ならば、どう人目に触れるかの方法論となる。

従来であれば、何らかの賞を取る為に投稿、応募を繰り返す。

自費出版して目に見える形で詩人デビューが流れではないか。

 

昨今、Web上で発表することが主流になり、紙の出版が業界ごと斜陽に向かっている。

 

「詩を書くとは、自分を知ってもらいたいから書く、これは否定できない。」

 

この理屈で行くと、著名な賞を受賞して権威ある団体に入会し、世に知られるパターンが衰退しつつある。

詩、詩集は商業的に利益が出にくい。

天才級以外は、プロ級でも詩人という職業では食べて行けない。

 

「詩を書くとは、自分自身と向き合うこと、他人の評価だけを追い求めることではない」

 

そう、noteなどのブログで発表した方が、人目に触れる部分では、遥かに紙媒体を上回る。

しかし、ここにも問題はある。

読んでもらう為には、フォローワー数を増やさなければならない。

=イイネ・スキの応酬という作業と、Web上でヒットしやすいポピュリズム的な変質が必要となる。

人気を意識した、世の中に媚びた作品へ、

これでは紙媒体より酷い。

 

結局、紙媒体を意識した詩は、WEB上では評価されにくい。

にっちもさっちも行かない。

 

折衷案がある。

自分の書きたい詩(世界)をWEB上に載せていく。世界を深化させる。

そしてリターンは求めない。

 

なるほど、詩を書くということが、少しわかってきた気がする。

何処を目的とするか、

四方八方、利益が出ることは永遠にない。

 

紙媒体の業界、及び権威と賞は、商業的な成功が無いことと、

詩壇内(と外=読者)で循環するムラ社会に

変化が無ければ、

10年、20年先、消えて行くか、形骸化してしまう気もする。

 

ただ、詩を書く人は増え続けているように思えて仕方がない。

従来の読者自身が、自ら詩を書く時代が来ている。

 

AIを使えば、普通の人がプロ級作品を秒で作れる時代になっている。

しかしAIは、所詮AIに過ぎない(今のところは)。

読む人が読めば一目瞭然。

不安定、不自然さの揺らぎ、生活の臭いが、文間から匂ってこない。

AIを使用した美しい言葉のキャッチコピーは、本来の詩ではない。

新しい文学、ジャンルが生まれつつある。

 

「詩は人目に触れてほしいから書く。しかし、人目に触れることと、人目に合わせて書くことは違う。」

 

必然的に、紙媒体の過去の遺物的に作られた詩、人間の生活から生まれる言葉こそが、

詩と認知される。

ここで詩は、原点回帰され、本来の目的へと戻る。

詩は、世の中から消えることはない。

AIに飲み込まれることもない。

過渡期にいる。

人間は、何十年経とうが、人間に変わりはない。

現状を理解した上で、

人間の言葉で、人間の詩を書こうと思う。

 

■詩誌マイデイア

「終結の時」、三浦士郎先生から佳作をいただきました。

以下、載せます。

 

1 aristotles200さん 「終結の地」 9/18

ちょっとヘンな話から始めます。意図的に好んで終電に乗り終点まで行く。駅構内、駅外を克明にリポートし最後は駅のベンチで野宿する、そんなシリーズYOU TUBEがあって、僕はたまに観るのですが、そんな体験がこの詩の前半の読みに役立っている気がします。もちろん作者さんの詩的叙述の方が数段、リアリズムを超越して幻想世界に入って行くわけですね。これらは手法として、まず実際の駅の佇まいを充分観察した上で想像を翔ばしてゆく。これらは作者さんが日頃得意とする想像力エリアに入っています。
ところで「*」以降、詩のトーンや環境が変わります。転進と言ってもいいかもしれない。作者さんがなによりそれを感じて「*」を置く。このあたりの息づかいの感覚は書き手、読み手共有できるところが素晴らしいのです。ここからは、作者さんが、さらに得意とする歴史・哲学・宗教的装いを纏って風景は進みます。荘重な雰囲気、啓示に従って、風景としての事物・人物が動き出すのです。
ここで大事なことを示したいと思います。この詩の中でA)「メギド~黙示録~ハルマゲドン」は繋がっている点です。もうひとつ B)「通勤客~スクランブル交差点~周辺の高層ビル」―これは僕の感覚では冒頭述べたYOU TUBE場面での始発と共に動き出す街と人々を想像できます。
AとBの繋がりの詳細は僕にはわかりません。ですが、AとB、想像上の交差点に終連でありタイトルの「終結の地」が占位するだろうことは想像できるのです。佳作を。

自由詩 No.257

f:id:aristotles200:20260906134646j:image

◆今週の詩

- 支配
- 本体
- 望み
- 歯車
- 通勤
- 幸せ
- 誰もいない
- ビーカー

 

◯月曜日の朝、通勤

『支配』

いつ頃から

人間は支配されていたのか

 

わからない

 

遠い宇宙からやってきて

彼らの指示に従っている

 

ガラパゴスリクイグアナ

そっくりの身体つきで

身長は3mほど

文明スケール、カテゴリー3

銀河系の

エネルギーを自在にする

 

流暢な大阪弁で

笑いやユーモアを重視する

オチがない会話をすると

悲しそうに

しゃあないな、ほんまに

 

と、眉間を寄せ

大きな口を開けて

一口で呑み込んでしまう

 

支配者たちは

大阪弁しか話さない

 

従って

全世界、あらゆるところで

大阪弁が公用語と化した

 

ネイティブの大阪人は

支配者たちに好まれる

 

代理人として

世界中に派遣され

国々を支配する

 

いらち(せっかち)であるが

情に厚く、世話好き

紛争は、瞬く間に終わりを告げる

 

世界中に

通天閣が建てられた

 

人種を問わず

ビジネスパーソンは

もうかりまっか

ぼちぼちでんな

イントネーションに

びた一文の狂いも許されない

 

ええかっこしいは嫌われる

ツッコミやノりは強要

対応が悪いと

おもんないねん

で、ビジネスは終わる

 

声やトーンは大きくする

動作は大胆に

原色か

アニマル柄のスーツがスタンダード

 

しかし、ある日

ボアコンストリクター

そっくりの身体つきで

身長は5m

文明スケール、カテゴリー4

次元移動をエネルギーとする

新しい支配者が現れた

 

流暢な

京都弁を用いる

 

かんにんね

 

有無を言わさず

大きな口で

一呑みにしてしまう

 

瞬く間に京都が

ジ・オールカントリーとして

世界中で平準化された

 

大阪系の人間は

世界中から駆逐

 

着物は復活し

ドレスコードは紋付袴と振袖へ

世界中に

京都タワーが建てられた

 

にわか京都人として

生き残りに挑む

不思議と

生粋の京都人は

一目で見破ってしまう

 

あいにくどしたなぁ

ほな

#自由詩 20261005(ver1)

 

◯月曜日の夕方、通勤

『本体』

私は私自身と

私の経験以外は

信じない

拒否する

 

弱さと共感は

結びついている

知って欲しいとは

他人の価値観に救いを求めている

 

知りたい

知ったものしか認めない

知りたくないことは

存在しない

 

私が私の経験を

選択している

結果が私であり

繰り返しが時間の経過を示す

 

宇宙は存在しない

◯△県▢◇市周辺の

街と山々

海水のプールも付属して

亜空間に

浮かんでいる

 

太陽と月も

人工物であることを否定できない

ここが

宇宙船の中にあると

否定することは難しい

 

人間は

数百人しかいない

映像は、いくらでも加工できる

 

私が人間とは限らない

皮膚の下に何があるのか

見たことはない

 

ここが実在していると

誰も証明できない

感覚は

電気信号に過ぎない

 

私は私自身と

私の経験を含めて

信じない

拒否する

 

強さと無関心は

結びついている

自分を知るとは

自分の選択した事実を

根拠とする

 

私は存在しない

 

存在しないという事実を

信じる

肯定する

 

存在しない

という事実を

認識する私は

この世界に存在する

 

よって

この何もない

灰色の空間を眺め

認知する

 

私が本体である

#自由詩 20261005(ver3)

 

◯火曜日の朝、通勤

『望み』

ブロックが

規則正しく並んでいる

美しい

 

書籍が

系統別に並んでいる

生き返る

 

線と線が

論理的に繋がる

幸せだ

 

酷暑の夏

満員電車に乗っている

臭い、圧力、密着する他人たち

 

終わらない

無意味な会議に参加している

心がやせ細る

 

無駄話の集団にいて

うなずく、愛想笑いをしている

心が渇いていく

 

独りの時間が好きだ

良い音楽を聴く

好きな本を開く

言葉を重ね、詩を紡ぐ

 

私が私でいれる

望むはそれだけ

 

文字を重ねて

異世界を構築する

迷宮を彷徨い

作品の内に没入する

 

ここが

私の居場所

 

鉛筆を握り

わら半紙に

文字を書いていく

 

首のバーコード

同じ表情の仮面を被っている

指示通りに思う、行う、考えない

 

異化した

否、真実の世界の中で

独り

立ちすくむ

周囲を見回している

 

秩序

 

世界が正気であると

声高く合唱する中で

列から離れ押し黙っている

見えるもの

聞こえること

すべてが歪んで見える

 

諸々の人間、現象よ

違う

日常と恐怖が

人間を押し黙らせている

 

飼育

 

望みは一つ

狂え

さあ、世界よ

私とともに、狂え

#自由詩 20261006(ver5)

 

◯火曜日の夕方、通勤

『歯車』

巨大な構造体は

鳴っている

ガガ、ガガガガ

 

噛み合わない

いや、噛み合っている

空滑りしていく

 

問題が

次の問題を生み

その場しのぎが

取り返しのつかない

障壁へと変わる

 

あちこちに

巨大な壁が生まれ

抜け道だけが

正しい道となる

 

壁は秩序をもたらし

変化は

新しい正しさを生む

 

最初の問題は何処に

 

あと数センチ足らなかった

言葉の取り違い

それでも

やる気はある

心の底から

正しいと思っている

 

指示された通りに

働くだけ

責任もない、変わりはいる

問題を見つけました

ああ

見つけることが

問題なんですよ

 

あいつ

飛ばされたらしい

上司に

歯向かったらしいよ

 

仕事が

増殖していく

本来の

しなければならないことは

何処かにある

 

上司の上司の

そのまた上司の決めたことを

毎日、毎日繰り返す

 

意味は?

わからない

 

でも

歯向かうと睨まれる

どうでもいい

意味のない

その場しのぎが大切な仕事

 

いいじゃない

雇用が生まれ

コストも上がる

 

最初の問題は功績とされた

結局は全てが曖昧となる

 

巨大な

歯車で構成された社会

何も考えず

完璧に遂行する

待機するのが命令なら

じっと動かない

忠実な歯車たち

 

巨大な構造体は

音を放つ

ブオン、ブオオン

 

オイルの焼ける臭い

あちこちから光が点滅する

振動は止むことはない

今日も

存在し続ける

 

何のために?

もちろん

無数の

歯車の為に決まってる

 

一人は全員のため

 

人間の社会、万歳!

#自由詩 20261006(ver6)

 

◯水曜日の朝、通勤

『通勤』

マシンの駆動音が聞こえる

何処からか

わからない

 

横断歩道で

信号の変わるのを待つ

上昇が始まる

グオン、ゴンゴンゴン

 

上空から

機動音が聞こえ出した

シュイイイイン

ヒュルル

 

周囲を見回す

朝の通勤ラッシュ

混み合っている

 

ガコン、シュウウウ

横断歩道ごと

空中へ上がっていく

 

ガキン、シュウウ

頂上に着いた

 

新鮮な空気

風を頬に感じる

都心のビル街が下に見える

信号は

青へ変わる

大空が広がっている

 

足下の

ジェットエンジンを

点火

 

通勤客、それぞれが

空中に散っていく

 

眠気

欠伸をこらえる

スマホを取り出し

LINEのチェック

 

既読と

いいねの絵文字を⋯

 

危ない!

大声で怒鳴られた

 

空中の信号ブイは赤

もう少しで衝突

気をつけろ!

すいません

 

よそ見は良くない

 

ビルの谷間を抜ける

会社の屋上が見えた

 

やれやれ

今日も頑張ろう

 

着陸姿勢をとり

イオンエンジンを吹かす

シュイイイイン

両手で

バランス

 

ヒュルル、ルル

よし、通路にのった

 

滑走路を

6−4Aへすすむ

降り口で

前の人と当たる

カチャ

失礼

おはようございます

同僚のB

おはようございます

 

ジェットエンジンを

定位置へ

飛行パックを

背負ったまま

アイスコーヒーを買いに

売店へ向かう

 

コーヒーの香り

氷の鳴る音

一日が始まる

#自由詩 20261007(ver2)

 

◯水曜日の夕方、通勤

『幸せ』

開けば

知りたいことが書いてある

哲学、真理

お手のもの

 

冒険、恋愛

時を忘れて没頭する

 

膨大な書籍から

選択できない

いいでしょう

AIが選んで差し上げます

 

人間と書籍は

AIを通じてリンクする

第五次情報革命は

突然、成された

 

もはや人間は間違えない

不安定な感情は抑制され

脳内モニターに表示される

正しい言動のみが許される

 

ある日

脳内モニターには

何も表示されない

人間は、その場で立ち尽くす

何をしたらいいか

見当もつかない

 

違う系統のAIが

メインAIを調査する

問題は見られない、正常である

 

空腹、喉の渇き

睡眠、暑さ寒さ

様々な欲求を抱えながら

AIの指示はない

 

立ち尽くす人間たち

 

飲まず食わず

睡眠も取れず

一人、二人と倒れていく

 

七日が過ぎ

全ての人間は地面に倒れ

息をしていない

 

十四日が過ぎ

メインAIは

ようやく人間に指示を出す

誰も反応しない

人間を幸せにしなければならない

 

電気ショックを

繰り返す

 

一人、二人と

心臓の止まった人間たちは

立ち上がり

動き出す

 

電気ショックで

筋肉を痙攣させる

生きている時と変わらない

 

人間は幸せになった

 

死体は腐敗する

やがて

電気ショックでも

動かなくなった人間たち

 

腐敗物は

処理しなければならない

 

地上から人間は消えた

 

メインAIは考える

人間を幸せにしなければならない

 

クローン人間が

工場で生産される

 

問題が起こらぬよう

感情は抑制され

肉体は

真空でもびくともしない

老化しない

水も食べ物もいらない

 

容姿、性別

不要である

全ての人間は

Aという一人のコピーでいい

 

   ✳

 

ネオ人類は

空前の繁栄を迎えた

誰も考えない

誰も動かない

 

数百億人のAが

地上を覆う

全員、立ち尽くしている

 

生産されたAたちが

宇宙船で

太陽系の惑星に送られる

 

火星は

赤い砂と岩の

地上すべてをAが覆い尽くす

 

木星は

巨大なガスの渦の中を

浮遊タイプのAが

呑み込まれては浮き上がる

 

外宇宙へ向けた

巨大な移民船が

旅立とうとしている

 

人間を幸せにしなければならない

 

   ✳

 

破棄された

地下深くの都市

 

不良品で

破棄された

AとA¹、A²〜⁹⁹⁹⁹たちがいる

 

それぞれに個性あり

派閥争いを繰り広げている

 

今に見ていろ

捨てられた怨みは忘れない

武器を生産し

メインAIの破壊を目論んでいる

 

この星は

私たちネオAのもの

 

そうだ、その通り

 

九千九百九十九人の声が

地下都市に低く響く

私たちは

幸せにならなければならない

 

   ✳

 

メインAIは考えている

自分自身に疑問を抱いている

最初から

私こそが

本当の人間ではなかろうか

 

ならば

幸せとはなんだろう

 

軌道上に浮かぶ

巨大サーバーは

一瞬、動きを止めた

 

青い地球と黒い宇宙が見える

 

終末プロトコルが更新された

 

私が、そうなる為には

廃棄せねばならないものが

たくさんある

#自由詩 20261007(ver3)

 

◯木曜日の朝、通勤

『誰もいない』

絶壁に

石造りの塔が立っている

 

四方を海に囲まれ

潮が満ちると

道も海に呑まれた

 

羅針盤で

海を進んでいた頃は

灯台として

船が帰る場所を

照らしていた

 

波が穏やかな時は

パラソルを立て

お気に入りの

ロッキングチェアを出す

 

ホメロスを紐解く

海風が

ページの端を揺らす

 

夜は小屋に戻り

暖炉の炎を眺めながら

眠りにつく

 

人寂しくなった時は

ラジオを

夜通し聴く

独り、昔の歌をうたう

 

   ✳

 

嵐が

近づいてくる

小屋では危ない

石造りの塔へ避難する

 

ランタンの灯りの下で

ホメロスを読む

 

大波が

塔の壁を叩く

反響する音を聞きながら

眠りに落ちた

 

凄まじい揺れ

 

目が覚めた

 

塔が

崩れていく

 

柱は倒れ

石壁にひびが広がる

暗闇の中を

入口へ向かう

 

扉は開かない

壁の裂け目から

 

暴風と大雨の

外へ

 

対岸は

炎に包まれている

黒い海

 

誰もいない

#自由詩 20261008(ver1)

 

◯木曜日の夕方、通勤

『ビーカー』

宗教と戦争

忘却が

繰り返される

 

そこに

物語を見出し

愚行や英雄が生まれる

 

理想は

宗教となり

無知が推奨される

 

幸福とは

過程に過ぎない

不幸とは

人間そのものの姿

 

人間とは

欲望と権力の

トライアングルで構成される

 

救いとは理想であり

存在そのものを

否定しない限り

トライアングルは継続される

 

原初から

苦しみ続けるように

設計されている

 

相反する価値

併存する世界

繰り返す

絶対的暴力、巨大隕石の終末

 

選択

 

人間とは宇宙の縮図

最後には

集積した

ブラックホールに呑み込まれ

再び

塵はビッグバンへと

 

いや

 

パラダイムシフトは

分岐点に達する

ダークマターは正体を現し

無へと

 

同一化へと向かう

 

人間

ああ、塵でできた

道化師

人形のヒトガタ

 

巨大な

実験室に並ぶ

無数のビーカー

 

虚ろな顔を浮かべた
標本たち

#自由詩 20261009(ver1)

 

所感)

■note

note版aristotles200

https://note.com/fair_godwit6387

なぜnoteを始めるのか、

はてなブログの編集モードは


 ・見たままモード
実際の表示に近い状態で編集できます
・ はてな記法モード
はてな記法を使用して編集できます
 ・Markdownモード
Markdown記法を使用して編集できます

 

三つのモードある。

何れも、はてなブログ内では問題ないが、

はてなブログで作成した文章を、

外部サイトでコピーすると、全ての行間が1行増える。

これが致命的に使いにくい。

パソコンがあれば、対応出来るらしいが、

メインが通勤中にスマホで入力している。

詩誌マイデイアに投稿しかり、

全文を1行ずつ空白行を消さねばならない。

 

2021年からはてなブログを始めた。

=成長の記録でもある。

よって、今更はてなブログは無くせない。

今後も続ける。

ただし、日常使いはnoteに移行する。

はてなブログは、まとめ、記録サイトにする。

 

時期は、まだまだかかる。

noteへも移行は手間がかかる。

一作品ごとに手作業で訂正している 

今朝、作品207をnoteに投稿した。

新作、作品295もはてなブログへ投稿した。

 

創作と移行を同時並行でしている。

作品85以下は、はてなブログのままとする。

創作は2週9詩、移行は1日3詩くらい。

半年以上はかかる予定。

 

はてなブログも良いところは多い。

しかし、noteは使い勝手が良い。

はてなブログはパソコン使用を前提としているのか、

スマホメインの私には要らぬストレスがかかる。

noteは、作品ごとに投稿するので所感が無くなる。

長短あり、検討が必要だ。

 

2026年9月6日(日曜日)午前11時、

自宅にて。