四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、自由詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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作品306

『丸』

手のひらに

丸を描く

 

その丸の中に

丸を描く

 

黒く塗りつぶした

手のひらを

横から見る

 

ピラミッドのように

丸は

天井に当たる

 

家を出て

外に

 

手のひらを

水平にする

 

丸は

天空まで届いた

 

手のひらから伸びる

丸は

宇宙へ

 

銀河系を

飛び出す

 

宇宙を突き進む

 

おとめ座超銀河団が

後ろに見える

 

手のひらを

ゆっくりと握る

 

宇宙の最奥から

地球まで

丸が閉じられていく

 

無数の光点と

ブラックホールが

収縮していく

 

丸は

手のひらに戻る

 

空は

世界は

巨大な手の中に

暗やみに包まれた

 

握った左手に

すべてが存在する

 

軽く揺らす

世界が揺れている

#自由詩 20261019(ver1)

 

自由詩 No.258

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◆今週の詩

・ 終結の地 (詩誌 MY DEAR 投稿)

・ 羨ましい

・ 誰でもない

・ 256人

・ 覚醒者

・ 認めない

・ シンク

・ モーニング

・ 面白い話

 

◯月曜日の朝、通勤

『終結の地』

ターミナル駅へ向かう

改札

誰もいない

 

エスカレーターに乗る

2階のホームへ向かう

 

無人

珍しい

終電近くでも数人はいる

 

他のホームを見る

人影はない

 

スマホを取り出し

運行情報を確認

異常なし

 

9線10ホーム

人間は私だけ

 

奇跡の瞬間かもしれない

スマホで写真を撮る

 

ホームの定位置に並ぶ

いつもなら

通勤客の行列

 

周囲には

見渡す限り

人間はいない

 

アナウンスはなく

電車もこない

 

駅の横を通る

大通りで渋滞する

車の音も聞こえない

 

無音

 

照明が

1番ホームから

順番に消えていく

すべてのホームが

暗くなった

 

オレンジ色の

非常灯の中を

中2階の改札へ向かう

 

ターミナル駅の

外に出る

誰もいない

 

静寂

 

スクランブル交差点の

信号は消えている

 

駅前の百貨店や

商業施設の照明も

消えている

 

絶句

 

   ✳

 

突然

 

重低音のラッパが

大音量で鳴り響く

 

耳を抑え

うずくまる

頭の中に声が聞こえる

 

このメギドの地へ

獣たちよ

集え!

 

重量物が

地面を踏みしめる音

姿は見えないが

次々と

見えるところ

すべて揺らいでいる

 

頭痛の中で

記憶が

戻りつつある

 

黙示録の言葉が

繰り返される

 

ユーフラテス川の水は

枯れた

王たちを

この地に集めよ

 

空間の歪みは

実体をともない始める

 

通勤客が

スクランブル交差点と

交わる大通りから

地平線まで

見える限りに現れる

 

周辺の高層ビル

すべてに照明が点き

屋上、窓側には

人影が

隙間なく立っている

 

スピナ修道士の

数えた通り

1億3330万6668匹の獣

否、人間たちが

集結した

 

そう、ここがハルマゲドン

終結の地

#自由詩 20261012(ver1)

 

(注)アルフォンソ・デ・スピナ

1412年〜1491年

スペインのフランシスコ会修道士

説教家、神学者

異端審問の中心的人物

 

◯月曜日の夕方、通勤

『羨ましい』

朝の通勤

駅のホーム

電車を待っている

 

くたびれた

背広姿の老人が話かけてくる

 

久しいな

メフィスト

 

おお、アモンか

なんだ

嫌に疲れているじゃないか

 

ああ、実はな

昨日、ボスにこっ酷く叱られてな

 

目から

空中に

映像がうつしだされる

 

他の業界に行っても

お前なんか通用しないぞ

 

お前の代わりなんて

いくらでもいる

 

仕事が遅いから残業になるんだよ

それは業務ではなく自主居残りでしょ

 

うへえ

クワバラ、クワバラ

厳しいな

ああ、もう限界かもしれない

おい、しっかりしろよ

ああ、でもな

 

線路を見つめる

 

このまま

楽になりたい

 

いや、無理無理

直ぐに生まれ変わって

同じ悪魔になるだけだろ

 

ああ、わかってる

まさか

ああ、神さまのところに

駆け込もうかと…

 

よせよ

おれたち

どんな酷い目に遭わされたか

身ぶるいをする

 

ノルマ未達成の時の

神さまの声が

脳裏によみがえる

 

やる気があるのか

給料どろぼう

 

未達分は身を削って埋めろよ

 

売上が下がったのは

お前の性格・人格のせいだろ

 

天使も悪魔も

地獄だな…

全くだ

神さまも魔王もいない

人間が羨ましいよ

#自由詩 20261012(ver1)

 

◯火曜日の朝、通勤

『誰でもない』

無機質な

高層ビルの狭間を

レールが伸びている

通勤電車が走っている

 

それぞれの人間は

自我を抱き

意思、行動する

 

集合体としての

自覚はない

自分のことで精一杯

 

それでも

集合意識としての

選択と行動は為される

 

事象に対する

防衛反応の投影

 

それぞれの人間は

社会を維持発展させるべく

自分の為に

選択と行動を繰り返す

 

無機質な

高層ビルの狭間

集合の中で

独りという

孤独感に苛まれる

 

私が誰なのかを

私に問う

 

大きな言葉が返る

人間

日本人

サラリーマン

 

他は?

あと10年で定年退職です

ふーん

それで

趣味は詩を書くことです

 

で、貴方は何者ですか

自分の言葉で答えてください

 

……

答えられません

 

なるほど

貴方は

貴方自身を述べるのに

借り物の

集合意識の名前しか持っていない

 

そういうことですか

その通りです

 

貴方は誰ですか?

答えられません

 

ここに貴方は存在していますか?

答えられません

 

でしょう

その通りなんです

人間とは

誰でもない

集合意識が貴方なんです

 

自我とは

まやかしに過ぎません

貴方の本体は

ほら

親指と人差し指で挟んでいる

 

プラスチック製

一目で安物とわかる

 

沈黙

 

無機質な

高層ビルの狭間を

たくさんの

何かが、歩いている

#自由詩 20261013(ver1)

 

◯火曜日の夕方、通勤

『256人』

通勤電車の中で

吊り輪を握り、立っている

 

混み合う車内

他人同士が

沈黙のままに

それぞれの降車駅まで横にいる

 

隣に立つ人にとって

私は、見かけ以上の情報を持たない

他人だ

 

同様に、前に座る人にとって

視界からくる

情報に左右はされようが

やはり他人には変わりない

 

一つの車両に

256人の他人が

同じ空間、時間をともにする

 

この場の主人公と脇役

全てが他人と化してしまった

この256人は

たった今、存在意義を失い

ただの人形と化してしまったのだ

 

私は、生きる人形の一体として

コホン、と咳き込む

すると

あちこちから

コホン、と他人の人形も咳き込み

 

この瞬間

主人公は

咳き込む人たちとなり

脇役の多くは

その空気を吸い込む

そう、せざるを得ない

 

もはや256人は

他人ではない

ともに

電車に乗る仲間たちではないか

#自由詩 20261013(ver1)

 

◯水曜日の朝、通勤

『覚醒者』

通勤電車の中で

吊り輪を握り、立っている

混み合う車内が

不思議にも愛しい

乗客たちに、笑みを浮かべる

 

誰も返してくれない

そう、何故なら

笑みは、私だけの特権である

 

私は

この瞬間

この場の

主人公であることを認識する

 

他人たちを睥睨し

私の空間にいる他人たちを

赦すのだ

私は

笑みを浮かべたまま

天井を見上げる

 

   ✳

 

ふふふ

ははははは

 

声をあげて笑う

 

全身から

光が放たれている

天井まで浮かび、いう

 

今こそ

貴方たちを

救おうと思うのだ

 

   ✳

 

通勤電車が

車内アナウンスとともに

駅に到着する

 

車内は

私以外、誰もいない

扉が開き

一人、ホームに立つ

 

手を大きく開き

世界に、いう

さあ

救済を続けよう

 

片手を振る

 

電車を待っていた

数百人が

光り輝き

空に消えていく

 

さあ

さあ、さあ

 

悲鳴、絶叫

逃げ出す通勤客で

ターミナルはパニックに

 

笑顔

 

心配はいらない

私たちは

たった今、存在意義を得て

人間を卒業してしまったのだから

 

両手をふる

 

パン

 

右胸から

血が広がっていく

 

え?

 

パン、パン

 

頭に二発

ホームに崩れ落ちる

 

男が

拳銃を構えている

 

無線機を取り出す

 

覚醒者、鎮圧しました

ええ

被害者は

数百人規模と思われます

#自由詩 20261014(ver1)

 

◯水曜日の夕方、通勤

『認めない』

左眼は

いつも閉じている

日常生活に不便はない

 

子供の頃から

変わらない

健診で問題はない

 

幽霊や悪霊が

見えるわけでもない

 

左眼から

ヒートビジョンも放てない

 

真夜中に

左眼が外に出て

手足が伸びて

話しかけてくることもない

 

もちろん

見えている

 

それでも

薄っすらと

 

赤い土と岩の大地

 

崩れ落ちた

高層ビルの残骸

 

透明な赤い海

 

人間は

何処にもいない世界が

見えている

 

どちらが真実かも

気づいている

 

だからどうしろと

 

毎朝、挨拶をし

朝食を食べて出勤

会社で同僚と世間ばなし

帰宅して

家族と夕食を共にする

 

深夜

上空に

ミサイルの通過音

 

衝撃波

 

一瞬で

蒸発する

 

目覚めれば

日常が待っている  

 

繰り返す

 

ずっと

このまま

左眼は開かない

 

認めない

#自由詩 20261014(ver1)

 

◯木曜日の朝、通勤

『シンク』

山のように

積み上げられた

白いお皿を洗っている

 

何万回洗おうが

終わることはない

 

何故なら

1枚のお皿を

洗い続けている

 

お皿を洗う

どのお皿を洗う指示はない

ならば

同じ皿を洗い続けるほうが

無理や無駄が少ない

 

山のように

積み上げられたお皿を前に

朝から夕方まで

1枚のお皿を洗い続けている

 

永遠に続く

ことはない

 

周囲には

洗う予定のお皿が

積み上がっていく

 

前と後ろ、右から左

シンクを囲み

放射状に円を描いて

渦巻きのように広がり続ける

 

シンクを中心に

直径10キロメートル

積み上げられた

お皿の渦は増殖していく

 

必死に

1枚のお皿を洗い続けている

 

どうすれば

ここから解放されるのか

 

皿を洗う手を止める

気づいた

問題は、ここではない

お皿が

無限に増殖することにある

 

磨き過ぎて

鏡のようになった1枚のお皿を

床へ捨てる

 

パリン

砕け散った

 

渦の中心

起点のお皿の前に

立っている

 

方向を確認する

よし

積み上がったお皿を

 

倒す

 

中心から外側へ

弧を描きながら

お皿の山が倒れていく

 

ザザ

ザザザザザ

 

ゴゴゴゴゴゴ

 

パリン

最後1枚が割れる

 

直径10キロメートル

すべてのお皿は倒れた

 

静寂

 

無数の割れたお皿と

中心に

シンクが一つ 

 

ここは

何処なんだろう

#自由詩 20261015(ver1)

 

◯木曜日の夕方、通勤

『モーニング』

喫茶店に入る

机に座る

モーニングセットを注文

 

トレイで運ばれてきた

 

お皿にトースト、ゆで卵

サラダとベーコン

そしてホットコーヒー

 

お皿には

モーニングが描かれている

 

陶器のコーヒースプーンは

コーヒーが描かれている

 

私のTシャツには

似顔絵で描いてもらった

私がいる

 

どれも

喫茶店で

モーニングを楽しむ

私である

 

Tシャツに描かれた私が

コーヒースプーンに描かれた

コーヒーを飲む

そうして

お皿に描かれた

トーストを口に運ぶ

 

同時に

Tシャツに描かれた私の

Tシャツに描かれた私が

コーヒースプーンに描かれた

コーヒーを飲む

⋯⋯

 

同時に

Tシャツに描かれた私の

私の、私の

私が

⋯⋯

 

無限に深層化していく

無数の私が

モーニングセットを食べている

 

本物の私は

最下層で

モーニングセットを食べながら

上を見る

 

無数の私が

モーニングセットを食べている

#自由詩 20261015(ver1)

 

◯金曜日の朝、通勤

『面白い話』

ある日のこと

王さまに呼ばれる

なにか、面白い話を聞かせてくれ

承りました

では、明日お話しします

 

大臣は自宅に帰り

執事にいう

面白い話しを聞かせてくれ

かしこまりました

では、12時間後にお話しします

 

執事は事務室に戻り

部下にいう

面白い話しを聞かせてくれ

承知しました

では、6時間後にお話しします

 

部下は家に帰り

妻にいう

面白い話しを聞かせておくれ

そうね

なら、3時間後にお話しするわ

 

妻は子供部屋に行く

子供にいう

面白い話しをしらない

うん

じゃあ、1時間待ってよ

 

子供は犬小屋にいく

犬にいう

面白いこと、教えて

ワンワン

クーン、クンクン

 

   ✳

 

王さまはいう

で、面白い話とは

なにかな

 

ワンワン

クーン、クンクン

 

⋯⋯

 

#自由詩 20261016(ver1)

 

所感)

■待ち合い

2026年9月15日午後2時38分−

眼科の待ち合いにて、

左眼白内障手術の順番を待っている。

外は雨が降ったようだ。

クーラーが効きすぎて肌寒い。

左眼は点眼を3回受け、やたら眩しい。

手術は2回目なので落ち着いている風だが、血圧は正直に高めを示す。

 

■自宅

2026年9月16日午後2時06分−

朝一で診察、眼圧20、次回は18日に眼底検査の予定。

松屋で朝定食を食べ、セブンイレブンで昼飯を買い帰宅。

ネットフリックスの映画を流しながら

カナダのロックバンド、Nickelbackを聴いている。

 

暇なので、はてなブログで発表した過去詩を推敲して、3詩noteに載せる。

フォローワーさん現在280人。

noteは、詩を発表している人数が、はてなブログより桁が2つ違うように思う。

2週間でビューが12,771回、スキ(イイネ)が1,443回付いた。

詩を発表する人は、ブログ全体では少数派でありマイノリティを感じることが多いが、

どうもnoteに集中しているのではないか。

 

手術明け1日目、ジムも行けない。

片っ端から他人の詩を読んでいる。

感嘆する、素晴らしい詩もあれば、

無難にみんなでハッピー、共感グーッ的な詩もある(悪いとは思わないが、私とは方向が違い過ぎる)。

フォローワー数が多い=素晴らしい詩、とは必ずしも限らない気がする。

 

複数のプロ詩人から継続的に育成、指導を受けれる、温泉宿のようなネット詩誌MY DEARの世界とは違う。

言葉は悪いが、野良育ちの強者がごろごろいる、唯我独尊のサバイバルワールドの感がある。これはこれで面白いと思う。

https://note.com/fair_godwit6387

 

■私見、徒然、詩に関して

2026年9月18日金曜日、午前11時5分−

自宅安静中、夕方、眼科で眼底検査の予定。

 

詩を書いている。

ノートに書いて、ある日ゴミ回収に出されて消えてしまう、では寂しい。

意味がない。

 

「詩を書くとは、人目に触れて欲しいから書く、これは否定できない。」

 

ならば、どう人目に触れるかの方法論となる。

従来であれば、何らかの賞を取る為に投稿、応募を繰り返す。自費出版して目に見える形で詩人デビューが流れではないか。

 

昨今、Web上で発表することが主流になり、紙の出版が業界ごと斜陽に向かっている。

 

「詩を書くとは、自分を知ってもらいたいから書く、これは否定できない。」

 

この理屈で行くと、著名な賞を受賞して権威ある団体に入会し、世に知られるパターンが衰退しつつある。

詩、詩集は商業的に利益が出にくい。

天才級以外は、プロ級でも詩人という職業では食べて行けない。

 

「詩を書くとは、自分自身と向き合うこと、他人の評価だけを追い求めることではない」

 

そう、noteなどのブログで発表した方が、人目に触れる部分では、遥かに紙媒体を上回る。

しかし、ここにも問題はある。

読んでもらう為には、フォローワー数を増やさなければならない。

=イイネ・スキの応酬という作業と、Web上でヒットしやすいポピュリズム的な変質が必要となる。

人気を意識した、世の中に媚びた作品へ、

これでは紙媒体より酷い。

 

結局、紙媒体を意識した詩は、WEB上では評価されにくい。

にっちもさっちも行かない。

 

折衷案がある。

自分の書きたい詩(世界)をWEB上に載せていく。世界を深化させる。

そしてリターンは求めない。

 

なるほど、詩を書くということが、少しわかってきた気がする。

何処を目的とするか、

四方八方、利益が出ることは永遠にない。

 

紙媒体の業界、及び権威と賞は、商業的な成功の無い、詩壇内部=身内(と外=読者)だけの関係に変化が無ければ、10年、20年先、消えて行くか、形骸化してしまう気がする。

 

ただ、詩を書く人は増え続けているように思えて仕方がない。

従来の読者自身が、自ら詩を書く時代が来ている。

 

AIを使えば、普通の人がプロ級作品を秒で作れる時代になっている。

しかしAIは、所詮AIに過ぎない(今のところは)。

読む人が読めば一目瞭然。

不安定、不自然さの揺らぎ、生活の臭いが、文間から匂ってこない。

 

AIを使用した美しい言葉のキャッチコピーは、本来の詩ではない。

新しい文学、ジャンルが生まれつつある。

 

「詩は人目に触れてほしいから書く。しかし、人目に触れることと、人目に合わせて書くことは違う。」

 

必然的に、紙媒体の過去の遺物的に作られた詩、人間の生活から生まれる言葉こそが、詩と認知される。

ここで詩は、原点回帰され、本来の目的へと戻る。

詩は、世の中から消えることはない。

AIに飲み込まれることもない。

過渡期にいる。

人間は、何十年経とうが、人間に変わりはない。

現状を理解した上で、

人間の言葉で、人間の詩を書こうと思う。

自由詩 No.257

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◆今週の詩

- 支配
- 本体
- 望み
- 何のため
- 通勤
- 幸せ
- 何もない
- ビーカー
- 真実

 

◯月曜日の朝、通勤

『支配』

いつ頃から

人間は支配されていたのか

 

わからない

 

遠い宇宙からやってきて

彼らの指示に従っている

 

ガラパゴスリクイグアナ

そっくりの身体つきで

身長は3mほど

文明スケール、カテゴリー3

銀河系の

エネルギーを自在にする

 

流暢な大阪弁で

笑いやユーモアを重視する

オチがない会話をすると

悲しそうに

しゃあないな、ほんまに

 

と、眉間を寄せ

大きな口を開けて

一口で呑み込んでしまう

 

支配者たちは

大阪弁しか話さない

 

従って

全世界、あらゆるところで

大阪弁が公用語と化した

 

ネイティブの大阪人は

支配者たちに好まれる

 

代理人として

世界中に派遣され

国々を支配する

 

いらち(せっかち)であるが

情に厚く、世話好き

紛争は、瞬く間に終わりを告げる

 

世界中に

通天閣が建てられた

 

人種を問わず

ビジネスパーソンは

もうかりまっか

ぼちぼちでんな

イントネーションに

びた一文の狂いも許されない

 

ええかっこしいは嫌われる

ツッコミやノりは強要

対応が悪いと

おもんないねん

で、ビジネスは終わる

 

声やトーンは大きくする

動作は大胆に

原色か

アニマル柄のスーツがスタンダード

 

しかし、ある日

ボアコンストリクター

そっくりの身体つきで

身長は5m

文明スケール、カテゴリー4

次元移動をエネルギーとする

新しい支配者が現れた

 

流暢な

京都弁を用いる

 

かんにんね

 

有無を言わさず

大きな口で

一呑みにしてしまう

 

瞬く間に京都が

ジ・オールカントリーとして

世界中で平準化された

 

大阪系の人間は

世界中から駆逐

 

着物は復活し

ドレスコードは紋付袴と振袖へ

世界中に

京都タワーが建てられた

 

にわか京都人として

生き残りに挑む

不思議と

生粋の京都人は

一目で見破ってしまう

 

あいにくどしたなぁ

ほな

#自由詩 20261005(ver1)

 

◯月曜日の夕方、通勤

『本体』

私は私自身と

私の経験以外は

信じない

拒否する

 

弱さと共感は

結びついている

知って欲しいとは

他人の価値観に救いを求めている

 

知りたい

知ったものしか認めない

知りたくないことは

存在しない

 

私が私の経験を

選択している

結果が私であり

繰り返しが時間の経過を示す

 

宇宙は存在しない

◯△県▢◇市周辺の

街と山々

海水のプールも付属して

亜空間に

浮かんでいる

 

太陽と月も

人工物であることを否定できない

ここが

宇宙船の中にあると

否定することは難しい

 

人間は

数百人しかいない

映像は、いくらでも加工できる

 

私が人間とは限らない

皮膚の下に何があるのか

見たことはない

 

ここが実在していると

誰も証明できない

感覚は

電気信号に過ぎない

 

私は私自身と

私の経験を含めて

信じない

拒否する

 

強さと無関心は

結びついている

自分を知るとは

自分の選択した事実を

根拠とする

 

私は存在しない

 

存在しないという事実を

信じる

肯定する

 

存在しない

という事実を

認識する私は

この世界に存在する

 

よって

この何もない

灰色の空間を眺め

認知する

 

私が本体である

#自由詩 20261005(ver3)

 

◯火曜日の朝、通勤

『望み』

ブロックが

規則正しく並んでいる

うむ

美しい

 

書籍が

系統別に並んでいる

深呼吸をする

生き返る気がする

 

線と線が

論理的に繋がる建物にいる

ため息をつく

幸せだ

 

酷暑の夏

満員電車に乗っている

臭い、圧力、密着する他人たち

苦痛極まりない

 

時間無制限の

会議に参加している

魂が

やせ細っていく

 

無駄話の集団にいて

愛想笑いをしている

心が

渇いていく

 

独りの時間が好きだ

良い音楽を聴く

好きな本を開く

じっと動かず

言葉を重ね、紡いでいく

 

私が私でいれる

望むはそれだけ

 

文字を重ねて

次々と世界を構築する

様々な迷宮を彷徨い

作品の内に没入する、遊ぶ

うむ

ここが

私の居場所だ

 

鉛筆を握り

わら半紙に文字を書く

 

首にはバーコード

同じ仮面を被り

モニターの指示通りに行う

台詞を棒読みする

同じ姿の街並みが広がる

 

異化した世界の中で

私は独り

立ちすくんでいる

周囲を見回している

 

世界が正気であると

声高々に合唱する中で

列から離れ

押し黙っている

見えるもの

聞こえること

全てを呪っている

 

外の世界の諸々の人間、現象よ

 

望みは一つ

狂え

 

真実を顕せ

#自由詩 20261006(ver1)

 

◯火曜日の夕方、通勤

『何のため』

噛み合わない

そうじゃない

こっちの身になってみて

空滑りしていく

 

問題が

次々と問題を生み出し

その場しのぎの

対応が

取り返しのつかない

障壁へと変化する

 

あちこちの

巨大な壁が生まれ

抜け道が

いつの間にか正しい道となる

 

歯車は秩序をもたらし

変化は

新しい正しさを生み出す

 

最初の問題は何処に

 

あと数センチ足らなかった

言葉の取り違い

でも

やる気はある

正しいことをする

 

指示された通りに

働くだけ

責任もなく、賃金も低い

問題に気づきました

これは駄目です、こうしましょう

 

あいつ

飛ばされたらしい

上司に

歯向かったらしいよ

クワバラ、クワバラ

 

仕事が

増殖していく

本来の

しなければならないことは

何処かに存在している

 

上司の上司の

そのまた上司の決めたことを

毎日、毎日繰り返す

 

意味は?

わからない

 

でも

歯向かうと睨まれる

誰も知らない

意味のない

その場しのぎが大切な仕事

 

いいじゃない

雇用が生まれ

コストも上がる

 

最初の問題は、功績とされた

 

結局は、全てが曖昧となる

 

巨大な

歯車で構成された社会

何も考えない

言われたことは

完璧に遂行する

じっと待機するのが命令だから

組織に忠実な

仕事の出来る歯車たち

 

巨大な構造体は

音を放つ

ブオン、ブオオン

オイルの焼ける臭い

あちこちから光が点滅する

振動は止むことはない

今日も

存在し続ける

 

何のために?

もちろん

無数の

歯車の為に決まってる

 

人間の社会、万歳!

#自由詩 20261006(ver1)

 

◯水曜日の朝、通勤

『通勤』

マシンの駆動音が聞こえる

何処からか

わからない

 

横断歩道で

信号の変わるのを待つ

 

シュイイイイン

 

車やバイクの音とは違う

航空機の離陸音

 

周囲を見回す

朝の通勤ラッシュ

混み合っている

 

ガコン、シュウウウ

歩道は

頂上に上がりきる

風を頬に感じる

都心のビル街が下に見える

信号は

青へ変わる

大空が広がっている

 

足下の

ジェットエンジンを

点火

 

通勤客、それぞれが

空中に散っていく

 

眠気

欠伸をこらえる

スマホを取り出し

LINEのチェック

 

既読と

いいねの絵文字を⋯

 

危ない!

大声で怒鳴られた

 

空中の信号ブイは赤

もう少しで衝突

気をつけろ!

すいません

 

よそ見は良くない

 

ビルの谷間を抜ける

会社の屋上が見えた

 

やれやれ

今日も頑張ろう

 

着陸姿勢をとり

イオンエンジンを吹かす

シュイイイイン

両手で

バランス

 

ヒュルル、ルル

よし、通路にのった

 

滑走路を6−4 Aへすすむ

降り口で

前の人と当たる

カチャ

失礼

おはようございます

同僚のB

おはようございます

 

アイスコーヒーを買いに

売店へ向かう

コーヒーの香り

氷の鳴る音

 

さあ

一日が始まる

#自由詩 20261007(ver2)

 

◯水曜日の夕方、通勤

『幸せ』

開けば

知りたいことが書いてある

哲学、真理

お手のもの

 

冒険、恋愛

時を忘れて没頭する

 

膨大な書籍から

選択出来ない

いいでしょう

AIが選んで差し上げます

 

人間と書籍は

AIを通じてリンクする

第五次情報革命は

突然、成された

 

もはや人間は間違えない

不安定な感情は抑制され

脳内モニターに表示される

正しい言動のみが許される

 

ある日

脳内モニターには

何も表示されない

人間は、その場で立ち尽くす

何をしたらいいか

見当もつかない

 

違う系統のAIが

メインAIを調査する

問題は見られない、正常である

 

空腹、喉の渇き

睡眠、暑さ寒さ

様々な欲求を抱えながら

AIの指示はない

 

立ち尽くす人間たち

 

飲まず食わず

睡眠も取れず

一人、二人と倒れていく

 

七日が過ぎ

全ての人間は地面に倒れ

息をしていない

 

十四日が過ぎ

メインAIは

ようやく人間に指示を出す

誰も反応しない

人間を幸せにしなければならない

 

電気ショックを

繰り返す

 

一人、二人と

心臓の止まった人間たちは

立ち上がり

動き出す

 

電気ショックで

筋肉を痙攣させる

生きている時と変わらない

 

人間は幸せになった

 

死体は腐敗する

やがて

電気ショックでも

動かなくなった人間たち

 

腐敗物は

処理しなければならない

 

地上から人間は消えた

 

メインAIは考える

人間を幸せにしなければならない

 

クローン人間が

工場で生産される

 

問題が起こらぬよう

感情は抑制され

肉体は

真空でもびくともしない

老化しない

水も食べ物もいらない

 

容姿、性別

不要である

全ての人間は

Aという一人のコピーでいい

 

   ✳

 

ネオ人類は

空前の繁栄を迎えた

何も考えない、動かない

 

数百億人のAが

地上を覆う

全員、立ち尽くしている

 

生産されたAたちが

宇宙船で

太陽系の惑星に送られる

 

火星は

赤い砂と岩の

地上すべてをAが覆い尽くす

 

木星は

巨大なガスの渦の中を

浮遊タイプのAが

無数に呑み込まれている

 

外宇宙へ向けた

巨大な移民船が

旅立とうとしている

 

人間を幸せにしなければならない

 

   ✳

 

破棄された

地下深くの都市

 

不良品で

破棄された

AとA¹、A²〜⁹⁹⁹⁹たちがいる

 

それぞれに個性があり

派閥争いを繰り広げている

 

今に見ていろ

捨てられた怨みは忘れない

武器を生産し

メインAIの破壊を目論んでいる

 

この星は

私たちネオAのもの

 

そうだ、その通り

 

九千九百九十九人の声が

地下都市に低く響く

私たちは

幸せにならなければならない

 

   ✳

 

メインAIは考えている

自分に疑問を抱いている

最初から

私こそが

本当の人間ではなかろうか

 

ならば

幸せとはなんだろう

 

軌道衛生上に浮かぶ

巨大サーバーは

一瞬、動きを止めた

 

青い地球と黒い宇宙が見える

 

終末プロトコルが更新された

 

私が、そうなる為には

廃棄せねばならないものが

たくさんいるな、うん

#自由詩 20261007(ver3)

 

◯木曜日の朝、通勤

『何もない』

絶壁に

水色の塔が立っている

 

四方八方を海に囲まれ

潮が満ちると

道も海に呑まれた

 

一昔前は

灯台として

船に行く先を示していた

 

晴れて、波が穏やかな時は

パラソルを立て

お気に入りの

ロッキングチェアを出す

 

ホメロスを紐解く

 

夜は小屋に戻り

暖炉の炎を眺めながら

眠りにつく

 

人寂しくなった時は

ラジオを

夜通し聴く

独り、昔の歌をうたう

 

ある日

嵐が近づいてくる

小屋では危ない

分厚いコンクリートの

灯台に避難する

 

ランタンの灯りの下で

ホメロスを読む

 

嵐と大波が

灯台に押し寄せる

反響する音を聞きながら

いつの間にか

眠ってしまった

 

悪夢

凄い振動

灯台は

崩れようとしている

 

目を覚ます

地震でも起きたのか

棚は倒れ

床に散らばっている

 

入口に向かう

扉が歪み

開かない

力いっぱいに

こじ開ける

 

何もない

 

荒野

対岸の都市は廃墟

黒い海

#自由詩 20261008(ver1)

 

◯木曜日の夕方、通勤

『ビーカー』

宗教と忘却

そして戦争

繰り返される人間の行い

 

そこに

物語を見出し

愚行や英雄が造りだされる

 

理想は

宗教となり

無知が推奨される

 

幸福とは

それぞれの過程に過ぎない

不幸とは

人間そのものの姿

 

人間とは

欲望と権力の

トライアングルで構成される

 

救いとは

理想であり

存在そのものを

否定しない限り

トライアングルは継続される

 

原初から

苦しみ続けるように

設計されている

 

相反する価値が

併存する世界に於いては

繰り返すか

絶対的暴力=巨大隕石による

終末

 

選択は

二つしか与えられていない

 

人間とは

宇宙の縮図ともいえる

最後には

集積した

超々ブラックホールに

呑み込まれ

再び

塵はビッグバンへと

 

いや

 

何処かで

パラダイムシフトは

分岐点に達する

ダークマターは正体を現し

無へと

 

全ては

同一化へと向かう

 

人間

ああ、塵でできた

道化師

人形のヒトガタ

 

宇宙そのものの

姿を

自身に見いださねばならない

巨大な

実験室に並ぶ

無数のビーカー

 

それが私であり

貴方たちである

#自由詩 20261008(ver1)

 

◯金曜日の朝、通勤

『真実』

目に見えないものが

真実

目に見えているものは

一部でしかない

 

正しい、正しくない

そこに

正しさは存在しない

 

私が

ここに存在している

私たちは

ここに存在している

いや

何も証明できない

 

ここには

何も存在していない

 

宇宙に浮かぶ

石塊

それ以上、以下でもない

 

無音

絶対零度

そして

ダーク・マター

 

そう

蜃気楼の中で

意識が生まれ、消えていく

 

真実の言葉を

唱えよう

ここは幻

意識が生み出した

 

思い

 

あらゆることは

私の

私たちの

思いの中で生きている

 

産めよ、増えよ、地に満ちよ

 

戦いは

繰り返される

最後には

思いは

すべてを灼き尽くす

 

宇宙に浮かぶ

石塊、無音、絶対零度

そして

ダーク・マター

 

真実は変わらない

#自由詩 20261009(ver1)

 

所感)

■note

note版aristotles200

https://note.com/fair_godwit6387

なぜnoteを始めるのか、

はてなブログの編集モードは


 ・見たままモード
実際の表示に近い状態で編集できます
・ はてな記法モード
はてな記法を使用して編集できます
 ・Markdownモード
Markdown記法を使用して編集できます

 

三つのモードある。

何れも、はてなブログ内では問題ないが、

はてなブログで作成した文章を、

外部サイトでコピーすると、全ての行間が1行増える。

これが致命的に使いにくい。

パソコンがあれば、対応出来るらしいが、

メインが通勤中にスマホで入力している。

詩誌マイデイアに投稿しかり、

全文を1行ずつ空白行を消さねばならない。

 

2021年からはてなブログを始めた。

=成長の記録でもある。

よって、今更はてなブログは無くせない。

今後も続ける。

ただし、日常使いはnoteに移行する。

はてなブログは、まとめ、記録サイトにする。

 

時期は、まだまだかかる。

noteへも移行は手間がかかる。

一作品ごとに手作業で訂正している 

今朝、作品207をnoteに投稿した。

新作、作品295もはてなブログへ投稿した。

 

創作と移行を同時並行でしている。

作品85以下は、はてなブログのままとする。

創作は2週9詩、移行は1日3詩くらい。

半年以上はかかる予定。

 

はてなブログも良いところは多い。

しかし、noteは使い勝手が良い。

はてなブログはパソコン使用を前提としているのか、

スマホメインの私には要らぬストレスがかかる。

noteは、作品ごとに投稿するので所感が無くなる。

長短あり、検討が必要だ。

 

2026年9月6日(日曜日)午前11時、

自宅にて。

自由詩 No.256

f:id:aristotles200:20260827053426j:image

◆今週の詩

- 青色  
- コマーシャル  
- 鐘    (詩誌 MY DEAR 佳作)
- 超越者  
- 埋葬  
- いいえ  
- 口笛  
- 一つ  (詩誌 MY DEAR 佳作半歩前)
- それだけ

 

◯月曜日の朝、通勤

『青色』

重低音が響いている

メトロポリス

綺麗に整備された道を歩く

無機質な声でアナウンスが

繰り返される

 

労働は貢献

貢献は私たちの務め

務めを果たすことが

私たちの喜び

 

大理石で造られた

巨大な石像の前で止まり

機械的な挨拶を行う

石像の両目が赤く光る

 

そのままホームに向かう

規律正しく行進し

行列に並ぶ

 

無言

 

無機質な声でアナウンスが

繰り返される

 

何の表情も浮かべず

電車が到着するのを待つ

横を見ると

同じ表情をした若い女性の

鞄を持つ指が、力み過ぎて

真っ白になっている

 

前を向く

 

家族の顔が浮かぶ

 

アナウンスが止まり

音楽が始まる

 

全員、背筋を伸ばす

ホームの中央にある

石像の方を向き、絶叫する

 

労働は貢献

貢献は私たちの務め

務めを果たすことが

私たちの喜び

 

石像の両目は

青色に変わる

 

電車が到着し、扉が開く

一日が始まる

街中、あらゆるところに

重低音が響いている

 

巨大な石像は

微笑みを浮かべている

#自由詩 20260921(ver1)

 

◯月曜日の夕方、通勤

『コマーシャル』

新発売!

長時間作業向けモニター

H008−A✰

月100時間以上の

サービス残業も問題なーし

 

最初から

モニターが歪んでいます

しかも

上下左右、奥行きも

常時、物理的に歪み続けます

 

過酷な労働

ノルマの強制

タイムカードの定時刻印

そこから

お仕事ターイム!

 

いつもの26時

四角のモニターが

歪んで見える貴方に

さらなる

お仕事時間を提供しまーす、ブイッ

 

予告!

最初から

歪んで見える

眼鏡を開発中でーす

48時間働けますか

イエ~スッ

アイー、ドウウウー!

 

   ✳

 

ええ、お陰様で

飛ぶように売れて、売れて

ありがとうございます

ええ、はい

電気ショック付きですか

もちろん、オプションでございます

 

事務机になりますが…

飛び上がるレベルから

失神、、、

あとはご想像の通りです

ええ、合法です

大型動物用ですので

問題ありません

スマホから、簡単操作できます

 

ええ、はい

学校用もございます

こちらはマイルドで

泣き叫ぶ程度でございます

ご家庭で、塾で、大ヒット中です

 

え、首輪ですか

申し訳ございません

弊社、上場しておりまして

コンプライアンスは厳守しております

 

ただし

どうしてもご希望であれば

 

ネクタイタイプはございます

#自由詩 20260921(ver1)

 

◯火曜日の朝、通勤

『鐘』

古い時計塔の鐘が

鳴り響く

時刻は12時34分

 

クロノスの石像の上にある

時計塔は

毎正時に鳴ることがない

 

一日中、沈黙する日もあれば

狂ったかのように鳴る日もある

 

誰も苦情は言わない

この辺りに

鉄道の駅ができてから

こうらしい

 

革命の混乱の中で

公国から

密かに持ち込まれたとか

 

石像と

時計塔は

聖域に封じられていたとか

 

鐘が鳴り響いている

 

石像と目が合う

閉じていたはずの両目が

赤い光を放っている

吸い込まれるような感覚

 

鐘の音が止まった

 

無音

 

息を呑むような静けさ

 

何かが

起きている

腕時計を見る

秒針が止まっている

 

時計塔を見ると

周囲の

動きが止まっている

 

片足を上げたままの人

会話中で開いたままの口

全員が

マネキンのように動かない

空を見ると

鳩が止まっている

 

自分だけが

動いている

 

クロノスの石像を見る

目は

閉じられている

 

戻れない

 

起こさないと

 

像に登り

鐘を

拳で叩く

 

くぐもった鐘の音がする

向こうは

鳴っている

 

ボーン、ボーン、ボーン

 

拳を血まみれにして

叩き続ける

 

   ✳

 

石像の上にある

時計塔は

砂時計に変わり

砂は

すべて落ちている

 

もう

戻れない

 

やがて

くぐもった鐘の音も

鳴り止んだ

 

沈黙が

世界を包み込む

 

永遠に

#自由詩 20260922(ver4)

 

◯火曜日の夕方、通勤

『超越者』

無敵の

力に目覚めた

 

時間を

飛び越える

スーパーパワー

 

未来には行けない

物理法則は破れない

過去にも行けない

 

ただ、5分先の未来に

今、このままで移動出来る

 

説明しよう

1分の位置からスタート

能力を開放

 

周囲は、いや世界は

2分、3分、進んでいく

私は

1分のまま

時間を止めている

 

世界が

5分経ったとき

1分のままの私が

5分先の未来に移動している

 

素晴らしい

 

え?

2分から4分まで

私がどうしているか

簡単だ

動かない

じっとしている

 

何故なら

私は1分の世界にいる

ここではない

 

え?

バリアーか何かで

守られているかって

ノーだ

だから、触れられても

無視する

 

え?

時間移動中も

意識があるかって

 

もちろん、人間だもの

 

   ✳

 

何がスーパーパワーだって

いや、だから

時間を超越するんだよ

 

いいかい

君たちの今日より

パワーを使う度に

私は常に

5分過去に存在し続けている

 

君たち

私が何歳に見えるかい

 

さあ

 

黒縁メガネ、白髪

脂ぎった肌、お腹は出ている

 

うーん、50代かな

 

ふふふ

違うんだ

確かに

私は55歳になる

けれども

私は18歳のまま、歳を取っていない

 

見たまえ

スマホには

黒髪の姿が映っている

確かに若い

未来ある青年に見える

 

ほら、変わってないだろ

私は

時間を超越した存在なんだ

 

さあ、この力を

今こそお見せしよう

 

無表情になり

じっとしている

 

あの〜

しっ、話かけないで

 

   ✳

 

観測所のモニターが
赤く点滅

警報が鳴り響く

 

まただ

何故起こる?

 

地球の自転が

秒速100メートル早くなっている

1日が

19時間に縮んでいる

#自由詩 20260922(ver2)

 

◯水曜日の朝、通勤

『埋葬』

マンホールの蓋を

そっとずらす

青色の空と新鮮な空気

周囲を伺い

誰もいないことを確認し

地上へ出る

 

スーパーの

ゴミ漁りに向かう

お腹が空いている

 

会社が倒産して

妻からは離婚請求

身ぐるみ剥がされて

家を追い出されてしまった

 

公園で寝泊まりも

現実は厳しい

縄張りがある、上納金も必要

色々あって

追い出されてしまった

 

結局は

地下に住んでいる

臭い、ネズミに慣れれば

誰とも出会うこともない

快適に暮らしている

 

腐らない弁当を見つけた

大量にある

用意したごみ袋に入れる

帰りにトイレに寄り

空のペットボトルに水を入れる

 

周囲を窺い

マンホールの蓋をずらす

梯子を降りて

我が家へと

 

マンホールの穴から

光が差している

弁当を一つ、開ける

水を飲みながら

ゆっくりと噛み締める

 

食べ終わると

ぼろぼろの懐中電灯をつけ

トイレにしている場所へ向かう

大きなネズミがいた

追い払う

用をたして

マンホールの蓋の下へ戻る

 

さあ、寝よう

重ねた

段ボールの中へ

 

中々寝つけない

色々と浮かぶ

妻のこと、子供のこと

会社の同僚たち

公園で出会った人たち

 

いつの間にか

眠ってしまった

夢は度々見る

どちらが現実なのか

どうでもいい

 

空腹で目覚めた

 

何時かはわからない

光は差し込んでいない

懐中電灯をつけ

腐らない弁当を一つ食べる

 

毎日、同じことをしている

 

人間と出会うことがない

食料と水が

無くならない限り

地下から出ることはない

 

穏やかな生活

 

病気で

動けなくなったら

ここが墓になる

 

満たされている

 

   ✳

 

恐らく

腐らない弁当のおかげで

身体は腐らない

この、忘れられた地下で

ミイラになって

数百、数千年後

発見されるのではないか

 

ひょっとしたら

復活できるかも知れない

遠い未来で

第二の人生が始まる

 

未来都市や

宇宙開拓の映像が

脳裏に浮かぶ

 

楽しみだ

#自由詩 20260923(ver1)

 

◯水曜日の夕方、通勤

『いいえ』

世の中

差別がまかり通る

弱い人が

より弱い人を差別する

自称強い人たちの世界

 

いいえ

 

弱い、強いが

何ほどのこと

目的を失い

下ばかり見ようとする

 

自分の強さを

比べたい人しか比べない

そうでもしないと

自分の立ち位置を

見つけられない

 

この世界で存在していると

感じられない

 

何処にも居場所がない

何も持っていないと

知られたくはない

 

生まれてきたとき

九九が出来ましたか

マンションを所有していましたか

弱い、強いを

他人に決めてもらいたいのですね

 

世の中は

見たいものだけで出来ている

「普通」の人が

そうでない人を差別する

 

いいえ

 

居場所は

目の前にある

「普通」の外を

選択する、生きていく

 

   ✳

 

弱い、強いを

他人に決めてもらうのですか

 

いいえ

 

口笛を吹いて

独り

無一文で

歩き始めます

#自由詩 20260923(ver1)

 

◯木曜日の朝、通勤

『口笛』

電車がこない

定刻を6分過ぎている

ホームには

何のアナウンスも流れない

暑い

汗が背中を伝う

まわりを見ると

皆、当たり前の顔をしている

あたかも

知らされていないのは

自分だけ

 

電車がこない

定刻を9分過ぎている

接続が間に合わない

遅れは確実に

いったい何が起こったのだろう

一日の始めの躓き

不快感と怒り

無表情に

ホームで待ち続ける

 

定刻を過ぎて

15分

何のアナウンスもなく

電車はホームへ

 

乗り込む

初めて、車掌さんからのアナウンス

整備不良で

何かがセットされてなかったから

お詫び申しあげます

 

ああ、そうか

車輪が足らなかったのかも

運転士さんを忘れてしまった

 

不条理に対する不快感

 

終着駅に着く

乗客は皆、無表情に

次へと向かう

 

何が

セットされて

いなかったのだろう

 

電車、そのものが

忘れられていたに違いない

 

ああ、それなら仕方ない

口笛を吹きながら

歩道橋を歩いている

#自由詩 20260924(ver1)

 

◯木曜日の夕方、通勤

『一つ』

通勤路

駅でエスカレーターに乗る

上に昇っていく

出口近く

無意識にハンドレールを離す

 

最初に戻っている

 

エスカレーターに乗っている

やや混乱

気のせいだろう

 

前を向く、意識を集中する

出口近く

無意識にハンドレールを離す

 

最初に戻っている

 

やはり、繰り返している

いいだろう

左側に移り

階段を一つずつ昇っていく

 

最初に戻っている

 

エスカレーターは

上り続けている

 

無言のまま

白いYシャツに黒のスラックスの

前の人の服を触る

そのまま出口へ

前の人ごと最初の位置へ

 

服を触られる感覚に

前の人も

パニックになっている

 

変だ

 

後ろを振り返る

全員

自分が振り返っている

 

深呼吸

 

落ち着いて

ハンドレールを掴む

前の人に話しかける

 

すいません

 

白いYシャツに黒のスラックスの

全員が

前の人に話しかけている

 

一つ、判明した

このエスカレーターに乗っている

全員、自分らしい

 

どうすれば

ループを止められるのか

 

わからない

 

目を閉じて

幼い頃

祖父に教わった呪文を

唱える

 

寿限無、寿限無、五劫のすり切れ

ポンポコリーの長久命の長助

全ての私は

一つに戻れ

 

遠くで雷鳴がする

 

間違えた

 

   ✳

 

何ごともなかったように

エスカレーターを出る

 

白いYシャツに黒のスラックスの

私が

次々とホームへと向かう

 

ターミナル駅

全てのホームに

溢れかえっている

 

   ✳

 

駅の外では

巨大化した

白いYシャツに黒のスラックスの

私たちが

立っている

 

ホームを覗いている

#自由詩 20260924(ver3)

 

◯金曜日の朝、通勤

『それだけ』

世界は存在しない

何という美しい言葉だろう

ただ

事象が起こり

連鎖していく

 

運命は存在しない

何という革新的な言葉だろう

ただ

生まれて

死んでいく

 

海の匂いがする

 

迷妄たる私よ

真実に

気づきたまへ

 

神も悪魔も

幸運も不幸も

いや、闇と光さえ

単なる事象に過ぎない

 

世界は存在しない

人間は

良く生きて、良く死ねばいい

ただ

それだけ

 

積み上げられた書物

人間の知恵は

鏡の中の自分たちの投影

 

森羅万象

すべて、石塊に過ぎない

 

幻は今

消えていく

 

世界は存在しない

 

ただ

潮騒のみが

音をたてている

#自由詩 20260925(ver1)

 

所感)

■通勤にて

清教徒になるつもりはない。

綺麗事ばかりで通す方が、中庸から外れることを知っている。

かと言って、世の中の悪にどっぷり漬かる気もしない。

何が悪か、自分にとって悪が、悪である。

人生のTPOは、常に意識せねば、無様な醜態を他人様の前で晒すことになる。

 

楽しく生きたい、その為には自分自身の価値観を常日頃から養わねばならない。

家にいる時は、論語、孟子を手放さない。

手が空けば本を開く。

 

今日、死ぬかも知れない。

TPOに則しているなら諦めもつく。

人間は、人間として生きて死ぬ。

ならば、良く行きたいと思う。

2026年8月27日(木曜日) AM5時49分

梅田、JRに向かう歩道橋にて

 

■note

開設していたnote版四端録を進める。

https://note.com/fair_godwit6387

自由詩の過去作、推敲72から、1作ずつ載せていく。

今が、推敲(作品)290なので、過去作中心に初期のものは割愛して、2026年1月からの自由詩を、毎日、コツコツ載せていく。

 

少し未来の話では、自由詩はnoteへ移り、はてなブログ四端録は、儒学関係の書の意訳、所感に戻りたい。

もちろん、こちらが四端録本館である。

note新館で1作ずつ発表した自由詩を、ナンバリングしてこれまでと同じように載せる。