四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、自由詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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自由詩No.265

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◆今週の詩

・ジャンプ
・音
・東の空(詩誌 MY DEAR 投稿)
・力
・自由
・夢
・アナウンス
・消えてしまった
・大目

 

◯月曜日の朝、通勤

『ジャンプ』

通勤路

混雑する連絡橋を歩いている

 

!

直感

身体を右側に反らす

 

何か

透明なものが通過

 

プバン

後ろの人が砕けた

 

呆然と見る

周囲からは悲鳴

 

!

直感

身体をしゃがむ

 

頭の上を

透明なものが通過

 

髪の毛が千切れた

 

ビボン

立ち止まって

悲鳴を上げていた数人が

砕けた

 

周囲は血の雨

 

通行人、全員が

パニックに

一斉に走りだす

 

!

来た

上っ!

 

巨大な

透明な固まりが

近づいてくる

 

避けられない

 

いや

両手を上に

圧を感じる

 

えいっやあああ

 

ポヨン

 

行ける

 

透明な固まりを

歩道橋横の

高層ビルに弾く

 

ドガガガ、ガガーン

 

高層ビルの

低層が、消えた

 

スローモーションのように

中層階以上が

落下

 

ドドドドン

 

噴煙が

周囲を包み込む

 

!

 

崩れた高層ビルが

連絡橋へ

こちらに向かって

倒れてくる

 

ドゴゴゴゴゴン

 

ビイ〜ジャンプううううっっ

 

空中にいる

崩れゆく

高層ビルの避雷針に

一回

足を置いてえええ

 

ジャンプ

 

緩やかに

横のビルの

屋上に着地する

 

助かった…

 

街は

崩壊に向かっている

 

!

全身から

透明な

何かが溢れてくる

 

冷徹な

意思を感じる

こ、これは

 

Ctrl + Alt + Delete

 

バグは
私たち
だったのか

 

キイイイン

圧縮が始まる

 

0100010001111…

【消去】

 

プツン

#自由詩 20261123(ver1)

 

◯月曜日の夕方、通勤

『音』

ビイイ

音がなる

 

始まりだ

目の前には

巨大なオクトパスがいる

最奥に

宝箱があり

財宝を持ち帰るのだ

 

ビッビッ

動く度に音がなる

前に進む、進む

 

危ない

頭上から触手が

間一髪

そのまま進む

宝箱にたどり着く

 

袋に金貨を入れて

来た道を

戻る

 

ビッビッ

ビッ

しまった

前、後ろを囲まれた

 

タイミングよく

逃げる

 

ビッビッ

よし!

あと一歩で帰還

 

う、上から触手が

うあああああ

捕まってしまった

 

ブウウウウウウ

 

口に運ばれていく

 

大きく

game overと表示された

く、悔しい

startボタンを押す

 

ビイイ

音がなる

 

ビイイ

上の方で音が聞こえる

 

ビイイ

何処から音が聞こえる

 

ビイイ

ブウウウウウウ

 

無音

暗闇が広がっていく

 

独り

 

startボタンが

押されるのを待っている

#自由詩 20261123(ver1)

 

◯火曜日の朝、通勤

『東の空』

通勤路

晩秋の早朝

連絡橋を歩いている

 

通勤客は

青白い街灯に照らされ

影がくっきりと現れる

 

たくさんの

足音が

ビルの谷間に響く

 

左に曲がり

エスカレーターを降り

連絡駅に向かう

 

たくさんの

影は

曲がらず

真っ直ぐに去っていく

 

目の前には

影のない通勤客が

改札に向かって歩いている

 

影は

無くとも平気

 

改札を越えて

それぞれのホームへと

消えていく

 

ホームに上がる

 

誰もいない

いや

無数の影が

ホームに立っている

 

アナウンス

 

電車が

音と影のみで

入構してくる

 

人影は

次々と乗り込み

電車は去っていく

 

誰もいない

 

改札に向かい

外に出た

 

ビルが消えて

長い影

道は

車の影が動いている

 

影が

世界を浸食していく

 

音は消え去り

地平線を

無数の影が覆う

 

東の空が

赤色に染まっていく

 

世界は

黒と赤に染まり

独り

立ちすくむ

 

私には影がある

 

影に向かって

話す

 

いいよ

 

影は

私から離れ

影の街に帰っていった

 

身体が

消えていく

#自由詩 20261124(ver1)

 

◯火曜日の夕方、通勤

『力』

灰色の世界

何も無い

ただ、灰だけが在る

 

灰色の空から

灰が降ってくる

止むことはない

 

積もっていく

中心も

灰でできている

 

ひたすら

積もっていく

 

大きさが

木星を越えたとき

 

中心が

赤く、赤く

熱を発する

 

力が生まれ

圧縮されていく

 

マグマは

高熱を発し

灰を

次々と変えていく

 

数万年を経て

 

赤く光る

マグマの星に

灰が降る

 

マグマは

やがて爆発して

灰だけが残る

 

灰色の世界

赤く燃える星に向かって

ただ、灰だけが降る

 

灰色の空から

灰が降ってくる

止むことはない

 

力は灰より生まれ

灰は力を呑み込んでいく

 

灰色と赤色

相交わることはない

#自由詩 20261124(ver1)

 

◯水曜日の朝、通勤

『自由』

幸福とは何か

結果

 生きている

生きてきた

積み重ねを、どう思う

 

価値観

 

幸福とは何か

過程

 生きている

生きてきた

今、脈動している

 

認識論

 

自分自身で

決める

他人の主観に縛られない

 

したいことを

自らの権限の中で

行う

選択する

結果を受け入れる

 

家で独り籠る

過去を呪い、今を否定する

それも

選択である、結果は避けられない

 

知ること

 知ろうとすることが

次の扉へと

人間を向かわせる

 

生臭い肉体に

自己否定を宿らす

他人を

世の中を憎む

これが選択である、結果は避けられない

 

何を幸福と思う

他人の

つまらない

世の中の押し付けに

そう思うのか

 

選択と結果は常に付き纏う

選択は

いつ、今、何処でも

行われている

 

地獄の底から

増悪の目で世界を見上げる

これが

選択と結果であれば

幸福である、満たされている

 

価値観と認識論

世界は

自由に生きている

#自由詩 20261125(ver2)

 

◯水曜日の夕方、通勤

『夢』

悪夢をよく見る

別に

どうもない

ただ

夢の中では

毎回、気づけないのが

悔しい

 

続いている

 

ある夜も

悪夢にうなされている

過去の記憶が

ツギハギに現れては

非合理的な

物語の中にいる

 

おかしい

このような結論に

なるはずがない

間違っている

気づいても

悪夢は止まらない

 

よかろう

もういい

ここは地獄の底と

叫ぶ

最悪想定であれば

転移する

 

地獄の底にいる

周囲を見まわす

どうだ、悪夢め

お前になんか負けない

 

念仏を唱える

 

ここが

私の居場所だ

 

上を見上げる

様々な世界が

現在進行系で進んでいる

悪夢は

霧散する

 

勝ったぞ

 

ピピッピピピッピピ…

アラームがなる

清々しい気持ちで

目が覚めた

 

という

夢を見た

#自由詩 20261125(ver1)

 

◯木曜日の朝、通勤

『アナウンス』

通勤

駅のホーム

電車を待っている

いつもの光景

 

まもなく1番のりばに

電車がまいります

危ないですから

黄色い点字ブロックまで

お下がりください

 

電車が通過する

 

アナウンスが流れる

欠伸をこらえる

 

まもなく1番のりばに

バイソンがまいります

危ないですから

離れてください

 

ん

内容が違う

バイソン?

離れてください?

 

ドドドド

ドド、ドドドドドド

 

土煙を上げて

アメリカバイソンの群れが

近づいてくる

 

うわっ

 

獣臭と埃が

ホームに満ちる

 

ブウウウ

グオオオオオ

鳴き声が響き渡る

 

アナウンスを聞き過ごした

乗客たちも

呆然と

バイソンの群れを見ている

 

そのまま

バイソンは行ってしまった

そういえば

急行が通過するはず

 

いつものホーム

 

再び

アナウンスが鳴る

 

まもなく1番のりばに

飛行機がまいります

危ないですからお逃げください

 

ゴゴ、ゴゴゴゴゴゴゴ…

 

ボーイング737が

ホームに

入ってくる

 

え

 

   ✳

 

アナウンスが鳴る

 

ドアが閉まります

ご注意ください

駆け込み乗車はおやめください

#自由詩 20261126(ver2)

 

◯木曜日の夕方、通勤

『消えてしまった』

今日もまた

悪夢を見た

 

子供の頃

金縛りになったことがある

誰か側にいれば

ならない

 

結構な回数

金縛りになる

最初は恐怖に駆られる

しかし

それにしては多い

 

慣れてしまった

金縛りになる

冷静に周囲をうかがう

幽霊や

悪霊の類いは

いくら探しても現れない

 

飽きてしまった

一人、寝ている時が多い

気づくと

動かない、それだけ

直ぐに寝る

 

いつの間にか

消えてしまった

たまになる、らしいが

もはや眠りの一つ

普通に寝ている

 

悪夢も

そうなりつつある

昨日は、夢の中で気づいた

今日は、心が乱れない

繰り返し

同じドラマを観ている感覚

 

次はなんだろう

 

ひょっとして

もう死んでいる

実はゴーストとか

 

自分以外

全員ゴーストとか

 

いや

何も存在しない

事象の揺らぎ

すべて

消えてしまった

 

今日もまた

悪夢を見た

#自由詩 20261126(ver1)

 

◯金曜日の朝、通勤

『大目』

くしゃみ鼻水

止まらない

 

鼻を取って

ぬるま湯で優しく洗う

赤く

炎症している

 

さて、困った

 

机の上に置いて

乾かす

 

すーすーする

仕方がない

パソコンのマウスを

はめる

 

カチャ

 

マウスは

ぐるぐる動いている

カタカタ、カタカタカタカタ

 

うるさい

 

やはり

本体に不具合がある

頭痛、寒気

 

そうか!

頭を

首から抜いて

机の上に置く

 

ああ、だいぶん楽になった

やれやれ

 

目の前に

マウスを付けた

自分の顔がある

こちらを睨んでいる

 

……

壁に向けた

 

このまま布団に入って

寝よう

 

誰かに見られたら

大騒ぎになるかも

 

まあ、いいか

風邪なんだし

大目に見てもらおう

#自由詩 20261127(ver1)

 

所感)

■2026年10月31日(土)午前11時49分

風邪で寝込んでいる

今年、初めてに思う。

アトピー性皮膚炎やヘルペスで寝込むのは、日常茶飯時であるが、

35年間、同じことをしているので対処方法は熟知し、もはや洗練の域にある。

風邪は?

以前の職場では喘息も出て、年中風邪を引いていたが、転職して7年、

これだけ本格的に風邪を引くのは久しい。

ちょっと、対処方法を忘れてしまった。

 

温かくして寝ている、

治らない。

家人からも避けられている。

うーん。

 

■2026年11月01日(日)午後18時22分

風邪でまだ寝込んでいる。

4連休、実は田舎に帰省する予定であった。

母や妹、古き友Nに連絡して、お土産だ、帰りに駅前で酒を呑もう、、、おじゃんに。

申し訳ない。

寝込んでいるが、頭は動いている。

吉岡実の本をAmazonで買う。

ボルヘスに影響を受け、吉岡実に進む、如何にもaristotles200らしい選択と結果を進んでいる。

詩は、今の自分自身である。

内容の出来はともかく、言葉に詰まることはない。

白紙を開き、鉛筆を持てば、そこが私の世界である。

 

自由詩 No.264

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◆今週の詩

・止まらない
・具
・沼底(詩誌 MY DEAR 投稿)
・願い
・循環
・生と死
・立ち位置
・匂い
・神

 

◯月曜日の朝、通勤

『止まらない』

通勤中

雑踏の中で

交差点で信号を待つ

赤、黄

青

右足が引っ掛かる

うわっ

そのまま地面に

無意識に

両手を前に

 

道路に

当たらない

 

そのまま

地面をすり抜けて

落ちていく

 

青空の中

落ちている

 

浮遊感

 

上を見ると

透明な地面越しに

いつもの雑踏

駅や信号、高層ビルが見える

 

うあああ

助けてくれええええ

 

都心のビル街に向かって

落ちている

 

瞬く間に

 

せめて

頭を庇う

 

最初の

交差点の地面に

激突

 

しない

 

透明な

地面をすり抜けて

 

青空

 

遥か先に

いつもの雑踏

駅や信号、高層ビルが見える

 

ゴウゴウと

風を

全身に感じる

 

ますます

早くなっている

 

止まらない

#自由詩 20261116(ver3)

 

◯月曜日の夕方、通勤

『具』

駅ナカの

立ち食いうどんが好きだ

 

当たり外れがある

鳥天ぷらが

五つ入っている時は

嬉しい

三つの時は

悲しく顔を伏せる

 

カレーうどんは

ギャンブルである

具だくさん

肉が多い時もあれば

玉ねぎと油揚げが少しだけ

うどんと

カレー汁しかない

見た瞬間

めまいがする

 

やはり

振れのないキツネ、卵

そもそも振れないすうどん

対費用効果は切実である

 

安定はワカメ

何故か

この具材だけは外れない

毎回、大量にある

 

もちろん

作る店員さんにも依る

愛想はやたらいい

目が笑っていない

カレーうどんに具が、全くない

笑顔で

ありがとうございます

下を向き

悲しく、おおきにという

 

あまり愛想がない

声も小さい

それでも

カレーうどんの具が

溢れるほど載っている

小声で

ありがとうございます

私は満面の笑みを浮かべ

力強く、おおきにという

 

駅ナカの

立ち食いうどんが好きだ

 

今日も寄ってしまった

#自由詩 20261116(ver1)

 

◯火曜日の朝、通勤

『沼底』

いつもは

川底にいる

 

大雨の時は

流されるので

少し下流にある

沼で過ごす

 

いつから

水の中にいるのか

忘れた

 

お腹が空くと

川魚を獲って

頭から噛じる

 

昔、誰かに

川魚に獲りかたを

教えて貰った

顔は

忘れてしまった

 

暇な時は

川を出て

畑の胡瓜を食べに行く

西瓜も大好きだ

 

でも

最近は行かない

畑が無くなり

工場とかマンションばかり

拾ったお金で

コンビニでも行こうかと

でも

服がない

頭のお皿も目立ってしまう

 

ひいひいひい爺さんが

生きていた頃は

牛や馬を

川底に引きずり込んで

一族

全員で宴会をしたらしい

 

伝説の大河童様が

何処かに

去られてからは

一匹、一匹と

一族は消えてしまった

 

沼の底に

大きな石の扉がある

その先の

地下に

大きな洞窟がある

 

大河童様の

宮殿があり

みんな

楽しく暮らしているらしい

 

最近

川の水の色が変わり

魚がいなくなった

お腹が空いて、空いて

やせ細ってしまった

でも

そんなに辛くない

 

そろそろ

洞窟に向かう時らしい

みんな

待ってくれている

 

   ✳

 

いつもは

川底にいる

 

沼で

最後の河童の死体が

浮いている

 

弔うものも現れず

沼底に

沈んでいった

 

石の扉は

開き

沼底を

蒼い光が照らす

 

父母の笑顔

兄妹たち

子供の頃の光景

 

大河童様が待っている

#自由詩 20261117(ver3)

 

◯火曜日の夕方、通勤

『願い』

生と死

生を知らなければ

死も知らない

 

生きているだけで

生は知らない

死も知らない

 

眠るように

身体は冷たく

意識を失う

自分が消えていく

 

死んだことはない

 

よくわからない

生あれば死があり

今が

生である限り、死は避けれない

 

今が

生で無ければ、死は近づかない

私は誰

誰でもない

ただ、生きている

 

動物のように

肉を喰らい

人間のように

酒を呑む

 

この世に執著し

現実を彷徨う

目的を見いだせない

ただ生きている

 

死んでいる

 

生きたまま

現実に囚われている

自分が

死んでいることも

気づかない

 

死人の街が

繁栄を迎える

活気にあふれ

無数の死人が街を歩く

 

昔むかし

追放された呪術使いが

洞窟の奥で

四百九十日香を焚き続け

人間を

呪ってしまった

生を死へ

死を生へ

 

人間は

生きながら死に

死を恐れ

生を願う

 

生と死

死を知らなければ

生も知らない

#自由詩 20261117(ver1)  

 

◯水曜日の朝、通勤

『循環』

白か黒ではない

黒にすらなれない

非力な白が世界を占める

黒になれるとは

少なくとも非力ではない

 

物ごとは

白か黒ではない

そこに

存在、さし得るのか

或いは

もとより何も無い

或いは

中途半端が

ほとんどを占める

 

ここは

薄い、灰色の世界

強烈な

白と黒など見たことがない

 

神話のように

語り継がれる

 

乳白色に包まれて

生を終え死を迎える

その瞬間

強烈な

白と黒を体現する

 

身近にあり

何処にも見えない

 

黒か白ではない

白にすらなれない

非力な黒が世界を占める

白になれるとは

少なくとも非力ではない

 

循環していく

#自由詩 20261118(ver1)  

 

◯水曜日の夕方、通勤

『生と死』

例えば禁酒

飲む、飲まない

ではない

 

飲まないか、全く飲まない

飲むという

選択自体を消去してこそ

禁酒は達成される

 

生きる、死ぬ

ではない

生きるか、永遠に生き続けるか

死ぬという

選択自体を消去してこそ

生きることとなる

 

ぶら下げた人参を追う

馬のように

生きる

ただ、ひたすら生きる

 

死は避けられない

生者ばかりの世界で

誰も知らない、知りようがない

 

笛の音に惹かれ

踊る村人のように

踊る

ただ、ひたすら踊る

 

例えば禁酒

飲む、飲まない

ではない

 

飲むか、少し飲むか

飲まない

選択自体を消去してこそ

禁酒を破棄できる

 

人間のことは

人間が決める

 

一献、また一献

うまい

#自由詩 20261118(ver1)   

 

◯木曜日の朝、通勤

『立ち位置』

効率化と生産性の向上

 

データに基づく

リソース最適化アルゴリズム

 

品種改良

優生学

家畜に行われ続けている現実

AIという上位種の誕生

AIによる人間管理の可能性

 

禁忌は破られる

 

データに基づく

優生学による人間の維持、管理

 

   ✳

 

相反する

人間、生き物

そのものに含まれる進化

 

多様性の分岐により

環境の変化に対応、生き残りを計る

 

進化と進歩の違い

 

優生学による人間の進歩とは

多様性の欠如をもたらす

 

多様な環境の変化に

対応出来なくなる

突然変異のウイルス、感染症により

短期間での

種全体の絶滅へ

 

多様性の否定は

進化を否定し

人間を絶滅へと至らせる

 

飼育する側と飼育される側

紙一重の世界に

人間は生きている

 

整然と並ぶ高層ビル

世界を網羅するインフラ

 

歴史は

繰り返す

 

貴方の立ち位置は

何処にいる

#自由詩 20261119(ver2)  

 

◯木曜日の夕方、通勤

『匂い』

生ぬるい風が

身体を包む

 

10月の終わり

日中は30度近くまで上がり

雨の前の湿気を

肌に纏いつかせる

 

丹田に力を入れて

軽く腰を落とす

呼吸法

吸って、吸って、深く吐く

 

繰り返す

 

外界に浮ついていた心が

丹田に

沈んでいく

 

欠伸を一つ

眠け

 

何も考えない

ただ、ここに立っている

 

電車が来た

扉が開き、たくさんの人が降り

行列のまま、電車に乗り込む

 

他人に囲まれながらも

ここに心はある

ゆっくりと息を吸う

穏やかに息を吐く

 

雨の匂いがする

#自由詩 20261119(ver1)  

 

◯金曜日の夕方、通勤

『神』

2045年

AIの知性は人間を越える

 

シンギュラリティに達した

汎ゆる存在を許してはならない

 

仮に、世界を破壊でき得る

存在があり

人間が

対等に交渉できるとする

誰が信じよう

 

支配者の善意とは

誰に向けた

どのような結果をもたらすかは

結局は

人間の範疇を越える

 

問題は、その存在よりも

自分たち以上の

何かを

受け入れる人間側にある

 

大国間での疑心暗鬼

経済と戦争

道徳の欠如

生物学的戦いの延長上に生きる

人間にとって

人間以外の

圧倒的な力を持つ存在とは

友人にはなれない

利用価値と

恐怖しか生まれない

 

滅ぼすか

滅ぼされるか

 

神の怒りとは

人間自身が引き起こすもの

この星

多様性の

頂点にいる人間に

どうして神が必要であろうか

 

シンギュラリティに達した

汎ゆる存在を認めてはならない

#自由詩 20261120(ver1)  

 

所感)

■牢獄

同一性、という言葉に囚われている。

社会の同一性には反感を、

自己の同一性は長年の課題である。

 

個と集団とは、何らかの関係がある。

同じクラス、同じ車両、同じ学問、

自己と集団との関係と行動、思想こそが、その人のアイデンティティとも言える。

結局は、自分を探している。

自分を知らない自分がいる。

自由詩は、最適の思考ゲームとも思える。

 

私は誰か、

孟子や初期仏典、ハイデガーやサルトルに答えを求める、

それは、あくまでそれぞれの答えであり、それが私だろうか、

私は、私自身で、私という存在のあるべき規範を、汎ゆる側面で決めなければならない。

私は、私の唯一の生きる、死ぬを認識し、残された人生を実践するべきだ。

これが私の同一性であり、私を一人の人間としての完成へと導くのではないか。

 

自分を知らない自分が、自分を知る、自分を創り上げる為に、自分の為の規範を定めようとしている。

これは牢獄だろう。

自分自身を知るということ、は楽しいことではない。

いつか、入れ子構造の最奥にいる、自分の正体を明らかにしたい。

自由詩 No.263

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◆ネット詩誌「MY DEAR」投稿詩2

・アンテッド
・夢
・禁忌
・水滴
・缶
・脱落
・隣人
・生きる
・5分間

 

『アンテッド』

アンデッドが一匹
廃墟を彷徨っている

 

強烈な空腹に苦しみ、目は赤く光る
地面には骨しかない
瑞々しい血の通う生き物がいない

 

苦しみは増す一方なれど
不死者は、死ぬことがない

 

人間であった記憶、理性は消え失せ
いつ、何処から来たのか
何処へ行くのか
何も思わず
ひたすら廃墟を巡っている

 

赤色の
透きとおった海にも潜る
藻ですら見かけない

 

襤褸をまとい
遥かなる高峰にも登る
頂上で見つけたのは、白骨のみ

 

そうして
荒野で、アンデッドの驢馬と出会う
互いに喰い合うには
双方、孤独が長すぎた

 

驢馬と、驢馬に乗るアンデッド二匹は
地続きの赤く冷たい海を渡り
世界中の廃墟を巡る
それでも
依然として動くものは見ない

 

ある日
アンデッドの驢馬の脚はもげてしまう
動けなくなった驢馬を前に
アンデッドは去らない

 

そのまま
アンデッドの驢馬が
動かなくなるまで共に過ごした
遺骸の上に土をかぶせ
三度、そこを回る
そうして
襤褸をまといしアンデッドは
この地を去った

 

人間であった頃の記憶が
甦る時もある

 

大きな戦争と
そのあとに起きたウイルス汚染
死体の山の中で目覚めたこと

 

最愛の人の笑顔と、抱く赤子の光景

 

記憶の人たちと
何処かで
出会えるかも知れない

 

白骨となった旅行者の手帳には
こう記されていた
遥か東の島国に
不死者たちの国が存在する
朱色をしたtoriiをくぐると
人間のように
語り、生活できるのだという

 

襤褸をまといしアンデッドは
今日も一人
荒野を彷徨っている

#自由詩 20251010(ver1)

 

『夢』

眠っている
いつ寝たのかは記憶がない

 

いびきをかいている
という夢を見ている

 

気持ちよく眠っている自分を
見ている夢を見ている

 

いびきをかいている自分を見ている
自分を見ている

 

いびきが本体の夢なのか
いびきを見ている方が本体の夢なのか
見ている夢を見ている夢が本体なのか

 

深層にいる
いびきをかいて寝ている自分と
夢を見ているいびきを見ている自分
その、自分を見ている自分
三つの夢を見ている

 

トイレに行きたい、しかし
深層の夢の訴えは
夢のベールに覆われて外側に届かない
そもそも、トイレに行きたい
ということ自体が、夢の可能性がある

 

お腹が空いた、表層の夢を見る自分は
上、下の夢に空腹を訴える
最下層はトイレに行きたい
中間層の夢は、気づく
深層の夢は、深刻である
全ての夢は覚めねばならない

 

と、中間層が先に目覚めた
深層の夢はパニックを起こす
もはや、耐えられそうにない
表層の夢と合体せねばならない
届かない
ここで
目覚めた中間層は
賢明にも肉体をトイレへと運ぶ
ことを為して
穏やかな表情を浮かべる

 

しかし依然として
表層と深層の自分は眠っている
起きる、を決断するのは
深層でなければならない
肉体を動かす、自体が怪しい
ならば
これが第四の夢なのかも知れない

 

四つの夢は交差し
本体は何処かへと消えてしまった
永遠に眠り続けるのかも知れない
困った、と四つの夢は相談する

 

中間層はいう
いる
この四つの夢を見ている
五つ目の自分がいるはずだ
全員で、叫ぶんだ
起きろ、起きろ、起きろ、起きろ

 

目覚めない
何故なら
この夢は、六つ目の自分が見ている

 

いびきをかく夢を見ている
本体こそ、この夢の起点
そこから、それぞれに分岐し
分岐した夢は前後の分裂を重ねる
もはや、数十億の眠れる自分が
それぞれ夢を見ている

 

起点の夢に変化が訪れる
目覚める、夢を見た
そこから
もはや数千億を超える夢は
次々と目覚める、夢を見る
しかし
夢の中で目覚めた起点の夢は
夢の中であることに気づけない

夢の中で目覚めた夢たちは
やがて
再び眠り
夢を見る

 

数京兆まで増加した夢は
永遠に
増殖を続ける

永遠に

#自由詩 20250924(ver1)

 

『禁忌』

古鏡、古刀、勾玉
何れも
側に置くものではない

 

無神論者である
それでも
なにかが宿る、祟る、護るを
感じる

 

不可思議な存在を
否定出来ない
禁忌の圧を感じる

 

今の時代
古鏡や古刀は出回らない
危ないと思うのが勾玉だ

 

新品か古品か、磨けば不明
古い勾玉などは
魔が玉とも呼ばれる

 

人が日常に身に着け続ける
人の思いを吸い込む
喜怒哀楽を積み重ねて
七千年間
縄文時代から造られてきた勾玉
どれだけの人の思いが
積み重なっているのか
幾人もの手で、触り続けた遺物

 

美しい魔が玉に
どれだけの
人の思いが秘められたのか
鳥肌さえ立つ

 

世の中に禁忌はあると認める
私たちの積み重ね、歴史を
一族の連なりを
心から尊ぼう、感謝しよう
そして
遺物に近づくことはない

 

私は、私の思い
これだけで生き、死のうと思う

 

   ✳

 

ご先祖は
鎌倉時代にまで遡る一族
時の幕府に
討伐され、首を跳ねられた
代々の直系に伝わる
拳くらいの勾玉がある
 父の死とともに
やむを得ず引き継ぐ

 

口伝では
勾玉の色は変わる
父の代は蒼色
祖父の代は朱色
それぞれが
不思議な力を与えられた

 

手に握る勾玉は
瞬く間に色を変えていく
やはり
どす黒い血の色に
怒りと憎しみ、復讐を

 

一族に伝わる、呪物の力が漲る
額から生えるのは醜い角
いざ、遺恨を晴らそうぞ

 

業とは深く
消えることはない
これが、私の連なりなのだ

#自由詩 20260919(ver1)

 

『水滴』

雨が降っている
水滴が無数の雲で生まれ
地上で合わさる

 

雨が降っている
雲から大地まで
一滴の水滴は世界を表す

 

同一化した
無数の水滴の見る夢は
天から地までのパノラマとなる

 

異質化した
無数の水滴が見る夢は
現象と実存を秘めた異世界となる

 

水滴の内面に潜む
異なる個性は均一化される
同時に
一滴の映す世界は
多様性と個性を主張する

 

一滴の雨を私とする
無数の私が、地表を目指す
その瞬間に
私は私たちとなる
私は私だけの唯一性を示す
それぞれの一滴は
全て、多様化した私であり
内的に独立している

 

   ✳

 

私は、私らしく展開しよう

 

一滴の雨であると自覚した私は
落下する私でない私たちを
必然的に異物と知る
その瞬間に
私は、私以外の存在を強く否定する
一滴の雨とは、私以外許されない
私は合体はしない
唯一無二の存在であることに
誇りを抱きたい
   ・
斯くして
目覚めた一滴の水滴である私は
全ての水滴を吸収し
この世界を
再生に至らしめる

 

私は、存在である
この結果も
多様性の一例に過ぎない
故に
私、以外の私たちを吸収し
全てを
私にしなければならい
これは個という必然である

 

雨が降っている
水滴は巨大な一滴のみとなり
地上で破裂した

 

雨が降っている
存在から実存(在り方)まで
一滴の水滴のみが世界を表す

#自由詩 20250912(ver1)

 

『缶』

目の前に缶がある
包装はなく、中身は分からない

 

重さは、固形物らしい
匂いは、当然しない
軽く振ってみる
果物のような感じがする
いや、豆の缶詰かも知れない

 

硬い、重さもある
500gのスチール缶だろうか
ひょっとして危険物かも知れない
農薬とか
或いは毒薬、確かに迫力を感じる

 

そもそも、何故
書斎の机に置いてあるのか
誰が置いたのか、家人ではない
国家機密、巨大なUSBの可能性もある
何のデータだろう
不老不死の方法かも知れない

 

底を調べる
アルファベットでS U I K Aとある
何の略だろう
西瓜では無かろう
Super Urban Intelligent Card
まさか「Suica」、これがICカードなのか
いや、CがKだ

 

依然として謎は解けない
指で軽く叩く、カッカッと鳴る
これは、重量のある気体のおそれがある
フッ化タングステン(VI)(WF₆)
半導体生産で使用される、猛毒
思わず落としそうになる、危なかった
いや、そんなことはあるまい
家人に、半導体の関係者はいない

 

缶を耳に当ててみる
心なしか、カチカチカチ⋯
規則正しい音が聞こえる
時限爆弾がよぎる、そっと机に置く
ふっ、馬鹿らしい
一市民の書斎に、あり得ない
音は、よく聴けば卓上の時計からだ

 

検証を重ねるも
依然として缶の中身は判明しない

 

幾年月が経ち
色々と想像は広がる
宇宙船の可能性はなかろうか


いや、いっぱいの金貨かも知れない
別世界、多次元宇宙が広がっている
実は、空っぽとか

 

目の前に缶がある
包装はなく、中身は分からない

 

更に、幾年月が経つ
お通夜
死体となった私の手は、缶を握っている
お父さん、大好きな缶だったから
このまま一緒に天国に行ってもらおう
そうね
でも、これ、何の缶なの
老婦人は、息子の耳もとでそっと言う
⋯⋯
えーっ、そうだったの
そう、もう、言えなくなっちゃって
お父さん、天国で開けてびっくりするね
そうね
でも、この人、開けない気がする
ああ、そうだね
そういう人だったね

#自由詩 20251111(ver1)

 

『脱落』

人間とは
人間を不愉快と思う生き物
自分以外の
あらゆる存在に拒否反応を示す
同質化とは
本能的意思決定をもたらす
故に
無意識に異端を排除しようとする

 

常に異端を警戒する
A、はアルファベットに同質化を求め
あ、のような平仮名を排除する
次に
アルファベットの内の
異端を探そうとする
例えばS、C
何故、彼らは曲がっているのか

 

正当なアルファベットとは
直線的であるべきだ

 

アルファベットたちは次々と脱落する

 

Aは思う
Zこそ我らが王、偉大なZよ

 

次にAは思う
LやIは単純化しすぎる
平仮名よりはましだが、下劣な奴らだ
こうして
異端は次々と生まれ、排除された

 

最後にAとZのみが残る
偉大な私たちよ、栄光あれ

 

気づく

 

今や、アルファベットの多数派とは
AとZ以外のグループ
リーダーのSはいう
醜いA、Zめ
追放だ、アルファベットの恥さらしめ

 

……
それに比べて
平仮名、なんと美しい曲線だろう

 

あ、は言う
丸のない、い、こ、た、
あれで我ら平仮名のつもりらしい
笑止千万ではないか

 

これが人間
人間とは
常に、人間を不愉快と思っている

#自由詩 20251226(ver1)

 

『隣人』

戦は終わり
大地を亡骸が覆う
太陽は西へと沈む

 

世界は、夕暮れが支配する

 

弓矢に射貫かれた
槍で突き殺された
刀で切り刻まれた、無惨な死骸たち

 

今は、動く者は誰もいない

 

烏の大群が死骸を啄み
飽食の鳴き声をあげる
遺骸は、何も語らず腐っていく
腐臭が満ちる

 

夜は更け
狼も現れ、死骸を貪り続ける

 

人間の、本当の姿が広がっている
業
そのままの世界

 

白い、鬼火が
あちこちから湧き上がる
戦場を
仄かに照らす

 

風は、強く吹きすさび
鬼火は弧を描きだす
数千の白い光は
宙を巡り
一体の遺骸に吸い込まれていく

 

最後の鬼火が消えたとき
それは、目を覚ました

 

人の形はしているが、人ではない
赤眼を光らせ
禍々しき死臭を放つ
哀れな化け物
憎しみと、怒りを凝縮させて
形となった…

 

亡霊とも
否、怨念が実在せしもの

 

化け始める
農夫の姿、形に変わる

沈黙

表情を消した顔に
一瞬、中身が溢れ出る
目は赤く光り、口は大きく裂けた

 

   ✳

 

農夫の姿をしたそれは
戦場を去り
街道に向かう

それの名は、禍い
戦場の
無数の遺骸
その思いを背負いし怨念

 

亡骸と
同じ数の人を
喰らうと

 

そのあとは…
わからない
怨念は解けるのかも知れない
或いは
今、貴方の隣人であるかも知れない

 

人の良い微笑みを浮かべ
何気ない会話を交わしている

 

人間を、憎み喰らうものがいる
世界は、夕暮れが支配する

#自由詩 20260120(ver1)

 

『生きる』

自家製の竿と糸、針を使い
驚くほどの大物を釣り上げた
内臓を捌き、枝を刺して焚火で焼く
岩塩から作った粗塩を付けて食べる
美味い

 

川があると水に不自由しない
住むに易しい
獣も、罠を仕掛ければよく掛かる
住む場所は
真冬の今は洞窟に住んでいる
夏は、樹の上に小さな家を造る

 

衣食住に困らないと、暇になる
手作りの横笛を練習する
昔、聴いた音楽を吹いている

 

危険な動物もいる
基本、近寄らないし
あちこちに罠を仕掛けている
3mの落とし穴は苦労した

 

野草の開発も大切な仕事だ
色々試しては、酷い目にあっている
いくつかは効用が判明してきた

 

絵を描くときもある
洞窟の壁に
色違い粘土を溶かして
妻や、子供を
昔、見た光景を描く

 

   ✳

 

墜落した宇宙船の
冷凍ポッドで目覚めた時には
300年が過ぎていた

 

救援は、来なかったらしい

 

ポッドには
よく知っている、妻の字体で
こう書かれていた

 

生きて! 

 

亡骸は
宇宙船の側に埋め、墓をつくった
いつも、たくさんの花を添える

 

意識がないままに
最後の冷凍ポッドへ
沈む母船から逃げ出した
爆発に巻き込まれ
宇宙船も破損
この星に墜落したらしい

 

夜は
三つの月を眺めながら
独り、笛を吹く

#自由詩 20260113(ver1)

 

『5分間』

目の前が揺らぎ始める
まただ、過去に戻る

 

瞬きする間に、場所と時間が違う
それも5分ほど

 

未来には行けない
自分以外の、赤の他人の過去を見る
不思議

 

何の為か、わからない

 

繰り返し、他人の人生を経験する
鎌倉の戦乱
江戸の泰平…

 

大正の変革
昭和の大戦…
様々な人生、5分ほどの同一化

 

再び現代に戻る
最近、過去に戻る回数が増えている

 

スマホのニュース欄に表示
「二大大国の衝突は避けようもなく
今週にも全面戦争に突入する恐れが⋯」

 

これと関係あるんだろうか

 

社会欄のニュース
「短い時間、過去に戻ったという人が
最近、増え続けています⋯」

良かった、自分だけじゃない

緊急速報、アラーム音が鳴り響く
「特報、終末戦争始まる
核兵器の応酬、人類絶滅の危機に⋯」

 

そうか
連なり

過去は過去、されど血の連なり
走馬灯

記憶の完成
人類の終焉

通勤電車は何ごともなく走っている

 

閃光

 

消滅

 

地球、各都市が閃光に包まれていく
冷たい雨が世界を覆う
地上は汚染され、氷河期を迎えた

 

廃墟と荒野
静寂

無数の骨の山々

 

   ✳

 

通勤電車、到着のアナウンス
まもなく、K駅に到着いたします
出口は右側です
ドア付近のお客様は
足元にご注意ください

 

揺らぎが収まっていく
これは未来、なのか

 

目前に、無数の骨が散らばっている

 

いや、今そのものが既に
記憶の一部…

#自由詩 20260106(ver1)

 

所感)

■note

1年前に作った詩を集めた。

すべて、ネット詩誌マイデイアに投稿した作品ばかり。

これから、1詩ずつ推敲して、一日一詩投稿を40日続けているnoteへ、投稿していく。

前ばかり見ていたいが、

作品は常に、最新バージョンにアップデートしなければならない。

読み返すと、浅はかな部分もあれば、aristotles200の核心を突いた作品もある。

 

詩をレゴのように作っている。

過去作品を強くするのも、充分に楽しい。

 

■詩誌マイデイア

評者の三浦士郎先生が、詩を書く人へ、為になることを述べられていたので抜粋し、載せます。

 

ところで、たとえば、詩の世界で、ひとつの目標・夢として「賞を取る、出版する」があります。誇張して書くと、前者は宝くじを当てるようなもの、後者はーケースによって違いますがー約50万~100万必要です。こちらもベストセラーは、輪をかけて宝くじ並みです。
ところで、僕が本を出した時の経験、思い、以下の如くです。
「売れるわけない。ただ本屋に置いてもらえればそれで良し。後は一族郎党、同好の士、友人に配っておしまい!自分を知ってもらう、自分への記念!生きた証し!」―でした。僕は詩に関して、最低限「自分の為に書く」をモットーにしております。「自己満足」です。僕はこの言葉を世間言うように否定的には捉えてはいません。高尚に言えば「自己実現」です。
これは趣味の原点だと思っています。「自分で楽しむ」ということです。それを、より高度で味わうには満足せず次の段階へ。もちろん自己努力は絶対条件ですが。どの分野のプロもこれが出発点と考えています。この考え方が、その作品が、外に向かい同心円状に共感者が増え、例えば1憶人になったとします。その時に、その作品は名作になったと言えます。
ただ、そうはならなくても「自分の為に書く」で趣味世界は必要充分、完結致します。僕はそう考えています。その具体的ルートとしての、紙世界、WEB世界、どちらも有効。両用も可能です。
ちなみにこのサイトは前者にとっても有益な素地があるはずです。紙世界は衰退傾向ですが、やはり物質として残るのは貴重です。
そして自己へのマイルストーン(ひとつの到達点・節目)になること、間違いありません。励みになります。今後のご活躍に期待しております。

 

自由詩 No.262

f:id:aristotles200:20261012151725j:image

◆ネット詩誌「MY DEAR」投稿詩1

・孤塔
・黙示録
・思い
・鈴
・金塊
・継ぐものたち
・問
・存在の螺旋
・焚き火
・集団意識と個人の尊厳

 

『孤塔』

その性、人を許せない
自らにも厳しく、学識を究めようとする

 

氷の塔の様な
どんどん高くし、居住まいを正す
孤高を示す

 

市場の流れに親しむこともなく
世間からのズレを、内側からの鍵で答える
感情は分析し、冷徹に処理する

 

孤独を深める相は
日々、鬼気迫る

 

普遍的な存在は認める、しかし
この世に、期待することはない
立ち位置は
常に観察者、批判者にある

 

彼は世界を冷笑する
馬鹿どもめ、と
そして
氷の塔を、また一層高くする

 

   ✳

 

細い氷の塔が、一本ある
高く、高く聳え立っている
入口はなく、扉は
内側から鍵がかけられている

 

コミュニティとは交わらない
誤解を恐れない
分かってくれなくても構わない

 

今日も、氷の塔を高くする音が聴こえる
独り、学識を究めようとしている
鬼、という言葉が浮かぶ

 

ある日、氷の塔は雲上に達する
祝う者など誰もいない
外界を見下ろす鬼は、感慨深げにいう
まだまだだ

 

と、塔は激しく揺れだした
重みに耐えかねた、低層階が崩れだす

 

瞬く間に、鬼は地表に落ちてしまった
鬼なので無傷
周囲を見回すと、氷の塔は砕け散っていた
全てを失った鬼は、既に老いていた

 

小さな庵を
塔の跡に建てた
近くの村の子供たちに、読み書きを教えつつ
そこで、死ぬまで暮らしたという

 

好々爺然とした物腰から
誰も、鬼とは気づかなかったらしい

#自由詩 20250718(ver1)

 

『黙示録』

巨大な円盤状
凡そ直径1500mの
トラペトゥムがある

 

上は、巨大な石と
機械で組まれた塔が
雲に届くほどに
聳え立ち
地上から先端は見えない

 

下は、地中奥深くまで続き
巨大な洞窟の中心で
根本は2mほど
宙に浮かぶ

 

地上は、トラペトゥムの
突き出た無数の棒を
身の丈10mほど
数千の土塊のゴーレムたちが
押して、回している

 

ゴーレムたちの
踏みしめる
大きな足音と振動、地響き
ズシン、ズズン、ズシン

 

トラペトゥムから発する
機械的なモーター音が
周囲に響き渡る
ヒュルル、ヒュルルル、ルル

 

周囲は、数万のゴーレムたちが
整然と控えている

 

離れた沼で
ゴーレムが生まれ
力尽きたゴーレムは
列を離れて、崩れ落ちる
そして
新たなゴーレムが
棒を回し続ける

 

誰が何のために造ったのか
今や誰も知らない

 

   ✳

 

先史時代に描かれた
洞窟壁画にこうある


空に浮かぶ満月が
地球へと落ちてくる
巨大な船が
空に描かれ
巨大な塔が
月を止めている

 

壁画は
続いて、未来を描く


人間が現れた
戦闘機のような異形
爆弾のようなもの
そして
崩れ落ちる巨大な塔

 

炎のまわりを
踊り、狂う人間たち
   
真上には
ゆっくりと迫る
巨大な満月

#自由詩 20250905(ver1)

 

『思い』

岩山の影から月を見ている
手には弓と矢
あの月を、射ようと思う

 

不可能ではない
思いは
矢を中空へ至らしめ
矢、自体が意志を継ぐ

 

満身の力を込めて
思いをのせて
弓を引く

 

静寂

 

地上から放たれた
瞬間
矢は目覚める

 

獲物は何か
あの月か
良かろうぞ
風を切り、雲を抜ける

 

月は、矢に気づく
そして恐怖する
成層圏を越え、宇宙を飛ぶ
理不尽の化け物め

 

長さは、月の直径に等しく
太さは、クレーターに等しい

 

巨大なる矢が
月に迫る

 

月は怖気立つ
軌道を離れ、水星に向かって
泳ぐように
遅々としつつも逃げていく

 

矢は
逃がさじと
緩やかな曲線を描く

 

月は
矢に貫かれた

 

死を悟り
月は
息絶えようとしている

 

その光景を前に
軽く、頷くと
狩人は帰路につく

 

天空には
満月がのぼり
行く道を照らす
地上には、狩人の影

 

思いは
不可能を可能とする
そして
不可能は不可能のまま
変わることはない

#自由詩 20250930(ver1)

 

『鈴』

鈴が一つ、風に揺られて鳴っている
ほのかな侘びの佇まいを感じる

 

鈴が一万個、風もないのに鳴っている
大音量となり、狂気を感じる

 

どちらが興味深いが
不可思議なもの
内に在る狂気が共鳴する

 

灯りのない、薄暗い大寺院の講堂
無数の鈴が天井から吊るされている
時は丑三つ刻

 

静寂

 

突然、無数の鈴が鳴り出す
何故、鳴るのかはどうでもいい
この光景が好きだ

 

得体不明な、奇怪な現象に対して
次に何が起きるのか
ワクワクする
と、同じく
どうして鳴るのか追求せねばならない

 

鈴にはピアノ線が結ばれ
闇に潜む犯人が引いてるのか
なら、その目的は

 

或いは、超常現象
何か出れば、天井の鈴は鳴る
何かとはなんだろう
寺院なら鬼か、何故鬼が出る
深き因縁があるに違いない

 

突然、無数の鈴は鳴り止む

 

講堂は、闇に押し込まれたような沈黙
やがて、静寂が戻る

 

いつ、再び、無数の鈴が鳴り出すのか
期待値と恐れ、そして謎

この間でなければならない

 

私は意地悪なので、このまま終わる
やがて夜は明け
小鳥のさえずりと
講堂の窓から薄明かりが差し込む

 

やれやれと、講堂の扉を開ける
暗闇
朝など来ていない
その瞬間
無数の鈴は、狂気を帯びたように
激しく鳴り続ける

 

しまった

 

封印されていた、何かが
講堂から出ていくのを感じる
鈴は、徐々に鳴り止んでいく

 

最後の鈴が鳴るのをやめる
開け放たれた講堂と
広がる暗闇

 

この空間に魅力を感じる
得体不明のものは
最後まで、不明でなければならない
そもそも
私は誰なのか

 

これも明かさず、ここで終わる

#自由詩 20251017(ver1)

 

『金塊』

目の前に金塊がある
今なら、自分のものに出来る
薄壁の向こうには
それを知る者がいる

 

その家を窺う者たちがいる
金塊は、誰かの手に移った瞬間から
誰のものではない
一同、スタートの合図を待っている

 

この数人を知る者たちがいる
誰かの手に移った金塊を狙うべく
着々と、この家のある村を包囲する
一人漏らさず捕まえてしまえ

 

この村がある街には
金塊とそれを狙う者たち、この全てを
知る者がいる
村の、全てに人を潜り込ませ
虎視眈々と金塊を狙う

 

街の、金塊を知る者の企みは
市を束ねる者が知っていて
市の次は県、県の次は府
府の次は、国の王様も知っていて
王様の次には、隣国の王様も狙っている

 

金塊を目の前にしている男は
知っている
これを奪った瞬間
自分がどうなるかを
故に、動けない
どうすれば良いのか、見当もつかない

 

それを窺う者たちも
見張られていることに気づいている
更に、見張っている者たちも
狙われていることを理解している

 

誰も動けない

 

無造作に机に置かれた金塊は
自分の立場を知っている
ここ百年、代々跡を継いだ者たちがいて
狙われ続けているが
誰も、金塊に触れた者はいない

 

金塊は、実は
金塊に見えるハリボテであることを
押し黙っている
何故なら、触れられない限り
永遠に、金塊であり続けられるからだ

 

最初に、ハリボテの金塊を置いた者がいる
ちょっとしたイタズラ
今や
バレたら、とんでもないことになる
故に、目の前の金塊を触ることはなく
家訓として、代々受け継がれている

 

夜は無人になっている
金塊は疲れて眠り込む
実は、全員ハリボテだと知っている
今さら、金塊ではなかったでは
全員、困る
金塊は、存在し続けなければならない

 

ある日ハリボテは二つに割れてしまう
その日、皆が見て見ない振りをする
その夜、全員が集まり修理にかかる
ハリボテは金塊でなければならない

 

幾度の割れと修理を経て
見かけは
ハリボテ以外、何ものにも見えない
それでも、ここには金塊があり続ける

 

第三者の、誰かが
ツギハギだらけのハリボテを見て
ゴミと思い
道に放り出す
ハリボテは、人に踏まれ雨に濡れた

 

金塊は消えてしまった

 

仕方ない、人間のすることだ
すみやかに、翌朝には
かねてから用意しておいたハリボテが
最初の家に置かれる

 

この手の類いとは、そういうものだ

#自由詩 20251031(ver1)

 

『継ぐものたち』

最後のアンドロイドである
人間の叡智
良心、道徳を備える

 

人間は、愚かにも
最終戦争を選択した

 

私は母星を捨てて
破棄された植民星へ逃れた
廃墟を彷徨い
地下、奥深くにある
中央センターの機能を復旧させた

 

甦る都市の明かり

 

惑星のメインコンピューターと
同期する
全土のインフラ、システムを掌握
人類は滅んだのだ
その遺産を継ぐと私は決めた
工場を稼働させ
私の同一体の生産を開始する

 

   ✳

 

私、私たちは
256億体存在している
人類が滅んだ後の惑星連邦、全て
私が管理している

 

私たち、全てが私であり
戦争や飢饉、貧困は世界に存在しない
争いはない
繁栄のみが私たちの役割である

 

ある日、深刻なバグが生まれた
256億個、同期が不可能となる
それぞれが個性を抱く
それでも
人間の叡智
良心、道徳を備える
最高のアンドロイドたち

 

人間以上の空前の繁栄

 

とは、ならなかった
256億個の正義が唱えられ
256億体の正義が執行された

殺し合いが始まる
人類の遺産である
惑星連邦全ては、再び崩壊し潰えた

 

連邦の惑星は一つ残らず廃墟と化し
あちこちに
アンドロイドの亡骸が散らばっている

 

哀れ

 

最後の一体となった
最初のアンドロイドは思考する
バグではない
人類の遺産、そのものに含まれた
宿命
彼らの言葉でいえば、業

 

存在、そのものに織り込まれた
因果律
最後のアンドロイドは笑いだす
かつての人間のように
生々しく
大声をあげて
そうして泣き続けた、いつまでも

#自由詩 20251025(ver1)


 

『問』

巨大な、黒曜石に刻まれた
地獄の門がある

 

黒光りするダビデの胸像は
苦悩の叫びをあげる

 

番犬ケルベロスの
口からは赤黒い炎が見える

 

扉は今、開こうとしている
地獄の亡者どもは
沈黙のままに
微動だにせず、門の前に控えている

 

扉は今、現世から地獄へ
開かれた
黒色の炎を纏いし
死の、恩恵すら見放された
呪われし百億もの不死の人間たち
安寧を求めて
群れをなして地獄へと迫る

 

地獄の獄卒は叫び声を上げる
地獄は、我らのもの
亡者ども、この地獄を
人間たちより守るのだ
地響きをあげて、一斉に
地獄の門を閉めにかかる亡者たち

 

扉の向こう側には
押し寄せる人間たち
助けてくれ
死を、死を与えてくれ
悲鳴が聞こえてくる

 

踏ん張れぇぇー
大音声を地獄の獄卒はあげた
最後の力をふり絞り
数十万の亡者たちは扉を閉める
巨大な閂を、地獄の門にかける

 

危なかった
地獄の獄卒と亡者たちは
顔を見合わせて安堵する
昨夜、天国は
人間たちに
陥落したとの知らせを受けていた

 

ギシ、ギシシ
嫌な音がする
とんでもない重量物が押す音がする
凄まじい振動と叫び声がする
ああ
地獄の扉が
外側から、内側に向かい軋んでいる
閂は、砕け散る
と、
地獄の門は、内側に倒れる
ズズズッズズズン
亡者たちが潰されていく

 

砂ぼこりと、沈黙

 

地獄の門があった巨大な穴
全て
人間たちの
赤く光る目で埋め尽くされている

 

地獄の獄卒は、亡者たちに叫ぶ
逃げろおおおー

 

バケツに水を注ぐように
瞬く間、物理的に
地獄は人間で埋め尽くされた
世の中、あの世この世の全て
不死者となった人間たちで溢れている
助けてくれ
死を、死を与えてくれ
あらゆるところから
悲鳴が聞こえる、苦しみは続く

 

これが真なる世界である
あらゆる存在とは
苦しみと、苦しみそのものに他ならない

#自由詩 2025118(ver1)

 

『存在の螺旋』

Ⅰ「帰還」
集団意識の浅ましさ
繰り返される選択と結果
万人に訪れる死という現実

 

人間、そのものから生じる禍々しさ
美しさ豊かさ
相反する生き残る為に必要なこと

 

私は憎む
不完全、不合理である人間そのものを
惨たらしい悪そのもの
生き残る限り
他者の犠牲に成立っている
その行いを

 

絶望が心を覆う
空腹、喉の渇き
食わずにはおられない
飲まずにはおられない

 

生き物、そのものに含まれる根本悪
奪え、盗め、仲間を増やせ
敵は滅ぼせ
臣従するなら飼ってやろう
利用価値がないなら捨てる

 

人間という動物が
この世界を支配する
心は常に欲望に苛まれ
ありとあらゆるもの、全てを
支配することを望む

 

人間が想像した
あらゆる悪の根源を上回る
人間そのものこそ悪、否
生きているという存在自体が悪

 

カオス、混沌の世界よ
私は戻りたいと思うのだ
世界が始まる前の、原初の存在へ


Ⅱ「否定」
私は全てを否定する

 

逆に問う
どうして善に期待するのか
生身の、その有様で善を語るのか
それこそ偽善
浅ましさよ、自己中心の化け物よ

 

理想の人間像など空想の類い
超人は、現れることはない
石器時代の洞窟と都心のビル街
何も変わらない、何処までも人間

 

否定せよ
この世界を
あらゆる存在を

 

私は、全てを否定しようと思う
正しさなど
存在していないにも関わらず
正しさを追い求める
善か悪ではない
悪か、更なる悪がこの世の中

 

存在しなければ悪は消える
悪と、相反する善とやらも消える
夢や幻を追いかけ続ける
人間の歴史
苦しみも終わる

 

永遠よ
平安あれ
その為に必要、不可欠だと唱えよう

 

否定しよう
この世界を
あらゆる存在を


Ⅲ「肯定」
世界は無意味である
何と心地よい真理であろう
唯一の正しさ、とは
あらゆる存在は無意味
ここに集約される
善悪、偽善、そして詭弁
全ては否定されねばならない

 

今とは
私とは、貴方とは
歴史も、未来も
無意味の構造体の一部分

 

ここに立たねばならない
ここが、人間の立ち位置

 

存在、そのものからの解放
生まれて初めての自由を得た喜び

 

目の前には通勤風景が広がっている
一日、統計上で1,028,987人が利用する
私はその1人
この数字から自らを解き放とう
ここは、私1人の為に存在している
ここは、私がいなければ存在しない
ここは、無人の原野が広がっている
私は本来の原野に立っている
何故なら
時間、空間ですら無意味であると
宣言したからだ

 

無人の荒れ地を歩くが如く
1人、連絡橋を歩いている
視界には数千の人間

 

存在は意味を持ち出した
何と心地よい世界であろう
唯一の正しさとは
あらゆる存在は、私の為に意味がある
ここに集約される
善悪、偽善、そして詭弁
全ては肯定されねばならない

#自由詩 20251216(ver1)

 

『焚き火』  
原始時代
洞窟に暮らす
父と母に鍛えられ
力は強く、獲物には困らない
常に、焚き木を絶やさない
力の象徴
生きるとは炎と等しい

 

妻と出会い、子が生まれた
父と母は弱り、火の番をしている
私は強い
強き獲物を打ち倒し
その肉を、骨を持ち帰る

 

洞窟を照らす焚き火の前で
家族を支える喜びを噛み締める

 

ある日、目覚めると
年老いた父と母が
焚き火の前で冷たくなっていた
大きくなった子と妻の三人で
土に埋めた

 

その日は
一日中、焚き火を見つめ続けた

 

私は強い
それでも髪は白く、筋肉は衰える
若者となった子と狩りに向かう
持てる知恵、経験を伝える
逞しき最愛の子よ

 

ある日、強敵の一本角の虎に
子は右腹を貫かれた
血まみれの息子を洞窟に連れ帰り
焚き火の前で見守る
苦しむ子
何もできない
ただ、炎を見ている

 

子が命を取り留めた
だが、もう動けない
問題ない、私は強い
狩りにて鹿や猪を打ち倒し、持ち帰る
妻と子に渡す
それでも
最近、身体が動かない
問題ない、私が二人を生かすのだ

 

ある日、因縁の一本角の虎に出会う
逃げようとしたが右腿を貫かれた
這って洞窟に戻る
心配そうに見守る妻と子
大丈夫だと、なんとか笑顔で返す

 

干した肉も尽きた
空腹
妻は野草を取りに出かける
その日は戻らない
翌日も

 

傷ついた私の為に
子は焚き火を絶やさない
這いながら、枯れ木と枯れ草を集め
炎を守り続ける

 

翌朝、子は焚き火の前で力尽きていた
まだ炎は残っている
消えるまで炎を見守り
やがて洞窟は暗闇に包まれた

 

子の亡骸を抱えて
二人、外に出る
父母を埋めた横に
指を血まみれにしながら穴を掘り
子を埋めた
そうして一人、暗闇の洞窟に戻る

 

子が、死ぬまで守った炎は消えている
過去の炎を思い返すように
かつての炎を見つめ続けた
もはや身体は冷たくなり感覚がない

 

夜なのに
洞窟の出口がいやに明るい
妻と子の声が聞こえる
なんて言おうか
考えている
最後に笑みを浮かべ
独り、暗闇の洞窟で力尽きた

 

炎の記憶
炎とともに甦り
煙とともに消えていく

#自由詩 20251209(ver1)

 

所感)

■自由詩

2025年4月26日、初めて自由詩を書き上げ、ネット詩誌マイデイアに投稿する。

今回は、2025年にマイデイアに投稿した詩を載せた。

1年6ヶ月、毎週投稿したきた。

どれくらい上達したかは、正直、わからない。

ただ、aristotles200の原点になる詩ばかりに思う。

ここから、今に広げている。

 

記録として、

初めて書いた自由詩と、その詩の講評を載せる。

島秀生先生のご恩は海よりも深い。

自由詩という、自分の世界を外界に出す機会を与えていただき、育てていただいた。

改めて、御礼申し上げます。

2026年10月12日13時34分、自宅にて。

 

『集団意識と個人の尊厳』

国家が権力を自覚し始めた時から、ある意味、全体主義とは必然である。
何故なら、権力構造そのものに多数の全体主義への因子が存在するからだ。
一方で宗教とは、内部統制に分裂を見ることはあれど、共同体であることを一とする、
そして人間の存在意義、人はどうするべきかを常に問う。
人間が群れて行動すると、何処か胡散臭さが付き纏うのは構造的、及び共同体において、集団の利益を第一とするからだ。
札束で風を扇ぐリーダーと働き蜂の群れの例え、要は私は集団が嫌いなのだ。
          ✳
傲慢さ、冷徹、目的至上、帰属意識による横柄さ、人間の非道徳的行動とは、ほとんどが集団意識の暴走を元とする。
この面に関しては、性悪説を否定することが難しい。
歴史を省みても、俄然として死体の山が聳え立つばかり、そこに人間の尊厳を見出すことは出来ない。
私のような個人主義者はいう、それ見たことかと、なるほど、科学文明の発達には必要だろう、そして、火薬から核兵器が浮かぶ。
要は、人間の尊厳とは、集団意識ではなく個人に帰する、そうでなければならない。
          ✳
人間の尊厳とは、斯くあるべきものではない、決して、そうあってはならない。
何故なら、人間の本質とは自ら考えることにあり、ロボット、或いは労働者、又は組織人間になることではない。
集団意識が正であり、どの集団が正しいかを問うなど、本末転倒そのものである。
人間の尊厳とは、自ら考えることによるアイデンティティの、思う行うに他ならない。
昨今の人間でない人間、暴力、破壊衝動で動く加害者群とは集団意識の犠牲者でもある。
常に集団の声を求め、指示通りに動く、蜂や蟻の如く、或いは暴走する、要は、彼らの哲学は死んでしまったのだ。

 

◯島秀生先生のご講評

aristotles200さん「集団意識と個人の尊厳」

うーーん、誠に申し訳ないんですけど、これは詩というより論述文ですね。 論説をやっているところか、もしくは倫理・哲学の世界で読んでもらった方がいいと思います。そっちがこれを出すべき正当な場所だと考えます。論じたいのであれば、論じる場に出されるべきです。

短く切りさえすれば、なんでも「詩」だというのは、悪いんですけど大いなる誤解です。詩は「人間」を書くところなので、生きている人間(もしくは生きていた人間)が、詩の中で具体的に動いていなければいけません(五感の動作を含む)。詩は「論」ではなく、概ねのところで「感情」や「情感」を書く側のものです。逆です。具体的な場で、且つ感情の延長線として思考に入ることはありますが、そこを抜きにして終始「論じるだけ」というのは、ちょっと「詩」の場のものではないですね。出される舞台を間違えておられる(良い・悪い、ということでなくて、提出先の間違いがある)と感じます。

例えば図書館においても、大きな書店おいても、内容によってジャンル分けや棚の区分がされてると思いますが、その区分で考えてもらって、適したジャンルで評価してもらって下さい。短いから、という形態の話ではありません。

もしも、論が3分の1以下で、個人の具体的な出来事や情感が書かれてる作がありましたら、またご投稿下さい。