四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

講孟箚記 楽しむに天下を以てし

本文) 楽しむに天下を以てし、憂ふるに天下を以てす。(樂以天下、憂以天下) 「楽しむに天下を以てし、憂ふるに天下を以てす」と。 是、聖学の骨子なり。 凡そ聖学の主とする所、修己・治人の二途に過ぎず。 故に「伊尹の志す所を志し、顔淵の学ぶ所を学ぶ」…

講孟箚記 人に三等あり

本文) 人に三等あり。 下等の人は義に合はず、信ならず、果ならざるの徒にて、是れ妄人なり、 中等の人は信を必とし、果を必とし、未だ必ずしも義に合はざるの徒にて、是れ遊侠の類なり。 上等の人は即ち本文の所謂大人にて、信を必とせず、果を必とせず、…

講孟箚記 舜は 大聖人なり

本文) 舜は 大聖人なり。 其の賤しくして農夫・陶工・漁父と混ずるに当りてや、必ず「人に取りて以て善を為す」ものは、天下の至大至さく、誠に一人の智力の能く及ぶ所に非ざるを知ればなり。 「人と善を為す」に至りては、仁の至れる者なり。 我せい小人、…

講孟箚記 仁は人の心なり

本文) 第十一章 仁は人の心なり。義は人の路なり。 (仁人心也、義人路也) 是等の語、能々味ふべし。仁は即ち人の心、人の心は即ち仁なり。程子の所謂「満腔子、惻隠心」と云ふ、是なり。 人の心を一々省察せば、仁の外に出づることし。 忠孝、友悌、衆善行…

小学 舉世交遊を重んじ

書き下し文) 舉世交遊を重んじ、金蘭の契を結ばんと擬す。 忿怨容易に生じ、風波當時に起る。 所以に君子の心、抂抂として淡きこと水の如し。 小学 外篇 意訳) 世の中の人たちは、人との付き合いを重くみる。 易経にある「金襴の契り」のような、 互いに君…

小学 爾酒を嗜むこと勿かれ

書き下し文) 戒む、 爾酒を嗜むこと勿かれ。 狂薬にして佳味に非ず。能く謹厚の性を移し、化して凶険の類と感す。古今の傾敗せる者、歴歴皆記す可し。 小学 外篇 意訳) 酒を好み、毎日浴びるように呑んではならない。 酒は人を狂わし、その味は偽りに満ち…

小学 爾多言なること勿かれ

書き下し文) 戒む、 爾多言なること勿かれ。 多言は衆の忌む所。 苟も枢機を慎まずんば、災厄此より始まる。 是非毀誉のかん、適適身の累を為すに足る。 小学 外篇 意訳) 多言とは、戒めとすべきこと。 多言とは、皆に忌み嫌われること。 君子たる者ですら…

孟子 禹・稷は平世に当りて

書き下し文) 禹・稷は平世に当りて、 三たび其の門を過ぐれども入らず。 孔子之を賢とせり。 顔子は乱世に当りて、陋巷に居り、一箪の食、一瓢の飲、人は其の憂いに堪えざるも顔子は其の楽を改めず。孔子之を賢とせり。 孟子曰く、 禹・稷・顔回は道を同じ…

孟子 孔子東山に登りて魯を小とし

書き下し文) 孟子曰く、 孔子東山に登りて魯を小とし、 太山に登りて天下を小とせり。 故に海を観る者は水となし難く、 聖人の門に遊ぶ者は言となし難し。 水を観るに術あり、必ず其の波を観よ。 日月明あり、容光をも必ず照す。 流水の物たるや、科に盈た…

孟子 性は猶湍水のごとし

書き下し文) 告子曰く、 性は猶湍水のごとし。 諸を東方に決げば則ち東に流れ、誰を西方に決けば則ち西に流る。 人の性の善不善を分つことなきは、猶水の東西を分つことなきがごとし。 孟子曰く、 水は信に東西を分つことなきも、上下を分つことなからんや…

孟子 縢の文公世子たりしとき

書き下し文) 縢の文公世子たりしとき、將に楚に之かんとし、宋に過りて孟子を見る。 孟子性善を道ひ、言へば必ず堯・舜を稱す。 世子楚より反りて、復孟子を見る。 孟子曰く、世子吾が言を疑ふか。 夫れ道は一のみ。 正園、斎の景公に謂ひて曰く、彼も丈夫…

孟子 丹の水を治むるや

書き下し文) 白圭曰く、 丹の水を治むるや、禹より愈れり、と。 孟子曰く、 子過りてり。 禹の水を治むるは、水の道なり。 是の故に禹は四海を以て壑と為せり。 今吾子は隣國を以て壑とす。 水逆行する、之を洚水と言う。 洚水とは、洪水なり。 仁人の惡む…

孟子 舜は田畝の中より發り

書き下し文) 孟子曰く、 舜はけん畝の中より發り、 傅説は版築の間より挙げられ、 膠鬲は魚園の中より挙げられ、 管夷吾は士より挙げられ、 孫叔敷は海より挙げられ、 百里奚は市より挙げらる。 故に天の將に大任を是の人に降さんとするや、 必ず先づ其の心…

孟子 人の学ばずして能くする所の者は

書き下し文) 孟子曰く、 人の学ばずして能くする所の者は、其の良能なり。 慮らずして知る所の者は、其の良知なり。 街亭の童も、其の親を愛することを知らざる無し。 其の長ずるに及びてや、其の兄をを敬することを知らざる無し。 親を親しむは仁なり。 長…

孟子 命に非ざる莫きなり

書き下し文) 孟子曰く、 命に非ざる莫きなり。 其の正を順受すべし。 是の故 に命を知る者は、巖牆の下に立たず。 其の道を盡して死する者は、正命なり。 桎梏して死する者は、正命に非ざるなり、と。 孟子 告心章句上 意訳) 孟子はいわれた、 人は、天か…

孟子 天爵なる者有り

孟子曰く、 天爵なる者有り、人爵なる者有り。 仁義忠信、善を樂しみて倦まざるは、此れ天爵なり。 公卿大夫は、此れ人爵なり。 古の人は、其の天爵を脩めて、人爵之に從へり。今の人は、其の天爵を脩めて、以て人爵を要む。既に人酎を得て、其の天爵を棄つ…

孟子 仁は人の心なり

書き下し文) 孟子曰く、 仁は人の心なり。義は人の路なり。 其の路を舍てて由らず。 其の心を放して求むることを知らず。 哀しいかな。 人鷄犬の放すること有れば、則ち之を求むることを知る。 放心有りて、求むることを知らず。 學問の道は他無し。 其の放…

孟子 一單の食、一豆の羹も  

書き下し文) 一單の食、一豆の羹も、之を得れば則ち生き、得ざれば則ち死す。 叱爾として之を興ふれば、道を行くの人も受けず。 蹴爾として之を與ふれば、乞人も 屑 しとせざるなり。 萬鍾は則ち禮義を辯ぜずして之を受く。 萬鍾我に於て何をか加へん。 宮…

大学 天子より以て庶人に至るまで

書き下し文) 天子より以て庶人に至るまで、 壱に是れ皆身を脩むるを以て本と為す。 その本乱れて末治まるは否す。 その厚かる所(可)き者薄くして、 その薄かる所き者厚きは、 未だこれ有らざるなり。 此れを本を知ると謂い、此れを知の至まりと謂うなり。 …

大学 古えの明徳を天下に明らかにせんと

書き下し文) 古えの明徳を天下に明らかにせんと欲する者は先ずその国を治む。 その国を治めんと欲する者は先ずその家を斉う。その家を斉えんと欲する者は先ずその身を脩む。 その身を脩めんと欲する者は先ずその心を正す。その心を正さんと欲する者は先ずそ…

大学 大学の道は明徳を明らかにするに在り

書き下し文) 大学の道は、 明徳を明らかにするに在り、 民を親しましむるに在り、 至善に止まるに在り。 止まるを知りて后定まる有り、 定まりて后能く静かに、 静かにして后能く安く、 安くして万能く慮り、 慮りて后能く得。 物に本末あり、事に終始あり…

孟子 人の其の言を易くするは

書き下し文) 孟子曰く、 人の其の言を易くするは、責無きのみ、と。 孟子 離婁章句上 意訳) 孟子はいわれた、 好き放題、勝手気ままに話す人とは、 自分に関係なく、責任を取る気など毛頭ないか、 あるいは自分の利益になることしか関心がなく、自分以外が…

講孟箚記 返りて諸を己に求む

本文) 第四章 返りて諸を己に求む。(反求諸已) 第五章 家の本は身に在り。(家之本在身) 「反求(反りて求む)」の二字、聖経賢伝、百千万言の帰着する所なり。 「在身(身に在り)」の二字も、同じ工夫なり。 天下の事、大事小事、此の道を離れて成ることなし。…

講孟箚記 自暴は演物なり、自奏は情疑者なり

本文) 「自暴・自業」「安宅・正路」の読、切実と云ふべし、読者自ら其の義を了すべし。 嗚呼、自暴は演物なり、自奏は情疑者なり、我人此の両等人には成りとうなきものなるが、安宅とて安とも知らず、正路とて正とも知らずんば、遂に此の両等人たるを見れ…

孟子 慮らざるの譽有り

書き下し文) 孟子曰く、 慮らざるの譽有り。 全きを求むるの毀有り、と。 孟子 離婁章句上 意訳) 孟子はいわれた、 時に、思いもよらない栄誉を得ることもある。 時に、万全を期しても非難を受けることもある。 誉れ、毀りに左右される、世の中の評判や不…

孟子 人恒の言有り

書き下し文) 孟子曰く、 人恒の言有り。 皆曰く、天下国家、と。 天下の本は国に在り。 国の本は家に在り。 家の本は身に在り、と。 孟子 離婁章句上 意訳) 孟子はいわれた。 天下(この世の中)、国家は、いったいどうなっているのか、 と、世間一般の人…

孟子 均しく是れ人なり

書き下し文) 公都子問うて曰く、均しく是れ人なり。 或は大人と偽り、或は少人と為る、何ぞや、と。孟子曰く、其の大體に従えば大人と為り、其の小體に従えば小人となる、と。 曰く、均しく是れ人なり。或は其の大體に從ひ、或は其の小體に從ふは、何ぞや、…

孟子 人は以て恥じること

書き下し文) 孟子曰く、人は以て恥じること無かる可からず。 恥づること無きを之れ恥づれば、恥無し、と。 尽心章句上 意訳) 孟子はいわれた。 人は、自らの行いに対し、常に恥を掻かぬよう、律しなければならない。 恥ずべき行いを、恥では無いと思はない…

孟子 三代の天下を得るや仁を以てし

書き下し文) 孟子曰く、 三代の天下を得るや仁を以てし、其の天下を失ふや不仁を以てす。 國の所廢興存亡する所以の者も、亦た然り。 天子不仁なれば、四海を保たず。 諸侯不仁なれば、社稷を保たず。大夫不仁なれば、宗廟を保たず。 士庶人不仁なれば、四…

孟子 仕ふるは貧の為にに非ざるなり

書き下し文) 孟子曰く、仕ふるは貧の為にに非ざるなり。 而れども時有りてか貧の為にす。 妻を娶るは養の為に非ざるなり。 而れども時有りてか、養の為にす。 貧の為にする者は、尊を辞して卑に居り、富を辞して貧に居るべし。 尊を辞して卑に居り、富を辞…