書き下し文)
孟子曰く、
仁は人の心なり。義は人の路なり。
其の路を舍てて由らず。
其の心を放して求むることを知らず。
哀しいかな。
人鷄犬の放すること有れば、則ち之を求むることを知る。
放心有りて、求むることを知らず。
學問の道は他無し。
其の放心を求むるのみ、と。
孟子 告子章句上
意訳)
孟子はいわれた、
仁とは、人の不幸を見過ごせないあわれみの心、思いやりの気持ち。
義とは、自分の不善を恥じ、不善を憎くむ心、人としての正しい道。
昨今の人は、義の道を見失い、仁の心を放して、再び求めることを知らない。
哀しいことかな。
人は飼っている鶏や犬がいなくなれば、遠くでも探しにいく。
しかし、自身の仁の心を放し、義の道を見失っても、なんとも思わず、探しにも行かない。
学問の道とは、仁の心と義の道のみ。
放した本心、見失った正道は、自ら再び求めるしかない。
所感)
■仁無き未来
あわれみの心、思いやりの気持ちを省みない世の中とはどのような世界であろうか、
A〉工場で生産された人たちが、蟻か蜂のような社会を構成し、自らの社会を発展させるべく資源確保の為、他国を侵略し、資源を消費し尽くす度に、蝗の様に侵略を繰り返す、、、。
B〉親と子の関係性が薄く、不善に対して禁忌がない社会。弱肉強食、動物社会そのもの。ボス猿とその下僕たちのような集団が構成され、子殺し親殺しが行われ、戦いが社会のルール。集団内外で常に戦いと支配が繰り返され、やがて、、、。
A/Bどちらにしろ、ろくでもないことには変わらない。
今日、一日の読書を学問として、努め励みたい。