四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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孟子 尽心句章

孟子 心を養うは欲を寡なくするより善きはなし

書き下し文) 孟子曰く、 心を養うは欲を寡なくするより善きはなし。 その人となり欲寡なければ、 心の存せざる者ありと雖も寡なし。 その人となり欲多ければ、 心の存する者ありと雖も寡なし。 孟子 尽心章句下 意訳) 心を養うとは、欲を少なくすること以…

孟子 不仁なるかな梁の恵王や

書き下し文) 孟子曰く、 不仁なるかな梁の恵王や。 仁者は其の愛する所を以て其の愛せざる所に及ぼし、 不仁者は其の愛せざる所を以て其の愛する所に及ぼす。 公孫丑曰く、 何の消ぞや。 曰く、梁の恵王は土地の故を以て其の民を燦爛して之を戦わしめ、大に…

孟子 士は何をか事とする

書き下し文❳ 王子墊間いて曰く、 士は何をか事とする。 孟子曰く、 志を尚くす。 曰く、 何をか志を尚くすと謂う。 曰く、 仁義のみ。 一にても罪なきものを殺すは仁にあらず。 其の有にあらずして之を取るは義にあらず。 居悪くにか在る、仁是れなり。 路悪…

孟子 万物皆我に備わる

書き下し文) 孟子曰く、 万物皆我に備わる。 身に反みて誠あらば、楽これより大なるはなし。恕を強(勉)めて行なう、仁を求めることこれより近きは莫し。 孟子 尽心章句上 意訳) 孟子はいわれた。 人を善に至らす徳は、人である限り皆備わる。 自ら省みて心…

孟子 人の死するは命にあらざることなきも

書き下し文) 孟子曰く、 人の死するは命にあらざることなきも、其の正命を順受すべし。 是の故に天命を知る者は、巌牆の下に立たず。 其の道を尽くして死する者は、正命なり。 罪受けて死する者は、正命にあらざるなり。 孟子 尽心章句上 意訳) 孟子はいわ…

孟子 孔子東山に登りて魯を小とし

書き下し文) 孟子曰く、 孔子東山に登りて魯を小とし、 太山に登りて天下を小とせり。 故に海を観る者は水となし難く、 聖人の門に遊ぶ者は言となし難し。 水を観るに術あり、必ず其の波を観よ。 日月明あり、容光をも必ず照す。 流水の物たるや、科に盈た…

孟子 丹の水を治むるや

書き下し文) 白圭曰く、 丹の水を治むるや、禹より愈れり、と。 孟子曰く、 子過りてり。 禹の水を治むるは、水の道なり。 是の故に禹は四海を以て壑と為せり。 今吾子は隣國を以て壑とす。 水逆行する、之を洚水と言う。 洚水とは、洪水なり。 仁人の惡む…

孟子 舜は田畝の中より發り

書き下し文) 孟子曰く、 舜はけん畝の中より發り、 傅説は版築の間より挙げられ、 膠鬲は魚園の中より挙げられ、 管夷吾は士より挙げられ、 孫叔敷は海より挙げられ、 百里奚は市より挙げらる。 故に天の將に大任を是の人に降さんとするや、 必ず先づ其の心…

孟子 人の学ばずして能くする所の者は

書き下し文) 孟子曰く、 人の学ばずして能くする所の者は、其の良能なり。 慮らずして知る所の者は、其の良知なり。 街亭の童も、其の親を愛することを知らざる無し。 其の長ずるに及びてや、其の兄をを敬することを知らざる無し。 親を親しむは仁なり。 長…

孟子 命に非ざる莫きなり

書き下し文) 孟子曰く、 命に非ざる莫きなり。 其の正を順受すべし。 是の故 に命を知る者は、巖牆の下に立たず。 其の道を盡して死する者は、正命なり。 桎梏して死する者は、正命に非ざるなり、と。 孟子 告心章句上 意訳) 孟子はいわれた、 人は、天か…

孟子 天爵なる者有り

孟子曰く、 天爵なる者有り、人爵なる者有り。 仁義忠信、善を樂しみて倦まざるは、此れ天爵なり。 公卿大夫は、此れ人爵なり。 古の人は、其の天爵を脩めて、人爵之に從へり。今の人は、其の天爵を脩めて、以て人爵を要む。既に人酎を得て、其の天爵を棄つ…

孟子 仁は人の心なり

書き下し文) 孟子曰く、 仁は人の心なり。義は人の路なり。 其の路を舍てて由らず。 其の心を放して求むることを知らず。 哀しいかな。 人鷄犬の放すること有れば、則ち之を求むることを知る。 放心有りて、求むることを知らず。 學問の道は他無し。 其の放…

孟子 一單の食、一豆の羹も  

書き下し文) 一單の食、一豆の羹も、之を得れば則ち生き、得ざれば則ち死す。 叱爾として之を興ふれば、道を行くの人も受けず。 蹴爾として之を與ふれば、乞人も 屑 しとせざるなり。 萬鍾は則ち禮義を辯ぜずして之を受く。 萬鍾我に於て何をか加へん。 宮…

孟子 均しく是れ人なり

書き下し文) 公都子問うて曰く、均しく是れ人なり。 或は大人と偽り、或は少人と為る、何ぞや、と。孟子曰く、其の大體に従えば大人と為り、其の小體に従えば小人となる、と。 曰く、均しく是れ人なり。或は其の大體に從ひ、或は其の小體に從ふは、何ぞや、…

孟子 人は以て恥じること

書き下し文) 孟子曰く、人は以て恥じること無かる可からず。 恥づること無きを之れ恥づれば、恥無し、と。 尽心章句上 意訳) 孟子はいわれた。 人は、自らの行いに対し、常に恥を掻かぬよう、律しなければならない。 恥ずべき行いを、恥では無いと思はない…

孟子 其の心を尽す者は

書き下し文) 孟子曰く、 其の心を尽す者は、其の性を知るなり。 其の性を知れば、則ち天を知る。 其の心を存し、其の性を養うは、天に事ふる所以なり。 夭寿不弐はず、身を修めて以て之を俟つは、命を立つる所以なり、と。 孟子 尽心章句上 現代語訳直訳) …

孟子 萬物皆我に備はる

書き下し文) 孟子曰く、 萬物皆我に備はる。 身に反して誠なれば、樂、為より大なるは莫し。強恕して行ふ、仁を求むること焉より近きは莫し、と。 尽心章句上 現代語訳直訳) 孟子はいわれた。 万物は皆、自分に備わる。 故に、我が身を省みて誠であれば、 …

孟子 為さざる所を為す所なく

書き下し文) 孟子曰く、 其の為さざる所を為す所なく、 其の欲せざる所を欲することなし。 此く如きのみ、と。 尽心句章上 意訳) 孟子がいわれた。 人としてして、最高の行いとは、 ·為してはならぬことを、為さず、 ·欲してはならないことは、欲しない。 君…

孟子 舜の深山の中に居るや

原文) 孟子曰、舜之居深山之中、與木石居、與鹿豕遊、其所以異深山之野人者幾希、及其聞一善言、見一善行、若決江河沛然、莫之能禦也。 尽心句章上 意訳)孟子はいわれた 昔々、舜(中国古代の聖人、五帝の一人)という人がいた。 中国の歴山と呼ばれる、山の…

孟子 君子に三樂有り

原文)孟子曰、君子有三樂、而王天下不與存焉、父母倶存、兄弟無故、一樂也、仰不愧於天、俯不怍於人、二樂也、得天下英才而教育之、三樂也、君子有三樂、而王天下不與存焉。 尽心章句上 意訳)孟子がいわれた。 君子の楽しみは、三つある。 ·父と母が健康で、…