四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 儒教・儒学へ

孟子 萬物皆我に備はる

f:id:aristotles200:20210914202444j:plain書き下し文)

孟子曰く、

萬物皆我に備はる。

身に反して誠なれば、樂、為より大なるは莫し。強恕して行ふ、仁を求むること焉より近きは莫し、と。

尽心章句上

 

現代語訳直訳)

孟子はいわれた。

万物は皆、自分に備わる。

故に、我が身を省みて誠であれば、

楽しみ、これほど大きなものは無い。

まごころと思いやりの心で行えば、

仁を求めること、これより近き方法はない、と。

 

所感)

孟子の教え

孟子といえば、この「萬物皆我に備はる」との大命題が有名であり、「強恕して行ふ」は、孟子の教えの中心にある結晶のようなもの。

こう書くと大げさで、神話か古代の理想論のように思われがちであるが、

万物皆備わるとは、自分の行い全てが、誠に恥じないこと、つまり、人、本来が備えもつ道理(四端、四徳)を行えていること。

人としての楽しみ、これほど大きいものは他にはない。

また、まごころと思いやりの心(強恕)、つまり、日常生活で両親に思う、当たり前の気持ち、行いこそ、仁に近い方法は他にない、と述べている。

 

■学問の道

孔子·孟子の教え、学問の道とは、両親に思う気持ちから始まり、仁を積み重ねて、やがては、人が本来備えもつ万物と一となり、大いなる楽しみを得る、と、そして、

四書、大学(儒学の要点をまとめた眼目)にある三綱領につながる。

明明徳 (明徳を明らかにする)

親民 (民を親しく愛する)

止於至善 (至善に止まる) 

儒学のスケールの広さ、大きさにただ感嘆するのみか。

 

■学問の視点

最近、四書、大学に戻ることが多い。

孟子を学び、考えていると、自分の思いをどうまとめるのか、迷う時がままある。

孟子とは巨大な思想体系、論理性を持ち、入口に入ることは易しいが、一度中に入ると、余りにも巨大な思想、論理の中で、己の立ち位置を見失い、ただ文字を追いかけているばかりの時がある。

自分はどう思うか、この視点なきに学問は成り立たない。

また、これが今、学問に取り組む私がもつ唯一の「ものさし」でもある。

その意味で、四書、大学は、私にとって、孟子という巨大な塔を攻略する攻略本のような立ち位置にある。

同学の大先輩、黄周矢さんに教えていただいた、同じ立ち位置にある「近思録」も常に側にある。

学問の道とは、なんと楽しいことか。

悩みは、時間が溶けていくこと、これに尽きる。

 

今日、一日の読書を学問として、努め励みたい。

#儒学 #孟子