書き下し文)
孟子曰く、
人の死するは命にあらざることなきも、其の正命を順受すべし。
是の故に天命を知る者は、巌牆の下に立たず。
其の道を尽くして死する者は、正命なり。
罪受けて死する者は、正命にあらざるなり。
孟子 尽心章句上
意訳）
孟子はいわれた。
人の死とは、天からの命による。
短命、長寿を問わず、人は受け入れなければならない。
天より与えられた、為すべきことを成し遂げて、
潔く死を受け入れることこそ、正命という。
故に、
崩れそうな岩や石塀の下に考えもなく立ち、天から命を受けた我が身を軽んじてはいけない。
ましてや、罪を犯して獄死するなど、正命による死とは決していえない。
所感）
■私見
学問である限り、あやふやななにか、ではいけない。
天とは、神話に登場する天界を支配する天帝ではない。
また、自然界を偶像化した、モヤモヤとしなにか、でもない。
天とは、側隠・羞悪・辞譲・是非の四端の心、仁・義・礼・知の徳、人の本性が善であること、至善こそ天であろう。
同様に、天より与えられた為すべき正命とは、
明明徳、自らの徳を明らかにし、
親民、民を親しみ、仁により国を治め、
至善、天下あまねく、堯・舜の世を至らす。
至極明快ではないか、儒学とは。
学問の道とは、これら全てをいう。
今日、一日の読書を学問として、努め励みたい。
