四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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孟子 万物皆我に備わる

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孟子曰く、

万物皆我に備わる。

身に反みて誠あらば、楽これより大なるはなし。恕を強(勉)めて行なう、仁を求めることこれより近きは莫し。

孟子 尽心章句上

 

意訳)

孟子はいわれた。

人を善に至らす徳は、人である限り皆備わる。

自ら省みて心の内が誠であれば、人の世の楽しみでこれより大きいものはない。

人を思いやる気持ち、人をあわれむ気持ちを、日々、広げること。

人が仁を求めるのに、これ以上の方法はない。

 

所感)

■人としての原点

産まれた時より死に至るまで共にある、親からの思いやりの気持ちは、人としての原点である。

例え、親が世を去ったとしても、その思いは終生、子の側から離れることはない。

仁とは、端的に述べればここに尽きる。

故に、「人である限り皆備わる」と孟子はいわれた。

 

■広がる思いやりの心

子の立場での、与えられた思いやりの心、

親の立場での、与えた思いやりの心、

様々な立場は親と子、のみとは限らない。

兄弟はもちろんのこと、師匠と弟子、上司と部下、先輩と後輩、社長と社員、市長と市民、君主と臣下、国家と国民、先進国と後進国、、

世の中のあらゆることに、思いやりの心、仁の心は存在し、

時には義へ、時には礼へ、時には知へ、そして誠へ、孝へ、悌へ、忠へと広がる。

故に、「人を思いやる気持ち、人をあわれむ気持ちを、日々、広げること。」と孟子はいわれた。

 

■広大な楽しみ

私利私欲に塗れた人の楽しみとは、自分に集中する。大きな邸宅、別荘、美食、地位、権力、老齢に至るも手放そうとはせず、固執甚だしい。

一方、仁の楽しみとは、広大にある。

身近なところでは両親の笑顔から始まり、家庭を円満に治め、組織を一つの方向に向け、会社は世の中に貢献し、市町村は貧しい人たちを支え、国は国民の為の政治を行い、やがては天下に至る。

あらゆるものが、楽しみとなる。

故に、「人の世の楽しみでこれより大きいものはない。」と孟子はいわれた。

 

儒学とは、学問の道とは、シンプル極まる。

思いやりの心、仁の心、この一つを述べている。

 

今日、一日の読書を学問として、努め励みたい。

#儒学 #孟子