四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

中庸 第二章第四節

書き下し文) 子路、強を問う。 子日わく、 「南方の強か、北方の強か、抑いは而 (汝)の強か。 寛柔以て教え、無道にも報いざるは、南方の強なり。 君子これに居る。 金革を敷物とし、死して厭わざるは、北方の強なり。 而の強者これに居る。 故に君子は和し…

中庸 第二章第三節

書き下し文) 子日わく、 回の人と為りや、中庸を択び、一善を得れば、則ち拳拳服膺して、これを失わずと。子曰わく、 天下国家も均しくすべきなり。 爵禄も辞すべきなり。 白丸も踏むべきなり。中庸は能くすべからざるなりと。 意訳) 孔子はいわれた、 顔…

中庸 第二章第二節

書き下し文) 子日わく、 舜は其れ大知なるか。 舜は問うことを好み、 而して言を察することを好み、 悪を隠して善を揚げ、 その両端を執りて、 その中を民に用う。 それ斯を以て舜と為すか、と。子日わく、 人は皆な予は知ありと日うも、 駆りて諸れをこか…

中庸 第二章第一節

書き下し文) 仲尼日わく、 「君子は中庸し、小人は中庸に反す。 君子の中庸は、君子にして時に中すればなり。 小人の中庸に反するは、小人にして忌憚するなければなり」と。子日わく、 「中庸は其れ至れるかな。民能くする節きこと久し」と。子日わく、 「…

中庸 第一章第二節

書き下し文) 喜怒哀楽の未だ発せざる、これを中と謂う。 発して皆な節に中る、これを和と謂う。 中なる者は天下の大本なり。 和なる者は天下の達道なり。 中和を致して、天地位し、万物育す。 意訳) 喜・怒・哀・楽となる前の静けさ、これを中という。 喜…

中庸 第一章第一節

書き下し文) 天の命ずるをこれ性と謂う。 性に率うをこれ道と謂う。 道を脩(修)むるをこれ教と謂う。道なる者は、須臾も離るべからざるなり。 離るべきは道に非ざるなり。 是の故に君子はそのみざる所に戒慎し、その聞かざる所に恐懼す。 隠れたるより見わ…

周易上経 乾五

書き下し文) 初九に曰く、潜竜用するなかれとは、何の謂いぞや。 子曰く、竜徳ありて隠れたる者なり。 世に易えず、名を成さず、世をのがれて悶うることなく、是とせられずして悶うることなし。 楽しめばこれを行ない、憂うればこれを違る。 確乎としてそれ…

周易上経 乾四

書き下し文) 文言に曰く、 元は善の長なり。 亨は嘉の会なり。 利は義の和なり。 貞は事の幹なり。 君子は仁を体すればちって人に長たるに足り、 会を嘉すれば言って礼に合するに足り、 物を利すればもって義を和するに足り、 貞固なればるって事に幹たるに…

周易上経 乾三

書き下し文) 象に曰く、 天行は健なり。君子るって自強して息まず。 潜竜用うるなかれとは、陽にして下に在ればなり。 見竜田に在りとは、徳の施し普きなり。 終日乾乾すとは、道を反復するなり。 あるいは躍りて淵に在りとは、進むも咎なきなり。 飛竜天に…

周易上経 乾ニ

書き下し文) 象に曰く、 大いなるかを乾元、万物資りて始む。すなわち天を統ぶ。 雲行き雨施し、品物形を流く。 大いに終始を明らかにし、六位時に成る。 時に六竜に乗り、もって天を御す。 乾道変化して、おのおの性命を正しくし、大和を保合するは、すな…

周易上経 乾一

原文) ≡≡乾下乾上坏乾 (乾為元) 乾、元亨利貞。 初九。潛龍。勿用。 九二。見龍在田。利見大人。 九三。君子終日乾乾、夕惕若。属无咎。 九四。或躍在淵。无咎。 九五。飛龍在天。利見大人。 上九。亢龍有悔。 用九。見草龍无首。吉。 書き下し文) 乾は、…

孟子 心を養うは欲を寡なくするより善きはなし

書き下し文) 孟子曰く、 心を養うは欲を寡なくするより善きはなし。 その人となり欲寡なければ、 心の存せざる者ありと雖も寡なし。 その人となり欲多ければ、 心の存する者ありと雖も寡なし。 孟子 尽心章句下 意訳) 心を養うとは、欲を少なくすること以…

孟子 君子の亮わらざるは

書き下し文) 孟子曰く、 君子の亮わらざるは一を執ることを悪めばなり。 孟子 告子章句下 意訳) 孟子はいわれた、 君子とは、何ごとにも決め付けをせず、状況に応じて物ごとを図る。 その時、その場で正しいからといっても、一つのことに拘泥することを悪…

孟子 不仁なるかな梁の恵王や

書き下し文) 孟子曰く、 不仁なるかな梁の恵王や。 仁者は其の愛する所を以て其の愛せざる所に及ぼし、 不仁者は其の愛せざる所を以て其の愛する所に及ぼす。 公孫丑曰く、 何の消ぞや。 曰く、梁の恵王は土地の故を以て其の民を燦爛して之を戦わしめ、大に…

孟子 士は何をか事とする

書き下し文❳ 王子墊間いて曰く、 士は何をか事とする。 孟子曰く、 志を尚くす。 曰く、 何をか志を尚くすと謂う。 曰く、 仁義のみ。 一にても罪なきものを殺すは仁にあらず。 其の有にあらずして之を取るは義にあらず。 居悪くにか在る、仁是れなり。 路悪…

孟子 万物皆我に備わる

書き下し文) 孟子曰く、 万物皆我に備わる。 身に反みて誠あらば、楽これより大なるはなし。恕を強(勉)めて行なう、仁を求めることこれより近きは莫し。 孟子 尽心章句上 意訳) 孟子はいわれた。 人を善に至らす徳は、人である限り皆備わる。 自ら省みて心…

孟子 人の死するは命にあらざることなきも

書き下し文) 孟子曰く、 人の死するは命にあらざることなきも、其の正命を順受すべし。 是の故に天命を知る者は、巌牆の下に立たず。 其の道を尽くして死する者は、正命なり。 罪受けて死する者は、正命にあらざるなり。 孟子 尽心章句上 意訳) 孟子はいわ…

孟子 其の心を尽くす者は、其の性を知るべし

書き下し文) 孟子曰く、 其の心を尽くす者は、其の性を知るべし。 其の性を知らば、則ち天を知らん。 其の心を存し、其の性を養うは、天に事うる所以なり。 妖寿(天命)違わず、身を修めて以て之をまつは、命を立つる所以なり。 孟子 尽心章句上 意訳) 孟子は…

孟子 膝は小国なり。斉・楚に間まれり

書き下し文) 膝の文公間いて曰く、 膝は小国なり。斉・楚に間まれり。 斉に事えんか、楚に事えんか。 孟子対えて曰く、 此の 謀 は吾が能く及ぶ所に非ざるなり。 已むなくんば則ち一「法」あり。 斯の池を穿ち、斯の城を築き、民と与に之を守り、死を効(至)…

孟子 湯・桀を放ち、武王・紂を伐てること

書き下し文) 斉の宣王問いて曰く、 湯・桀を放ち、武王・紂を伐てること、諸有りや。 孟子対えて曰く、 伝に於てこれ有り。 曰く、臣にして其の君を弑す、可ならんや。 曰く、仁を賊う者之を賊と謂い、義を賊う者之を残と謂う、 残賊の人は、之を一夫と謂う…

孟子 子路は人之に告ぐるに

書き下し文) 孟子曰く、 子路は人之に告ぐるに其の過ちを以てすれば、則ち喜べり。 禹は善言を聞けば、則ち拝せり。 大舜は焉れより大なるもの有り。 善きこと人と同じければ、己を捨てて人に従い、 人に取りて以て善を為すを楽しめり。 耕稼陶漁より、以て…

孟子 寡人の国に於けるや

書き下し文) 梁の恵玉曰く、寡人の国に於けるや、心を尽せるのみ。 河内凶すれば、則ち其の民を河東に移し、其の栗を河内に移す。 河東図するも亦然す。 隣国の 政 を察るに、寡人の心を用するに如く者なし。 然るに隣国の民少なきを加えず。 寡人の民多き…

孟子 王沼の上に立ち

書き下し文) 孟子の梁の恵王に見ゆ。 王沼の上に立ち、鴻鷹麋鹿を顧みて曰く、 賢者も亦此れを楽しむか。 孟子対えて曰く、 賢者にして後此れを楽しむ。 不賢者は此れ有りと雖も楽しまざるなり。 詩に云う、霊台を経始す。 之を経り之を営り、庶民を攻め、…

孟子 梁の恵王に見ゆ

書き下し文) 孟子梁の恵王に見ゆ。 王曰く、雙、千里を遠しとせずして来る。 亦将に以て音が国を利するあらんとするか。 孟子対えて曰く、 王何ぞ必ずしも利を曰はん。 ただ仁義あるのみ。 王は何を以て吾が国を利せんと曰い、 大夫は何を以て吾が家を利せ…

語孟字義 天道 三条

書き下し文) 何をもってか天地の間、一元気のみと謂うや。 これ空言をあって暁すべからず。 請う譬喩をもってこれを明かさん。 今もし版六片をめって相合わせて匣と作し、密かに蓋をもってその上に加うるときは、すなわちおのずから気有ってその内に盈つ。 …

語孟字義 天道 二条

書き下し文) 天道に 流行有り、対待有り。 易に日く、「一陰一陽、これを道と謂う」と。 これは流行をもって言う。 「天の道を立つ、日く陰と陽と」。 これは対待をもって言う。 その実は一なり。 流行とは、一陰一陽、往来已まざるの謂い、対待とは、天地…

語孟字義 天道 一条

書き下し文) 道はなお路のごとし。 人の往来通行するゆえんなり。 故におよそ物の通行するゆえんの者、みなこれを名づけて道と曰う。 そのこれを天道と謂う者は、一陰一陽、往来已まざるをもって、故にこれを名づけて天道と日う。易に白く、「一陰一陽、こ…