四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

孟子 其の心を尽す者は

書き下し文) 孟子曰く、 其の心を尽す者は、其の性を知るなり。 其の性を知れば、則ち天を知る。 其の心を存し、其の性を養うは、天に事ふる所以なり。 夭寿不弐はず、身を修めて以て之を俟つは、命を立つる所以なり、と。 孟子 尽心章句上 現代語訳直訳) …

孟子 萬物皆我に備はる

書き下し文) 孟子曰く、 萬物皆我に備はる。 身に反して誠なれば、樂、為より大なるは莫し。強恕して行ふ、仁を求むること焉より近きは莫し、と。 尽心章句上 現代語訳直訳) 孟子はいわれた。 万物は皆、自分に備わる。 故に、我が身を省みて誠であれば、 …

講孟箚記 われの魯侯に遇はざるは天なり

#儒学 #孟子現代語直訳)「われ魯侯に遇はざるは天なり」 この一語は、孟子みずから決心され、天に誓われ述べられた。 故に、孟子は時運に遇っても遇わなくても、すべてを天にまかせて顧みることはなかった。 自身において、道を明らかにし、義を正しくし、 …

講孟剳記 記聞の学は

現代語直訳) 人が、師になりたいとの欲がでれば、学んだことは己の身にはつかない。 得た幅広い知識は、ただ人に使われるのみ。 このような人に使われるだけの学問は、学者の常の患いであり、自ら戒めなければならない。 学問を成し遂げる眼目は、己の為に…

孟子 人を在るには

書き下し文) 孟子曰、人を存るには眸子より良きはなし。 眸子はその悪を奄うこと能わず。 胸中正しければ眸子も瞭らかに、胸中正からざれば眸子も眊し。 その言を聴きて、その眸子を観れば、人なんぞ廋さんや。 離婁章句上 意訳) 孟子はいわれた。 人に存…

孟子 貴きを欲するは(改)

書き下し文) 孟子曰く、 貴きを欲するは、人の同じき心なり。 人人己に貴き者有り、思わざるのみ。 人の貴くする所の者は、良貴に非ざるなり。 趙孟の貴くする所は、趙孟能く之を賤しくす。 詩に云う、 『既に醉うに酒を以てし、既に飽くに德を以てす。』 …

孟子 道は近きに在り

書き下し文) 道は邇きに在り、而るに諸を遠きに求む。 事は易きに在り、而もこれを難きに求む。 人人其の親を親とし、その長を長として、天下平らかなり。 離婁章句上 意訳) 仁の道は近くにある。なのに人は、遠い先にあると思っている。 仁の行いは易しいこ…

孟子 人は與に適むるに足らざるなり

書き下し文) 孟子曰く、 人は興に適むるに足らざるなり。 政は服するに足らざるなり。 惟大人のみ能く君の心の非を格すことを爲す。 君仁なれば仁ならざること莫く、君義なれば義ならざること莫國く、君正しければ正しからざること英し。 一たび君を正しく…

孟子 何をか水に取れるや

書き下し文) 徐子曰く、 仲尼亟々水を稱して曰く 水なるか、水なるかな。 何をか水に取れるや。 孟子曰く、 原泉混混として、晝夜を舎かず。 科に盈ちて而る後に進み、四海に放る。 本有る者は是の如し。 是を之れ取るのみ。 苟しくも本無しと為さば、七八…

講孟箚記 孟子におもねてはいけない

講孟箚記(上) 講談社学術文庫 通読一回目終了。 所感) ■目から鱗 吉田松陰先生の講孟箚記を読み始めて、冒頭から衝撃を受けた。 「孟子におもねてはいけない」 儒学の聖典でありながらも、二千三百年前の中国での出来事故に、今の世(江戸時代末期)で解釈…

孟子 為さざる所を為す所なく

書き下し文) 孟子曰く、 其の為さざる所を為す所なく、 其の欲せざる所を欲することなし。 此く如きのみ、と。 尽心句章上 意訳) 孟子がいわれた。 人としてして、最高の行いとは、 ·為してはならぬことを、為さず、 ·欲してはならないことは、欲しない。 君…

孟子 ここに人あり②

書き下し文) 是の故に君子には終身の憂いあるも、一朝の患いなきなり。 乃ち憂うる所の若きは則ちこれあり。 舜も人なり、我も亦人なり。 舜は法を天下に為して、後世に伝うべくする。 我は由未だ郷人たるを免れざるなり。 是は則ち憂うべきなり。 これを憂…

孟子 舜の深山の中に居るや

原文) 孟子曰、舜之居深山之中、與木石居、與鹿豕遊、其所以異深山之野人者幾希、及其聞一善言、見一善行、若決江河沛然、莫之能禦也。 尽心句章上 意訳)孟子はいわれた 昔々、舜(中国古代の聖人、五帝の一人)という人がいた。 中国の歴山と呼ばれる、山の…

孟子 君子に三樂有り

原文)孟子曰、君子有三樂、而王天下不與存焉、父母倶存、兄弟無故、一樂也、仰不愧於天、俯不怍於人、二樂也、得天下英才而教育之、三樂也、君子有三樂、而王天下不與存焉。 尽心章句上 意訳)孟子がいわれた。 君子の楽しみは、三つある。 ·父と母が健康で、…

孟子 君子は亮ならず

原文) 孟子曰、君子不亮、惡乎執。 孟子 告子章句下 意訳)孟子はいわれた。 君子とは、融通が利かず、真っ正直なだけの、 己の小さな信(誠)にこだわる者では、決してない。 君子とは、小さなことに固執はせず、 ただ、大きな信(誠)で、物事を為すのだ。 …

孟子 ここに人あり①

書き下し文) ここに人あり。 その我を待つに横逆を以てすれば、則ち君子は必ず自ら反するなり。 我必ず不仁ならん。 必ず無礼ならん。 この物奚ぞ宜しく至るべけんや、と。 その自ら反して仁なり。 自ら反して礼あり。 その横逆由是くのごとくなるや、君子は…

孟子 君子の人に異なる所以は

書き下し文) 孟子曰く、 君子の人に異なる所以は、その心を存するを以てなり。 君子は仁を以て心を存し、礼を以て心を存す。 仁者は人を愛し、礼ある者は人を敬す。 人を愛する者は、人恒にこれを愛し、人を敬する者は、人恒にこれを敬す。 孟子 離婁章句 意…

孟子 自ら暴なう者は

書き下し文) 孟子曰く、 自ら暴なう者は、与に言うあるべからざるなり。 自ら棄つる者は、与に為すあるべからざるなり。 言、礼義を非る、これを自暴と謂う。 吾が身、仁に居り義に由る能わざる、これを自棄と謂う。 仁は人の安宅なり。 義は人の正路なり。 …

孟子 人の患いは

書き下し文) 孟子曰く、 人の患いは、好みて人の師と為るに在り。 孟子 離婁章句 意訳) 孟子がいわれた。 人のめんどくさいところは、 自身がたいしたことなくても、 他人には、偉そうに、聞いただけの浅い悟りを教えて、 崇められ、師のように思われたいと…

孟子 我善く吾が浩然の気を養うと

書き下し文) 敢えて問う。 夫子悪にか長ぜる。 曰く、我言を知る。 我善く吾が浩然の気を養うと。 敢えて問う、何をか浩然の気と謂う。 曰く、言い難し。 その気たるや、至大至剛、直を以て養いて害なうことなければ、則ち天地の間に塞ちる。 その気たるや、…

孟子 何をか言を知ると謂う

書き下し文) 何をか言を知ると謂う。 曰くヒ辞はその蔽わるる所を知り、 淫辞はその陥る所を知り、 邪辞はその離るる所を知り、 遁辞はその窮まる所を知る。 その心に生じれば、その政に害あり。 その政に発すれば、その事に害あり。 聖人復起こるも、必ず吾…

孟子 人皆人に忍びざるの心有り

書き下し文) 孟子曰はく、 人皆人に忍びざるの心有り。先王人に忍びざるの心有りて、斯に人に忍びざるの政有り。人に忍びざるの心を以て、人に忍びざるの政を行はば、天下を治むること之を掌上に運らすべし。 孟子 公孫丑章句 意訳) 孟子がいわれた。 人は皆…

孟子 孺子の将に井に入らんとする

書き下し文) 人皆人に忍びざるの心有りと謂ふ所以の者は、 今人乍ち孺子の将に井に入らんとするを見れば、皆怵惕惻隠の心有り。 交はりを孺子の父母に内るる所以に非ざるなり。 誉れを郷党朋友に要むる所以に非ざるなり。 其の声を悪みて然するに非ざるなり…

孟子 取るか取らないか

書き下し文) 孟子曰く、以て取る可く、以て取る無かる可し。取れば廉を傷つく。以て與う可く、以て與うる無かる可し。與うれば惠を傷つく。以て死す可く、以て死する無かる可し。死すれば勇を傷つく。 孟子 離婁章句 意訳) 孟子がいわれた。 取るか、取らな…

孟子 仁の不仁に勝つ

書き下し文) 仁の不仁に勝つは、猶ほ水の火に勝つがごとし。 今の仁を為す者は、 猶ほ一杯の水を以て一車薪の火を救ふがごときなり。 熄まざれば則ち之れを水は火に勝たずと謂ふ。 此れ又不仁に与するの甚だしき者なり。 亦終に必ず亡はんのみ。 孟子 告子章…

孟子 読んで楽しい

■孟子は楽しい。 論語は、読みもの、読書として昔から繰り返し読んでいて内容は、浅く知っている。 もちろん、内容を知っているだけで、学問としては、一初学者だ。 著者の解釈を頼りに、自己の誤った解釈の気づきや、読み込めていなかった意味を探す、考え…

論語に関して

■学問としての儒学 もともと、岩波文庫版の論語は、大好きな本であったので、自己流で若い頃から読み続けてきた。 もちろん、読書として。 今回、自分を磨き上げる為に、孔子孟子の教えを改めて学ぶうちに、これまでと読む視点、姿勢が異なる為か、見えない…

大学に関して

■学問としての儒学 大学という四書に連なる経書に対し、正直、混乱している。 当初、儒学を学ぼうと、二十年ぶりに岩波文庫版大学を通読した時、 目が覚めるような興奮を感じた。 明徳、親民ときて、至善にいたるためには、物を(善悪)を確かめる事から始ま…

近思録に関して

近思録 新釈漢文体系 明治書院、 通読一回目終わり。 所感) ■理解出来ていないこと ①一章、理解するに、なにか知識がいるかも知れない。世界観が、現代とは異なり過ぎる。 ②レビューにもあったが、易經の文章を用いる箇所は、暗号文の説明の様で、今回は全…