四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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孟子 君子は亮ならず

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孟子曰、君子不亮、惡乎執。

孟子 告子章句下

 

意訳)
孟子はいわれた。

君子とは、融通が利かず、真っ正直なだけの、

己の小さな信(誠)にこだわる者では、決してない。

君子とは、小さなことに固執はせず、

ただ、大きな信(誠)で、物事を為すのだ。

 

所感)

■大信と小信

原文では、わずか十文字であるが、

その伝えることは深い。

この文章は、信の徳について述べている。

己が固執が過ぎ、小さな信にこだわれば、すなわち、信は遠ざかる。

そして、君子たるもの、一つのことに囚われて、大きなことが見えないようでは、もはや君子ではあり得ない、との君子論でもある。

四端、四徳にはじまる孟子儒学の教えは、いずれも素晴らしいものであるが、

一つの徳に対して、己の小さな世界で固執が過ぎれば、

もはや、徳ではなく、周囲に対して、害まで与えかねない。

我が身を省みれば、自分では良いことをしたと思っている行いでも、

果たして、大きな信の上での行いなのか、

自分勝手な、周囲を省みない小信の行いであったのか、

単に、良いことだから、の行いに潜む真実に、

これまでの我が身の行いを省み、ただ、冷や汗をかくのみか、

明日に、活かしたい。

#儒学 #孟子