書き下し文)
孟子曰く、
君子の人に異なる所以は、その心を存するを以てなり。
君子は仁を以て心を存し、礼を以て心を存す。
仁者は人を愛し、礼ある者は人を敬す。
人を愛する者は、人恒にこれを愛し、人を敬する者は、人恒にこれを敬す。
孟子 離婁章句
意訳)
孟子がいわれた。
君子と、普通の人との違いとは、
自らの心を、
本来の仁の姿で、生かすことが出来るか、出来ないかによる。
君子は、
仁によって、心を生かし、
礼によって、心をしっかりと保つ。
仁を身につけた人は、
人を、心から愛することが出来るし、
礼を身に付けた人は、
人を、心から敬うことが出来る。
人を、心から愛することが出来る人は、
世の中のあらゆる人から、常に愛される。
人を、心から敬うことが出来る人は、
世の中のあらゆる人から、常に敬われる。
所感)
■心が嬉しくなる
この章、まさに孟子的な、孟子たるにたる、孟子的な文章ではないか。
意訳の為、読み下し文を、繰り返し読み、繰り返し考えていると、心が嬉しくなってくる。
仁と礼とは、儒学とは、まさにこういうものなのだ。
心から、人を愛し、人を敬う人とは、
世界中から愛され、敬われること。
ますます好きになり、ますます惚れ込んでしまうばかりか。
この章、内容が素晴らし過ぎて、自分風に落し込みなど出来るものではない。
かろうじての所感としては、儒学を志す者がこの章に接すれば、皆、ただ、心が嬉しくなる、としか述べようがない。