四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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孟子 人の患いは

f:id:aristotles200:20210914204713j:plain書き下し文)

孟子曰く、

人の患いは、好みて人の師と為るに在り。

孟子 離婁章句

 

意訳)

孟子がいわれた。

人のめんどくさいところは、

自身がたいしたことなくても、

他人には、偉そうに、聞いただけの浅い悟りを教えて、

崇められ、師のように思われたいと思っていることだ。

 

所感)

■人の師たるとは

言い換えれば、人の師たる者であれば、

なにかを人に教えるということは、

自らの自尊心を満足させる為や、我が身を人から崇められたい為に、

自身の知識や経験を、考えもせず、あけっぴろげて教えてはいけない、ということか。

■成長につながる教え方

人に教えるということは、または、人の師たるを行おうとすれば、

教えを乞うもののレベルに合わせた、成長につながる教え方があり、単に答えを教えることではない。

知識、経験があるからといっても、その中心たる徳、仁、思いやりの心がなければ人の師とはなれない。

 

■武道、武術との共通点

私見ではあるが、武道、武術の師範クラスの方は、人の師として尊敬出来る方が多く思える。

私の道場での経験では、新しい技を教える場合、

言葉はあまり用いず、ひたすら組み合い、または反復練習を行い、身体で覚えさせられた記憶がある。

言葉だけではなく、身体で覚えた技は、頭で考える前に身体が動くようになる。

足運びや、受け身などは、考えて行うものではない。

 

書き下し文は一行に満たない、簡潔な文章であるが、その伝えるところは広く、深い。

#儒学 #孟子