1)日曜日の夕方、「埃」
書房の隅に積み重ねられ、埃被ったCDの小山、
スマホで聴くことに慣れ、放ったらかしにしていた相棒たち、
CD再生機も動かない、
十五の頃、今は亡くなった父とクラッシック音楽(レコード)を一枚ずつ丹念に聴いていた頃を思い出す、
さっそくAmazonで再生機を購入する、
「甦れ、バックハウスやアニー・フィッシャー。」
2)日曜日の夕方、「日暮れ」
日暮の森、
黒き樹皮で連なる、幹と枝のみの桜の木の森、
小鳥の鳴き声、遠くからはカラスの鳴き声、
「歩を止めて深呼吸して森と一つ。」
3)日曜日の夕方、「音色」
街路灯が灯り、急に寒くなる森の中、
腰に巻いたフリースを着て首までファスナーを上げる、
どこかから聴こえてくる笛の音色、
「日暮れて灯る街路灯、笛の奏でる曲名が出てこないもどかしさ。」
4)日曜日の夕方、「更地に」
向日葵の次に植えられたコスモス畑はなくなり、更地に何かの種が植えられている、
何が植えられたのかは知らない、
「コスモス枯れて、横に変わらぬススキの穂。」
5)日曜日の夜、「食卓」
風呂上がり、小さな書斎で本を読んでいたら、
ご飯が出来たよと呼ぶ妻と子の声に、いそいそと食卓へ向かう、
「麦ごはんと納豆、ツナサラダと粕汁、ごちそうさまでした。」
所感)
■平々凡々
「あたたかい白い飯がある」
そう、我が家もあたたかい麦ごはんがある。
平々凡々たる日常にこそ、本当のあたたかさがある。
#自由律