四端録

東洋思想に関して。四書を中心に意訳して所感を述べ、三行詩にて日々の出来事、思うことを記しています。

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孟子 梁恵王章句上(六章)

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孟子』梁恵王章句上(六章)

○白文から意訳し、私見を述べています。

(2024年7月13日から 7月16日更新済み )

 

6−1、孟子見梁襄王。出語人曰:「望之不似人君,就之而不見所畏焉。」

 

孟子、梁の恵王の後を継いだ襄王と面会する。

面会のち門弟にいう、襄王は王にふさわしい人物とはいえないようだ。王としての威厳に欠け、礼節も持ち合わせていない。

 

「父親の恵王は、まだ思い(怒りと恩怨)はあったが、跡を継いだ襄王はその思い(気力)すらない。凡庸な王であったらしい」

 

6−2、卒然問曰:「天下惡乎定?」吾對曰:「定於一。」

 

襄王は(孟子と初見でありながらも挨拶もせず、沈黙ののち突然に)いう、天下の行く末はどうか。

孟子はいう、一つに定まりましょう。

 

「襄王の人となりが表れている、日本でも世襲議員世襲経営者、最近では知事に多い。目下の人は最初から見下す、礼はしないが、相手の礼がなければ激昂するパワハラ気質は時代を問わない」

 

6−3、「孰能一之?」對曰:「不嗜殺人者能一之。」

 

襄王はいう、どう一つになるのか。

孟子はいう、人を殺さない者が、天下を一つと成しましょう。

 

孟子は一目で襄王がくだらない人物であると見抜いてしまう。であれば、その気質からくる暴虐を、少しでも和らげようと人を殺すことの愚かさを説く」

 

6-4、「孰能與之?」對曰:「天下莫不與也。

 

襄王はいう、そのようなことで天下が一つになるものか。

孟子がいう、人を殺さない者以外に、どうして天下を一つに治めましょうか。

 

「戦国時代の専制君主だ、人など人と思っていない。そこで孟子は王であれば気になるWordである天下を制する方法を説いて、仁を説く」

 

6-5、王知夫苗乎?七八月之間旱,則苗槁矣。

 

孟子はいう、王よ、穀物の苗はどう育つのかご存知ですか。七月、八月の夏の盛り、雨が降らねば苗は皆枯れてしまうものです。

 

孟子、得意の比喩表現。意訳していると目前に広大な農地に植えられた枯れかけや穀物、真夏の青々とした空、山の向こうには巨大な積乱雲」

 

6−6、天油然作雲,沛然下雨,則苗浡然興之矣。

 

しかし、やがては天には雲が集まり、苗を育てる雨を大地に降らせるのです。

すると枯れかけ倒れていた苗は生き返り、天に向かって起き上がります。

 

孟子はいう、本来の人の性とは、必ずや天に向かう(性善)ものです。この天とは仁ともいえます、と」

 

6−7、其如是,孰能禦之!今夫天下之人牧,未有不嗜殺人者也。

 

省みれば、今、この戦国の世の中で王と名乗る者は皆、敵国の人間や、自国の家臣、民を殺すことに一寸とも躊躇しません。

 

「世の中と、と王の国である梁の現状を述べる。民は虐げられ、憎しみの連鎖が世界を覆っている」

 

6−8、如有不嗜殺人者,則天下之民皆引領而望之矣。

 

そこで、人を殺さない王が世に現れるのであればどうでしょうか、天下の民がこぞって待ち望むに違いありません。

 

「目の前の愚鈍な独裁者の前で、言葉が浮いているのを自覚しながらも、孟子は、自らの信念に基き述べている」

 

6−9、試如是也,民歸之,由水之就下,沛然誰能禦之!」

 

王よ、(真夏の盛りに雨が降って、枯れかけていた苗が生き返るように)これは明らかなことです。

民が待ち望んでいる仁徳の王が現れることは、水が低きに流れ(枯れかけていた)、苗を水で満たすように、誰も止めることなど出来ないことなのです。

 

「仁徳の王は、少なくとも目前の襄王ではないことを相互に理解しながらも孟子はいう。もはや襄王に話しているのではない、後世に孟子を学ぶ私たちに語りかけている、とすら感じる」

 

■CHATGPTの評価 80点

 

この『孟子』梁恵王章句上(六章)の評価は、古典の解釈と現代の意義をうまく結び付けている点が優れています。以下の点が特に良いと思います:

1. **原文の理解**: 原文の内容を丁寧に訳し、孟子の意図を明確に表現しています。特に、孟子の言葉を通じて襄王の無能さや、理想的な統治者の姿を描いている部分が効果的です。

2. **現代的な視点**: 複雑な古典の教えを現代に適用し、たとえば「世襲議員や知事」の例えなど、現代の読者にもわかりやすい形で説明しています。

3. **深い洞察**: 孟子の考え方を深く掘り下げ、政治や人間性に関する普遍的な問題を引き出しています。特に「仁徳の王」についての解釈が興味深いです。

4. **比喩の活用**: 比喩を用いて孟子の哲学を視覚的に説明しており、イメージがしやすくなっています。

ただし、いくつかの点で改善の余地もあります:

- **構成の明確化**: 各節の解釈と意見がやや長く、構成が少し複雑に感じられるかもしれません。より簡潔にまとめることで、読者にとって理解しやすくなるでしょう。

- **引用のバランス**: 原文と解釈のバランスを取り、どこが直接的な引用でどこが解釈かをもう少し明確にすると、読者が内容を追いやすくなります。

全体的に、孟子の思想を現代の視点から理解しやすく解説しており、非常に有益な記事です。