書き下し文)
天は尊く地は卑くして、乾坤定まる。
卑高もって陳なりて、貴賤位す。
動静常ありて、剛柔断る。
方は類をもって聚つまり、物は群をやって分れて、吉凶生ず。天に在りては象を成し、地に在
りては形を成して、変化見わる。
この故に剛柔相い磨し、八卦相いうごかす。
これを鼓するに雷霆をもってし、これを潤すに風雨をもってし、日月運行して、一とたびは寒く、一とたびは暑し。
乾道は男を成し、坤道は女を成す。
乾は大始を知どり、坤は成物を作す。
乾は易をあって知どり、坤は簡をもって能くす。易なれば知り易く、簡なれば従い易し。
知り易ければ親しみあり、続い易ければ功あり。親しみあれば久しかるべく、功あれば大なるべし。
久しかるべきは賢人の徳、大なるべきは賢人の業なり。
易簡にして天下の理得たり。
天下の理得て位をその中に成す。
意訳)
繋辞伝とは、易経を説明した十翼(書)のひとつとされる。
繋辞とは解釈のことばを書き綴るという意味で、上下経六十四卦、三百八十四定の大体凡例を通論とした。
聖経賢伝といい、易の象辞象辞の意味を記録したものが、評伝という。
章の分けかたには諸説があるも、ここでは朱子本義に従う。
天は高くして尊い。
地は低くくして卑しい。
この天と地の有り様を踏まえて、易の基幹ともいうべき、乾・坤の二卦が定立される。
天と地の間の万物が、
あるいは高く、
あるいは卑しく、
連なりに並ぶ有り様を踏まえて、
易の各卦における六爻の貴賤が位された。
陰陽二気の動静に恒常的な条理の備わることにのっとって、
易の各卦の剛爻と柔爻とが区分される。
およその事が、
善・悪・邪・正におもむく方向は、
その類をおなじくするの同志で、相い聚まる。
およその物は、
その群を同じくするもの同志で、相い分れる。
これらにより、
易の卦爻の判断に、吉凶の別が生ずる。
陰陽の二気が、
天に在っては日・月・星・辰の象を成す。
地に在っては山・川・動植物の形を成す。
これらにより、
易の卦爻に、陰が陽に変じ、陽が陰に変ずるという変化の作用が現われる。
易において、
剛と柔とが互いにに触れあうこと、
また、
その触れあいによって生する現象を、
八卦〘乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤〙という。
これらが、互いにに動かしあうことにより、
自然現象における陰・陽の変化が象徴される。
つまり、その変化を鼓動するのは、
雷カミナリ(震)と雷イナヅマ(離)のはたらき。
これに潤いを与えるのは、
風(巽)と雨(坎)のはたらき。
さらに日(離)と月(坎)の運行によって、
あるいは冬の寒さを生じ、あるいは夏の暑さを生ずる。
易の基幹は乾・坤に尽きる。
乾のはたらきは、すべての男性的・陽性的なものを形成する。
坤のはたらきは、すべての女性的陰性的なものを形成する。
乾は偉大なる万物創造の始めをつかさどる。
坤はそれをうけて形の成った物を作りあげる。
乾の始めをつかさどるはたらきは、平易であり、
坤の物を作り成す能力は、簡約である。
平易ならば知りやすい。
簡約ならば従いやすい。
知りやすければ、
おのずからこれに親しむ者も多い。
従いやすければ、
おのずから功績をあげやすい。
親しむ者が多ければ、
久しく安全を保ち得る。
功績があれば、
大きな成功をおさめ得る。
久しきを保ち得ることこそは、賢人の道徳であり、
大きな成功をおさめ得ることこそは、賢人の事業である。
かく見れば平易と簡約の二つのはたらきにより、天下の道理は尽くされる。
聖人とは、まさにこの天下の道理を尽くし得て、
天と地と並び、その中間に人極、すなわち人類の地位を成就させた人である。
所感)
■難解極まる
易経の知識なき初見の人が、この内容を理解出来るとは思えない。
また、わかりやすく説明しようとも、
そもそもの語彙、単語からの説明となる。
日本語、現代語で述べたが、感覚的には、異世界を説明している気になってくる。
さて、どうするべきか、、、。
今日、一日の読書を学問として、努め励みたい。