1)朝の職場でコーヒーの香り、
ここで一句、
仕事の段取り、
ひと区切り、
香るコーヒー、腹へった、
売店小走り、テキサスマヨバーガー。
2)昼休み、
ここで一句、
茹でて塩を振った豚バラ肉、
ゆで卵、
胡瓜のサラダ、
ザーサイ漬け物、
麦ごはん、
レトルトお味噌汁、
お弁当、ごちそうさまでした。
3)帰宅途中にて、
ここで一句、
どんよりとした雲、
月曜日終わる、
帰りの電車、開くは山頭火句集、
いつもの日常、
いつもの生活、
平々凡々、ありがたいこと、
と、
「死せるクトゥルー、ルルイエの館にて、夢見るままに待ちいたり」
脳裏に浮かぶ、二面性。
4)通勤電車にて、
ここで一句、
下を向き、スマホを触る、
日本のマナー、
音を鳴らすはいけません、
電話でお喋りいけません、
日本のマナー、
下を向き、スマホを触る、
ちょっと待て、
車窓に映る、見事な夕陽、
誰も見ない、気づかない、
いつからこうなったのか。
5)晩飯前に、
ここで一句、
ローマ時代の詩人ウェルギリウスは、こう言った、
「われわれだれも、なんでもできるわけではない」
そう、われわれは、なんでもできなくていい、
できることを為す、それだけで充分だ。
6)晩飯後、睡魔に襲われ、
ここで一句、
「名利に使われて、静かなる暇無く、一生を苦しむるこそ、愚かなれ・・・万事は皆、非なり」、
そう、この章の意とは、
「万事は皆、非なり」
すべては、虚しい、これに尽きる。
だからこそ、今を生きること、
今を生きる喜びを、兼好法師は述べた。
7)山頭火句集、
ここで一句、
うたふもののよろこびは力いつぱいに自分の真実をうたふことである、
うたふもののよろこびは、
力いつぱいに、
自分の真実をうたふことである、
歌う者の喜びは、
力いっぱいに、
自分の真実を歌うことである、
そう、私たちは、力いっぱいに歌うのだ。
8)火曜日の雨の朝、
ここで一句、
月曜日の朝は、泳げたいやきくんを口ずさみ、
火曜日の朝は、ロシア民謡、一週間を口ずさむ、
月曜日に おふろをたいて
火曜日は おふろにはいり
テュリャ テュリャ テュリャ
テュリャ テュリャ テュリャリャ
テュリャ テュリャ テュリャ
テュリャリャー。
9)朝の通勤電車、
ここで二句、
①初めて聞いた、自動音声女性の声、
流暢だけど発音へん、
この路線、外人さん見たことないけど、
最後の英語がインターナショナル。
②ふと、懐かしむ、
車掌さんのがなり声、溜め息乱発、鼻にかかった独特リズム、
なにわ節だよアナウンス。
10)朝のJR大阪連絡橋、
ここで一句、
雨の日の都会は、騎士がまかり通る、
刀持ちで傘を前後に振り、威嚇する騎士どの、
盾のように頭上に高く広げ左右に振り、敵に目つぶしを試みられる騎士どの、
足底をキュッキュッと鳴らし、控えろー控えろーと御触れを告げる騎士どの、
言葉無くとも、賑やかなこと。
11)しぐれ雨、帰宅中、
ここで一句、
尽きる気力、風呂へ入ろう、
節々の痛み、ビールを一杯、
職場のストレス、家族の笑顔、
今日の晩飯なんだろう。
12)駅のホームにて、
ここで一句、
冷たい風、見知らぬ並ぶ人、
暗くなる街の風景、
定刻通り来た電車、
いつものチェック、
空いてる椅子、なし、
持たれれる壁、あり、
酔っぱらい達、なし、
よし、安全、
すみやかに移動し場所確保、
周りを見回し、スマホを開く。
13)発車待ちの電車で座る、
ここで一句、
対面する人たち、前は見ない、
横に座る人たち、横は見ない、
前に立つ人たち、上は見ない、
誰も知らない、知られない、
かごめかごめ、籠の中の鳥は 、いついつ出やる、
夜明けの晩に、鶴と亀が滑った、 後ろの正面だあれ。
14)水曜日の朝、駅のホーム、通勤電車、通勤路、
ここで五句、
暗い空、節々の痛み、晴れぬ心。
鳴る踏切、無言のホーム、睡魔と乗客。
しめやかに、もくもくと、椅子取りゲーム。
席空いた、すみやかに移動、なにごとにもなく座る。
夜が明ける、消える暗やみ、去る電車。
15)JR大阪駅のホームで電車待つ、
ここで一句、
足あとマーク、緑、橙、赤、
横2✕縦8✕3列、揃い踏み、
色は守るが足あとは守る人なし。
16)自由律俳句、
ここで一句、
自分の真実を歌う、
嘘、偽りなく歌う、
おもねない、へつらわない、こびない、
歌うとは、自分の真実を歌うもの。
17)夕暮れの空、
ここで六句、
①夕暮れの雲、回る地球、歩く人。
②雲なびく、大地に陽射し、タワーマンション。
③白い雲、灰色の空、ビルの狭間。
④車窓の雲、こころ楽しむ、旅の記憶。
⑤厚い雲、巨大な渦巻き、第五惑星。
⑥雲晴れて、見えるは宇宙、心天晴れ。
18)木曜日の朝、
ここで五句、
①週末に向け、さあダッシュ、逃げきってみせる。
②今週は雨ばかり、雨が悪いと誰が決めた、服と靴。
③長雨と寒さ、朝から思う、秋籠もり。
④秋の長雨、黒い傘、鴉の鳴き声。
⑤もう冬か、こたつにミカン、ぼやーと流す教育テレビ。
19)金曜日の朝、
ここで一句、
様々な顔、様々な行い、
あと時、もしこうしていたら、
今朝のテレビに出てたかも、
塀の中で寝てたかも
ビル・ゲイツと親戚だったかも、
選択と結果、
無数の、かも知れない自分たち、
よし、集まれ、
無数のしくじりくんと、
コンマ、ゼロゼロ以下の成功者。
20)金曜日の朝、
ここで二句、
①日上らぬ、暗き早朝、
ホームの灯り、動く電車、
流れては、消えてゆく車窓に映る街の灯り。
②下を向き、眉間にシワ寄せ無言のままに、停車の度に消えていく乗客たち。
21)金曜日の朝から昼
ここで八句、
①雨上がり、陽昇りて、鴉鳴く。
②脚寒し、ももひき恋し、水冷ややか。
③背伸びして、背筋痛め、迫る老い。
④ひと区切り、金が区切りか、アンリミテッド。
⑤寒空に、心惹かれる、スーパー銭湯。
⑥昼休み、昼寝、昼過ぎ、昼行燈。
⑦昼寝スイッチON、意識OFF、消える時間。
⑧天から札束落ちる人を選ぶ人。
22)金曜日の夕暮れ、
ここで三句、
①息切れと上らぬ脚で駅の階段に挑む。
②金曜日の夜、テーマソングは、土曜日の恋人。
③お腹空いて財布に金少なし家に急ぎ帰る。
所感)
■世界を遊ぶ
「うたふもののよろこびは力いつぱいに自分の真実をうたふことである」
この言葉との出合いがなければ、おそらく俳句を続けることはなかった。
自由律俳句とは、しがらみや因縁から遠く離れて、自由に世界を遊ぶ。
俳句を、詩をつくり、鏡面のように他人視点でも自らの俳句、詩を楽しむ。
自分の真実を歌う、力いっぱいに歌う、なんと楽しいことか。
今日、一日の読書を学問として、努め励みたい。
#自由律 #短歌 #詩