○月曜日の朝、通勤
「週末、金曜日に購入したウイトゲンシュタインの哲学研究を読む、難解なり」
「まともに読んでも数ページしか進まない、端的な言葉で世界を明らかにした論考とは別ものだ」
「好き嫌いならウイトゲンシュタインは好みである、ニーチェより静けさがある分(難解でも)ましであろう、と読み続けている」
#三行詩 20241223
○月曜日の朝、乗り換え
「毎朝コンビニに寄り当日の昼ごはんを買う、レジで財布からお金を出していたら顔馴染みの店長がいう、年末年始お休みどのくらいっすか」
「ああ、9連休ですね、因みに店長は?、50時間です、え?、ボク50時間連勤で働くんです、多分誰かが救ってくれると信じてます」
「なるほど、お休みどころではないらしい、年末、何か差し入れでもしよう、引き攣った笑顔を浮かべる店長の顔が妙に印象に残り、店を出た」
#三行詩 20241223
○火曜日の朝、通勤
「ポマードの臭い、下を向いている座る乗客たち、新聞を派手にめくる音が車内に響く、小声で独り言、立つと腰を押さえている。」
「クリスマス、立場それぞれ、今年は既に買って渡した、子の笑顔を楽しむのが親の楽しみ」
「年末50時間連勤予定のコンビニ店長はいう、店閉めたら本部から違約金、倒れても違約金、(疲れた笑顔で)いってらっしゃい」
#三行詩 2024124
「年末あちこち電車人身で止まる、何気ない日常に潜む闇と変わらぬいつもの通勤風景、車掌室から聞こえる夜勤明けの笑い声とお疲れ様です」
「寒風吹くホームで電車待つ、フードを被り、股引きから伝わる冷気に身体震える」
「折り返し、着いても座ったままの乗り継ぎ客たち、接続来てから移動は必然、のち観光客座る、旅人の匂い、明るい笑顔と弾む会話」
#三行詩 20241224
○火曜日の正午、昼休み
「私自身は安楽死に賛成ではあるが、確かに安易に法律改正すれば良い訳ではないことも理解できる、生と死の恣意的悪用がなされれば社会の倫理は崩壊する、極論ながら過去の大戦に何を学んだのか、まで思い起こさせる」
「寝たきり維持賛成・肯定の医療体制が根本にある、或いは、医療よりは倫理・道徳観の消失、国民性の問題ですら思えてくる」
「家族の見舞いすら無く終日TVを観る死まで続く入院生活、或いは身体に管を通され生かされている、ヨーロッパはこれを虐待と見なす、医療の進歩は死を拒否するのか、死をどう捉えるのか、少なくとも私は、健康年齢が過ぎれば、以上は望みたくはない」
#三行詩 20241224
「医療保険制度、世界に誇る日本の制度自体は素晴らしいものだ、しかし制度が日本人の死の姿を変えたことも否定出来ない」
「倫理・道徳観抜きで死に向き合っている、既存の宗教・道徳が実効せず、何処までも生かされる、ある意味、近未来的ホラーの様相を呈している」
「今さら宗教・道徳に死の選択を委ねようとはしまい、科学万能、iPS細胞、白衣を着た新たなる神々が登場したのだ、天国か地獄ではなく、限りなく続く生だ(天国であり地獄でもある)」
#三行詩 20241224
○水曜日の朝、通勤
「自分は善である、との自己主張くらい醜いものはない、ヒトラーやスターリン、全体主義者を思い起こさせる」
「偽善で良い、そこには何らかの優しさがあり、そこから善に至ることもある、例え至らぬとも、一つ善は行われたのだ」
「多様性を否定する、善は善以外存在を許さない、何と小さな仁だろう、論語読みの論語知らずにも劣る、歴史を省みていない」
#三行詩 20241225
「儒学を学ぶのであれば、現代に則した活きた学問であるべきだ、偽善に甘んじることも許さない、令和は江戸時代ではない」
「そこからで良い、そこから善に至ることもある、仁に真偽があるとか言うのだろうか、無い」
「悪人にも仁の心、行いはある、孟子の四端の心とは、この起こりの大切さを述べたものだ、一遍上人が六字に全てあると述べられ通り、偽善もであり、欠片の善でも善である」
#三行詩 20241225
○水曜日の朝、乗り換え
「孟子、離婁章句に自暴自棄の語源がある、最後に孟子はいうのだ『哀哉』(哀しきことかな)、と」
「礼儀をそしる者を自暴、仁義に居る寄ることが出来ない者を自棄とある」
「他人の至らぬ礼儀(偽善)をそしる、自らの仁義以外は認めない、何と哀しき小人であろうか、孟子はそんなことは述べてはいない、大きな包み込む仁の内で人は救われる存在である、気付きを得る得ないかであり、哀れとは見捨てることでは決してない」
#三行詩 20241225
「人は堕落し、腐るものだ、そのマイナス面を否定し、儒学に偽善は無い、善人だけが学ぶ選ばれた人の為の学問だ、という」
「それは本当に正しいのだろうか、確かに朱子学はその傾向はある、しかし朱子学以外の儒学も世の中にある、他人への押し付けこそ偽善そのものに思う」
「弱いから人は強くなれる、偽善や自暴自棄を、人の暗部を否定するのではなく、向き合う、ここから善に至るのだ、孔夫子の教えを、孔夫子の心を理解すべきだ、学問とは小人を君子にする為にある」
#三行詩 20241225
○水曜日の午前、一休み
「私は弱者である、この認識は終生変わらない、故に傲慢不遜の人を嫌う」
「傲慢不遜も広義では弱者であろう、人の本来の姿から激しく離れている」
「では善悪の二元論的思考で他人を批判する人は強者なのだろうか、これが正義なのだろうか、これが至誠なのだろうか、孔夫子の教えとは、このような偽善ではない」
#三行詩 20241225
「重ねて述べるが、偽善者と公言することが、偽善に甘んじることなのだろうか」
「私は善だ、と偽善を批判する人こそ、昨今の世界事情、ウクライナ戦争、難民問題、国内でも増加の一途をたどる犯罪、自殺、諸々の苦しむ弱き人たちに対して、私は立派な行いを成した勇者御一行の善人様である、とでも言うのだろうか」
「私は偽善者である、とても自分を善人とは言えない、恥を知っている」
#三行詩 20241225
○木曜日の朝、通勤
「NY地下鉄での惨劇、真に恐ろしきは傍観どころかSNSで撮影していた周囲の一般人だ」
「アイヒマン症候群とでも、燃える被害者は集団の中で見殺しにされた、何と非人道的な国なのか」
「彼ら彼女らは家庭や職場では善人なのだ、善き父、善き母、しかし通勤では別らしい」
#三行詩 20241226
「ベンサムはいう『正邪の判断の基準は最大多数の最大幸福である』と、人間に虫唾が走る、人間の善など唾棄すべき悪と等しい、増悪と退廃が世界を覆っている」
「薄っぺらい道徳で包まれた日常と、その内に蠢く欲望と傲慢」
「あれほど流された無辜の民と兵士の血の記憶は薄れ、怒りと復讐、無関心と功利が忌まわしき全体主義者どもの世界を再び復活させようとしている、驚くほど早く、今だ」
#三行詩 20241226
「我々はよりヒトラーから学ぶべきだ、彼は民衆に対して、平和を実現する、新しい秩序を創る、と演説で述べたのだ、結果は死人と廃墟の山ではなかったか」
「そして現在、新たな帝国を唱う、新たなカエサルが世界に戻ってくる」
「歴史は繰り返す、人の悪、私利私欲の尽きることはなく、新たに野望を抱く者は続々と控え己がチャンスを待っている、今こそ孔夫子の教えに帰すべきだ、誠と思いやりこそ新時代を開く鍵だ」
#三行詩 20241226
○金曜日の朝、通勤
「仕事納め、五十を越えてから歳を取るのが早い、人生イベントの下り坂、そう、楽ちんだ」
「いつもの席に風邪の人あり、何気に定位置を変える、そう、納めでも私は周到、気は抜かない」
「九連休、読書三昧、薔薇色生活を過ごそうと思う、文字のバカンスは好みに合う、そう、素敵だ」
#三行詩 20241227
「ウイトゲンシュタインの哲学研究、あと塩野七生さんと宮城谷昌光さんの歴史小説をたんまり揃えた、孔丘を読み始めている」
「亡父も正月前は山のような本を買ってきて、終日読書三昧で過ごしていた(おこぼれで私も読む)」
「流行りの本が書斎に積まれると正月休みを実感する、そんな子供時代を過ごす、特に、J.M.ジンメルのスパイ小説集が記憶に残っている」
#三行詩 20241227
○金曜日の夜、自宅
「レジェンド級小児科医といえば、堺市にあった佐藤小児科、佐藤美津子先生が思い浮かぶ」
「乳児湿疹にstrongestのステロイドが普通に処方された時代、断固として脱ステロイド療法を貫かれた」
「文字通り子の命の恩人である、片道2時間かけて通った、商売抜きの仁徳の医師であられた」
#三行詩 20241227
「年の瀬のこの時期、湿疹が悪化した見るも無惨な子に近所の医師はいう、ステロイドを塗らせないのは虐待と同じです」
「父親は重度のアトピーを患い、阪南中央病院を退院して二ヶ月、2歳の長男に父の二の舞は踏ませたくない」
「診察を終えた午後6時に電話して美津子先生はいわれた、持ちますから来てください、着いたのは午後9時頃、駅からは雪の中をベビーカーを押した」
#三行詩 20241227
「佐藤小児科は、子を診る為に待っていてくれた、診療のち阪南中央病院への入院が決まる、午後10時を越えた」
「今から再び雪の中を歩き駅まで戻り、小一時間乗り継ぎせねばならない、暗然と妻の顔を見る」
「看護士さんがいう、帰宅途中に阪南中央病院まで送ります、着いたのが午後10時半、即入院手続き、妻は付き添いで泊まる」
#三行詩 20241227
「翌日、入院の為の衣服諸々を持って阪南中央病院へ、佐藤健二先生と話す」
「お父さんとそっくりやな、と笑顔、心からほっとする、五十数日間、アトピーで入院していた古巣だ」
「親子でアトピーであるが、中三になった子はほとんど症状がない、佐藤健二先生、佐藤美津子先生は私たち親子の命の恩人である」
#三行詩 20241227
所感)
■週末、追筆します。