○月曜日の朝、通勤
「仕事始め、亡父の遺影を眺めながら毎年覚悟を決める、今日、明日、今年死ぬかも知れない、腹を据えて一日一日を過ごすこと」
「漫然と生きまい、今年も学問の道を歩むこと」
「もう歳だ、好きに生きて良い頃合いでもある、人様に迷惑をかけない範囲内で、歴史と哲学、酒、音楽に現を抜かそうと思う、楽しみだ」
#三行詩 20250106
○月曜日の朝、乗り換え
「A・ハーレントの述べた凡庸の悪が、各々の正義を語り世界を席巻している」
「ハーレントはいう、世界最大の悪はごく平凡な人間が行う悪なのです」
「善悪の観念こそ恐ろしきことはない、今日、一日の普通の行いが実は世界最大の悪の一手かも知れない、無関心・無気力こそ悪魔の誘惑なのだ」
#三行詩 20250106
○月曜日の正午、昼休み
「学問の教科書は主は根本通名先生の論語講義だ、ここと明治書院の論語を軸にしている」
「だからといって現代の論語を否定はしない、温故知新とは旧きに留まるだけだろうか、旧きに阿ねてはいないだろうか」
「酷い超訳、意訳もある、それでもいい、と思うのは自ら考えることが学問だ、令和の時代が生み出したのだ、玉石入り混じって当然であるし、そこから玉が出れば知新へと繋がる」
#三行詩 20250106
「当然ながら、古注(論語集解)、新注(論語集注)、論語徴、論語古義〜辺りの旧きは一通り揃えている」
「だからここに留まろう、とは思わない、故に、白文からの拙い意訳に取り組んでいる、この先があるはずだ」
「頭を抱えて考え抜いた自分の解釈を、偉大なる先達の解釈と答え合わせをして省みる、改める、故に、現代の酷い超訳や意訳からも、十分に学ぶところがある、眼目は自ら考えることだ」
#三行詩 20250106
○火曜日の朝、通勤
「歴史から教訓を得たことを発揮する、とは私の様な平凡、凡庸たる市民にとっては、2025年現在でも選挙くらいしか思い当たらない」
「であるにも拘らず、民意が国政を左右するという、そういうマスコミのいう恣意的な民意、自体が怪しいが、制度上はそうである」
「政治は腐敗する、否、腐敗するのが政治だ、権力の旨味、富と名声、裏金と賄賂、歴史から得た教訓とは、繰り返す、ということで止まっている」
#三行詩 20250107
「歴史は繰り返される、何と荘厳な響きを持つ言葉だろう、そして人類最後の一人はこう言うのだ、歴史は繰り返された、と」
「核汚染された無人の荒野にバッハのオルガン曲が響き渡る、次はゴキブリにバトンを渡す、進化の系譜は続く」
「いっそ進化を止めればどうだろう、世界は1930年代から動かない、或いは現実世界はAIに任せて意識をデジタルへ移行する、どちらにしろ歴史は繰り返しそうだ」
#三行詩 20250107
「目的は人の道徳性を向上させることにある、故に哲学・思想の存在価値を見出す、と同じくして善人しかいない世界に反発を覚える自分もいる」
「極論、理想郷では人は狂う、同様に地獄は嫌だ、つまるとこ心と身体は同一であり相反する」
「要は我らは混沌の世界にしか生きれない、夜は安酒場に通いつつ、朝には勤め人として仮面を被る、本体などいない、状況が人を変えるのだ」
#三行詩 20250107
○火曜日の夕方、通勤
「世の中、不合理なこともある(ことの方が多い)、一々感情を害するだけ損だ」
「是は是、非は非、淡々と為すべきことを為せ」
「結局は自分しだいだ、何かに頼れば倒れる、二本の足と左右の手が届けば戦える」
#三行詩 20250107
○水曜日の朝、通勤
「寒い、吹きさらしのホームで電車を待つ、車内へ、入り混じる臭いは苦痛であるが、まあ暖かい」
「眠い、厚着をしているが下半身は寒いまま、瞼が落ちそうになり壁にもたれた」
「自動アナウンスを聞いているようで聞いてはいない、席が空いたので座る、あと二駅で終点、あと十年は通勤電車に乗る予定、その後は知らない」
#三行詩 20250108
「四捨五入して六十代、にまだならないが近付きつつあることは否定出来ない」
「中身は三十代で止めた、可怪しい、髪は白髪が増えお腹は出ている、子に背が抜かれ出した」
「自分の中の若者が消えていく、生まれた時からずっと五十代かの様な、金太郎飴の如き人へと」
#三行詩 20250108
「50代が0代を除けば一番安定している、ある意味当然であり、穏やかな生活を過ごしている」
「もはやきら星の如き若さの可能性は消え失せ、老後という終着点側の人に移行している」
「銀杏は恐竜時代からあったとか、黄色い葉は散り幹と枝ばかり、連なりを感じつつ穏やかな終わりを感じている」
#三行詩 20250108
○水曜日の午前、一休み
「書店や古本屋へ行くと論語と孟子、儒学関連の本は全てチェックする、良書や購入している」
「一般的書き下し文を踏襲した現代語新訳は、古書で良い本がたくさん有り、結局は新味に欠ける」
「とんでも超訳本の類の方が読んでて楽しい、勿論、学問とは違うが玉石の石も割り切れば面白い」
#三行詩 20250108
「論語を現代語訳は各々の自由であり、出版社、著者のコンセプトを推察する楽しみもある」
「昔は誤訳・とんでも訳に気分を害していたが、自分の中の論語が固まった今、興味深い」
「結局、初心者向けなら金谷治先生の岩波文庫一択、そこから広げるのが定番ではないか」
#三行詩 20250108
「孟子となると難しい、報知出版社「孟子」(中国古典新書)は名著であり考察は白眉の出来であるが、全文は載っていない」
「いっそ、最初から明治書院、新釈漢文大系「孟子」の方が、買い足さなくて良い利点もある」
「朝日文庫(中国古典選)「孟子」は現代語訳がないが日々、孟子を味合うに最適の良書である、結局、著者孟子愛の大小もあれば解釈に差もある、定番はお好みにとしか」
#三行詩 20250108
○水曜日の夕方、通勤
「前に立つ人の心を見れるなら、善悪の比率はどうだろう、フロイトのいう超自我は善ではなく人格を構成する規範、理想であるという」
「人間を人間足らしめる、イド(欲求)と超自我(規範)のせめぎ合い、偏りはどちらにしろ悪をもたらす」
「人間の善とは中庸でなければならない、極端な善とは善足りえない、中央以外全て悪なのだ、悪の塊の中心に善がいる、世の中悪が満ち溢れるのも無理はない」
#三行詩 20250108
「孟子の性善は合っている、中央値の善であり、この善を広げるのが孔夫子の教えだ」
「名目だけの仁義礼智信を唱える、誇っても偏れば何の善にもならない、むしろ悪に等しい」
「学問とは日常生活における実践であり、礼儀や作法、常識の内にある、それは中庸にも通じる」
#三行詩 20250108
○木曜日の朝、通勤
「凛とした冷たさを感じる、コンビニで前の人が大きなくしゃみ、同じ空気を吸いたくない、と思い、店員さんも似たような顔つき」
「車掌さんの通常アナウンス、独特のトーンと滲み出る疲労感、大音量でなくてまだましか」
「電車内で聞こえてくる新聞をめくる音、向こうでイヒヒヒと笑い声、以外は皆目をつぶり下を向いて座っている、今日は座れた、あと一日」
#三行詩 20250109
○木曜日の朝、乗り換え
「ジェット団の様な集団が一斉に改札へ、夜の雰囲気と気怠い欠伸、疲労感溢れる眠たいとの会話」
「列に並ぶ、前に昭和(虎模様)ジャンバーの人あり、あと一周りしたら流行る可能性のきらめきは感じる」
「以前、大声で暴れた酔っ払いと既視感も、今日は小声、全員鼻をすすり手はポケットへ、沈黙のまま円を組んでいる」
#三行詩 20250109
「夜勤明けか、憔悴しきった人が折り返しに着いても座ったままで動かない、脚を広げて座り、宙を見ている目は明らかに気力が失われている」
「身なりも良くはない、たまに見かけるときは同僚と強気発言をしている、今日は一人、疲れ切っている」
「日本の現状そのものに思う、政治は空洞化し、貧富の格差は広がる、真面目に働く人こそ苦労する、国中に無力、無気力感が広がり疲弊している」
#三行詩 20250109
○金曜日の朝、通勤
「事象は真実ではある、しかし真実は必ずしも事象ではない、世界は可能性ではなく事実の集合体だ」
「善悪とは可能性と事実の側面を持ち、可能性に重きを置く、事実の構成要素である道徳的主観とは思いに過ぎない」
「つまるところ思いとは事象ではない、真実でもない、善悪とは終始、主観的想念の流転に過ぎないのだ」
#三行詩 20250110
○金曜日の夜、帰宅中
「仕事が出来る人、出来ない人の線引とは、初歩の初歩を完璧に出来る、出来ないかによる」
「モノを置く、ですら一目で明らかであり、積めばいいのは三流、綺麗に積むのは二流」
「短時間で後工程を考えて積めるのが一流、その上もいる、5Sを踏まえた幾何学的な積み上げ、楽を求めず一生懸命、その積みに全てを掛けたかの様な仕事は、万人を感動せしめるのだ」
#三行詩 20250110
「混み合う電車内、間もなく到着駅、扉周辺の人たちは微動だにしない」
「良かろう、ならば睨み続けてみよう、5秒、10秒、動揺しだした」
「電車は到着し、扉が開いた、すっと開く空間を王者のように歩き去ったのだ」
#三行詩 20250110
所感)
■新年会
初週終わる、金曜日、夜は新年会で友人と呑む。
よく語り、よく呑んだ、楽しかった。
後半、及び、電車の中で咳の発作あり、飴でしのぐ。
帰りに、セブンイレブンで豚ラーメンを買って、追いにんにく(チューブ)をして食べる(美味)、寝る(太る)。